長澤まさみ「エルピス―希望、あるいは災い―」間違うことは悪ではない

エルピス-希望、あるいは災い-(フジテレビ系)月曜午後10:00
連続殺人事件の死刑囚の冤罪えんざい疑惑を報じた恵那(長澤まさみ)と拓朗(眞栄田郷敦)。反響は大きかったが、上層部の意向で続編制作は中止に。恵那が悩む一方、目撃証言の再取材に向かった拓朗は事件に絡む新たな疑問を抱く。

この人の笑顔は希望だ。見れば心が温まり、明日の活力になる。しかし、死刑囚の冤罪を追う社会派の今作では、笑顔は少ない。今回演じるアナウンサー浅川恵那は、もがきながらも自身の弱さと向き合い、瞳に決意を宿す姿が印象的だ。

長澤まさみ主演の社会派ドラマ「エルピス―希望、あるいは災い―」
長澤まさみさん

「今は立ち止まっていて、くすぶっているものを持っているけど、自分のやりたいことに対して誠実に生きている。その行動への移し方には共感するところが多い」

スキャンダルでエースの座から滑り落ちた恵那は、正義感からか現実から目をそむけるためか、冤罪のドキュメンタリー制作にやみくもに突っ走る。「恵那という役作りは大切だけど、お芝居は目の前で起こっていることに反応することが一番重要。被害者遺族や記者、警察……関係者と出会って心が変化する時間を大切にしたい」。放送を止める上司たち、司法や政治などの思惑も絡み合い、ヒリヒリしたシーンの連続だ。

正義とは――と突きつける今作。「コロナ禍でニュースに疑問を感じながら声をあげられない自分にふがいなさを感じていて。同じように思っている人はいると思う。でも、間違うことは悪ではなく、正義に向き合うこともできる。受け入れて行動とか心が動き、正しいことを知ろうとすることが一番大切なこと」。一言ひとことをかみしめるように語る。「自分の言葉ではないけど、役を通じて役の思いを届ける仕事をしているから、それを感じてほしい」

連続ドラマのおもしろさについて、「『もうちょっと見たかったね』を堪能できる“欲の宝庫”って感じ。続きが気になる快感がドラマの良さだと思う」と無邪気に笑った。

無邪気さを大切に

Q. 希望と聞いて思い浮かぶものは。

A. 作品を作っている時、すぐに人の手に届くと思うと明るい希望だと感じます。

Q. 将来への不安は。

A. 普通にあります。でも、今を一生懸命生きていると気にならなくなる。「あ、家の電気消したかな」とかが一番不安ですね。

Q. 同年代へのエールを。

A. 人生のおもしろさは、やりたいことをいつでも始められること。私は色々なことにときめきたいから、小学生ぐらいの気分で無邪気さを大切にしています。

(文・読売新聞文化部 道下航 写真・鷹見安浩)

長澤まさみ(ながさわ・まさみ)

1987年6月3日生まれ、静岡県出身。2000年、第5回「東宝シンデレラ」でグランプリ受賞。映画「世界の中心で、愛をさけぶ」やTBS系ドラマ「ドラゴン桜」、「コンフィデンスマンJP」シリーズなど出演作多数。

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