犯罪社会学に詳しい 広末 登 氏は…。


久留米大学 非常勤講師(ノンフィクション作家) 広末 登 氏
「反社会的勢力、いわゆる “半グレ” と呼ばれる人たちなのではと思います。今後、明らかになると思いますね、どういう属性の人たちなのかというのは」


広末氏によると、“半グレ” とは、定義があいまいながらも、暴力団ではない、組織的に犯罪を行うグループの総称です。特殊詐欺や違法薬物の売買などに関わるグループもあるとされます。

広末 登 氏
「常に新しい犯罪を考えているのが、半グレの犯罪なんです」

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― “詐欺狩り” と聞いたことは?
「初めて聞きますが、『詐欺狩り』という “シノギ”(金を得るための手段)があるなら、これは非常に新しい形態のシノギだと思います」


「いわゆる被害回復をうたったもの。被害者がいるから自分たちはこういう行為をするんだと(正当化して)言えますよね。『あなた、詐欺じゃないんですか。訴えたら、あなたも捕まりますよ』と」


「おそらく(依頼者の)元本の回収だけでなく、プラス迷惑料・慰謝料、そういったものを奪って、シノギにしているのではないか。もちろん依頼者からも幾ばくかのお金はとると思います」

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実際、裁判では、回収した額の4割を男らに支払うというやり取りがあったことも明かされました。


久留米大学 非常勤講師(ノンフィクション作家) 広末 登 氏
「つい頼りたくなるという心情は理解できないこともないが、ただ、あくまでそれは違法なサービスだと気が付いてほしい」


裁判では、▽男性が暴力を受けながら金の返済を求められる様子の音声記録の存在や、▽男性の行方について女が、「男2人が毛布にくるみ、車でどこかへ連れて行った」と説明した供述調書などが明らかにされています。


女たちが債権を回収してくれる「味方」だと思っていた2人…。警察は、2人を事件の主犯格とみていて、逃走中の伊藤容疑者の行方を今も追っています。


そして、今泉被告の初公判は、あす14日、開かれます。

行方不明になっている男性が女らに対して実際に「詐欺」をしていたかどうかについては、明らかではありません。ここまで分かっているのは、女らが詐欺を疑い、結果的に男2人に依頼をした…そして事件になったということ。

一見、「詐欺被害回復」という正当性があるようなことをうたっているが、そもそも違法ですし、事件に巻き込まれる危険性も高く、絶対にすべきでない依頼だった…といえます。

いずれにせよ、事件の全容解明には、逃走中のもう1人と、被害男性の行方を明らかにすることが不可欠となっています。