希少材?サッサフラス材
幻の材としてウワサされていたサッサフラスという木材ですが、2020年3月に発表されたFender custom shop製「Stories Collection」の第1弾としてEric Johnson 1954 “Virginia” Stratocasterのボディー材として使用されていることが分かりました。
これは、ブロードキャスター(のちのテレキャスター)や1954年から生産が始まったストラトキャスターのボディ材として当時はアッシュ材と並行して使用されていたようです。
ただし、使用された期間はごくわずかで、翌年の1955年にはほぼ見られなくなったということから、試験的だった可能性もあります。
サッサフラス材以外にも使用されていたということですが、試験的なのか、紛れ込んだものなのか、オーダーされたものだったのか、詳しい資料も残ってないようです。
今後新発見があるかもしれません。
産地は北米の東部ということで、家具などにも使用されており、比較的一般的な木材ですが、楽器に使用する材としては珍しいと思います。
オリジナル”ヴァージニア”とは
実際、エリック・ジョンソンの所有する”1954年製ヴァージニア”は以前のインタビューで「メインギターは54年製のストラトキャスター。54年の6月に作られたもので僕より2カ月だけ年上(エリックは54年8月17日生まれ)なんだ」と語っており、おそらくこの個体がヴァージニアと思われます。
この年代のPUセレクターやPOTが収まるポケットには、アッセンブリーの組み込んだ日にちと製作者のサインが入っており、その製作者の名前が”Virgnia”ということから、ヴァージニアと呼んでいるようです。
某楽器店のサイトに掲載されている54年製のストラトにも手書きによる”Virgnia”サインを見たことがあります。
サッサフラス材がボディ材として使用されていることが分かり、今回のモデルが生産されたということです。
ヴィンテージギターの写真を見ると、ボディ材の木目がアッシュ材よりもアルダー材に近く、「木目が比較的おとなしい」というのが第一印象のギターを見たことがありますが、決まって54年製か55年製です。
楽器店の店員さんが以前話してたのは、「54年タイプのストラトキャスターはネックの質感と、ボディー材の木目で判断するといい」と言っていたのを思い出しました。
つまり、ネックは握った時のフィット感、ボディはアッシュ材特有の木目のはっきりしたものを選ぶということでした。
従って見た目の判断では、敬遠されていたのかもしれません。
音の方はアッシュ材の艶のある高音と腰のある中低域がバランスよく、粘りのある音が期待できるようです。
まだまだサッサフラス材を使ったギターは少ないのですが、クラフトマンの間ではかなり話題になっているようです。
実際にサッサフラス材を扱ったことがあるという人からは、臭いが独特で、その匂いを抜くために「乾燥時間を多めにとる」「塗装を厚めにする」という場合もあるそうです。
柾目のメイプル、Vシェイプネックとのマッチングはかなり魅力的ですが、コロナ禍で試奏に行けてないのが残念です。
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