学校再編によって統合される鋸南町の勝山小学校(鈴木富士夫校長、児童216人)と保田小学校(館石悦子校長、児童75人)で22日、それぞれ閉校式が行われた。卒業生らも懐かしい学舎(まなびや)に集まり、長い歴史を振り返った。4月からは、勝山小の施設を利用して鋸南小学校が新たに開校し、町内の全児童が通うことになる。
勝山小は、勝山高等小学校と下佐久間、加知山の両尋常小学校が1905(明治38)年に統合して開校。50(昭和25)年には児童数891人を数えたが、過疎や少子化などの影響で減少傾向にあった。2008年には佐久間小が閉校後、合流した。
再整備を進めてきた同校の教室棟や体育館は鋸南小の校舎として引き継がれる。
閉校式典では児童らが校歌を歌い、昔の勝山小をスライドで振り返った。セレモニーの実行委員を務めた5年生の柴田大輝君(11)は「学校名が変わるのは寂しいけど、保田小の子たちと交流もしてきたし、一緒に頑張っていきたい」と笑顔を見せた。
◆保田小は交流拠点へ
保田小は1888(明治21)年に元名、江月、本郷、遣水の4校が統合して保田尋常小学校として開校。1967(昭和42)年には、吉浜、鋸東両小と統合し、児童数も636人に膨らんだが、本年度は75人。126年の歴史に幕を下ろす。校舎は富津館山道鋸南保田インターの近くにあり、閉校後は物販や飲食施設を有した都市交流拠点施設へと再整備される。
式典に続いて開かれた閉校セレモニー「ありがとう さようなら保田小」では学校の歴史を振り返ったり、児童らが演奏や合唱を保護者や住民に披露した。
在校生は新年度から鋸南小に通い、多くがバス通学になる。5年生の石﨑翔大君(11)は「遊んだ思い出のある学校が無くなるのは寂しいし、バス通学は大変だ」と複雑な表情。高濱莉音さん(10)も「5年間育ててくれた学校に感謝している」と感慨深げだが、4月からは友達が4倍に増える。2人は「新しい友達や学校は楽しみ」と声をそろえた。
同校の卒業生で、子、孫と三代が通ったという白石君子さん(71)は「子どもが少ないのは分かるけど、子どもたちが地域にあった学校に通わなくなるのは寂しい」としんみり。また「昔は木造校舎で、チャイムの代わりに校長室で鐘を鳴らしていた」と小学校時代を懐かしんだ。