高橋 雄一郎
高橋雄一郎法律事務所
東京都 大田区蒲田5-24-2 損保ジャパン蒲田ビル9階クイックレスポンス
インタビュー
高橋 雄一郎 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
私は理工学部の電気工学科出身で、卒業後は東芝の知的財産部に勤めました。ここで特許の出願や係争事件について扱うこととなり、法律の知識も少しは必要だと思い法律の勉強を始めました。
元々法曹界を目指していたわけではありませんが勉強を始めるとマニアックな性格のせいか民法や刑法の勉強も始め、せっかくなら司法試験を受けてみようと思い、4年程独学で勉強を続け試験に合格しました。会社には司法試験を受けたことも内緒にしていました。
その後、司法試験などすっかり忘れて相変わらず東芝の同じ部署で仕事を続けていましたが、2001年に担当していた半導体製品について東芝が事業撤退するということになり、リストラの波に乗って円満退社という形で会社辞め研修所を経て事務所を開く流れに至りました。
現在、電気や電子など特許分野を中心に仕事をしていますが、メーカーの知財部にいた時に「弁護士は難しい技術を理解するのに時間がかかりすぎる」といった印象を持っていたので「それなら自分でやった方が早い」と感じたことが今の事務所を開くことにつながりました。
印象に残っている事例
メーカーに勤めてまもない頃に自分が起案した明細書に関する訴訟を十数年後に訴訟代理した経験があります。
これは東芝VSハイニックスのフラッシュメモリに関してのものでしたが、控訴審の知財高裁では日本で4件目の大合議事件(5人の裁判官による合議体によって裁判を行うことを大合議という)に指定され、二重の意味で印象に残る事案になりました。
一般企業から転身して弁護士になり、苦労したこと
勉強に関しては独学ということで仲間がいませんでしたので、みんなで勉強をした方がモチベーションは上がっただろうと思います。また、やはり法律の勉強は大変でしたし回り道もしたと思いますが、なんとか合格に至りました。
また、企業にいた人間からの意見として最近は弁護士資格を持ち企業に勤める人も増えてきましたが、新人弁護士が「弁護士資格を保持している分、他の人よりも給与を上げてほしい」とか、「法務部限定で勤務したい」などと主張すると採用を躊躇する企業もあるかと思います。
一流企業の法務部や知財部のレベルはかなり高いと言えます。私自身事務所開設から現在で7年経ちますが、まだまだ知識や経験の面で企業の法務部や知財部より劣っていると感じています。その点では弁護士資格があろうと知識と経験には勝てない部分もあるので、司法修習を終えたばかりですぐに活躍することは難しいかもしれません。
仕事の中で嬉しかったこと
お客様に喜ばれることです。私は特許事件ばかりを扱っていてその中でも電気関係といった狭い分野で仕事をしています。
特許事件の争点として充足性の議論と有効性の議論があります。特許無効のためには公知例調査という調査をやるのですが、これは肉体労働で、無効理由を探します。この公知例調査で無効証拠を見つけたときが嬉しいです。
弁護士になって大変だと感じること
現在はまだ特許事件を扱う弁護士が少ないため、とても忙しいということです。東京での特許事件は百数十件ありますが、この分野を扱う弁護士は10数人しかいないのではないでしょうか。そこで、少数の弁護士がこれら事件のほとんどを扱うことになります。ですから、さっきまで反対側(相手方)に座っていた弁護士が、今度は共同受任という形で隣に座っているということも少なくありません。
この分野の弁護士があまり増えていないので仕方のないことですが、開業してから7年経ちまだ一度も休みをとれたことがありません。一日18時間労働なんてざらです。
弁護士としての信条・ポリシー
出来るだけ仕事を早く行うことです。依頼者の方が弁護士の仕事に対し一番嫌だと感じることは“他の案件も扱っているせいで自分の案件の作業が遅れている”と感じることだと思います。
ですから依頼者の方を放置しないように、期限を守ることはもちろん出来るだけその期限よりも早く返事が出来るように心がけていますし、事務所の他の弁護士らにもそう言っています。依頼者の方の満足が一番です。
依頼者に対して気をつけていること
タイムチャージです。料金の請求を時間制で行っているために時間をかければその分お金もかかります。メーカー時代に弁護士に対し必要以上に時間と金をかけられているのではという思いがありましたから、お客様に時間の面で負担をかけないよう出来るだけ安く、無意味な弁護士費用がかからないようにと心がけています。
また、勉強も大切です。弁護人となる以上お客様の持っている技術や商品に関する基本的な技術知識は必要となりますので勉強は欠かせません。ですが絶対に勉強時間をタイムチャージするなんてことはいたしません。
特許事件を扱う以上、その製品・商品に関する基本的な技術知識を有していることは依頼を受けるにあたり当然のことです。電気だったら電磁気学や量子力学、固体物理学などは必須です。勉強時間は絶対に請求に入れません。
今後の弁護士業界の動向
今後は企業法務の分野ではより専門化していくと思います。企業のニーズに弁護士サイドが十分に対応していければ、この業界の未来は明るいはずです。
今後は弁護士資格に対する価値も減ってくるだろうし、「資格という権威に対して金を払ってもらう」ということではなく、「サービス業として依頼者のニーズにあうものを提供して報酬をいただく」というかたちの競争がより強まってくると思います。そして、これはとてもすばらしいことだと思います。
企業は弁護士という資格に金を払っているわけではなく、仕事の中身に対して報酬を支払っていますし、そうあるべきだと思います。お客様が欲しがっているものを安く提供しているという点では、個人的に債務整理専門事務所などのやり方もありうる選択肢のうちのひとつだと思います。
業務独占は本来やるべきものではないですし、理想は弁護士資格がなくともサービスの内容自体で仕事ができるようになるべきだと思っています。
ページを見ている方へのメッセージ
このようにマイナーな分野を扱っている弁護士もいると知っていただけると幸いです。
取扱分野
-
企業法務・顧問弁護士
依頼内容
- M&A・事業承継
- 人事・労務
- 知的財産・特許
業種別
- エンタテインメント
- 医療・ヘルスケア
- IT・通信
- 金融
- 人材・教育
- 環境・エネルギー
- 運送・貿易
- 飲食・FC関連
- 製造・販売
- 不動産・建設
自己紹介
- 所属弁護士会
- 東京弁護士会
- 弁護士登録年
- 2003年
経歴・技能
学歴
- 1991年 3月
- 慶應義塾大学理工学部電気工学科卒
職歴
- 1991年 4月
- 株式会社東芝入社
- 2002年 3月
- 株式会社東芝(セミコンダクター社知的財産部)退職
- 2004年 4月
- 千葉大学知的財産本部特任教授
- 2008年 4月
- 千葉大学法科大学院講師(知的財産法)
資格
- 弁理士
使用言語
- 英語
人となり
- 趣味
- 法律書・法律論文を読むこと
- 特技
- 公知例調査
- 個人 URL
- http://ameblo.jp/kamatastudy/
- 好きな言葉
- 半導体
- 好きな本
- 法律書
- 好きな食べ物
- 魚貝類
- 好きな休日の過ごし方
- 公知例調査
- ツイッターアカウント
- kamatatylaw