作品概要
《贖罪の山羊》は、画家のウィリアム・ホルマン・ハントによって制作された作品。制作年は1854年から1856年で、レディ・リーヴァー美術館に所蔵されている。
《贖罪の山羊》は、イギリス人の画家であり、ラファエル前派を1848年に創始した美術家の一人である、ウィリアム・ホルマン・ハントによる絵画である。
作品のテーマ
本作には、旧約聖書のレビ記に記されている「贖罪の山羊」(スケープゴート)が描かれている。また、背景にはエドムの山々が連なっている。
聖書には、贖罪の日であるヨム・キプルに、地域の人々の罪を背負う身代わりの生贄として、山羊が砂漠に放されたと書かれている。山羊の角は、罪の象徴として赤い布に包まれていた。
作品の来歴
ハントが本作を描き始めたのは死海のほとりであったが、後にロンドンのスタジオで完成させた。
本作は二回描かれており、マンチェスター市立美術館所蔵の一部は色鮮やかで小さく、レディ・リーヴァー美術館にあるもう一部は、暗い色で大きなキャンバスに描かれている。
作品の評価
発表当時の本作の評価は、ハントが予想していたものとは大きく異なっていた。
ハントは後に、聖書における山羊の役割や象徴性に関する認識が一般の者の間では浅かったため、本作は宗教画として広くは理解されなかったことを振り返っている。
ハントの画法の特徴
ハントの絵画は細部まで注意が行き届いており、鮮やかな色使いと複雑に組み込まれた象徴的要素が特徴的である。
ハントは自らの画法を形成するにあたって、美術評論家のジョン・ラスキンと、歴史家・評論家のトーマス・カーライルの著作に大きな影響を受けていた。ラスキンとカーライルは、世界が視覚的な記号により成り立っていると主張し、ラファエル前派の思想的背景にも大きな影響を与えた。
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