米国の有力シンクタンク・戦略国際研究所(CSIS)は7月21日、中国共産党による対日工作についての報告「China’s Influence in Japan」をまとめた。報告に当たって、関係者の取材から、共産党に対する融和姿勢を構築するため、NPO法人や宗教法人がそのパイプ役を担っていると指摘した。
報告作成者はデビン・スチュワート氏で、CSISの元非常勤顧問。同氏による報告作成のために行った関係者への取材によると、中国は日中関係の融和的な関係構築のために、政治家や大手企業幹部、退役将校などを招いた日中フォーラムを利用していると明かした。具体的には、「東京・北京フォーラム」の名前が挙がった。
福田元首相も講演 日中要人を呼ぶ巨大NPO
2005年に設立されたこのフォーラムは、非政府組織・言論NPOと、中国国営の出版最大手・中国国際出版集団が主催している。フォーラムは、東京と北京で交互に開催され、ビジネス、政治、学術、メディアの各界から数百人の影響力のある参加者が参加する。
最近のフォーラムは、2019年10月に北京で開催された。「アジアと世界の平和、発展を維持するための日中責任」というテーマに焦点が当てられた。
2018年のフォーラムも同様なテーマで東京で開催され、政治、経済、安全保障の分野から日中の数十名の要職者あるいは元役員が参加した。双方の政府あいさつは日本側が西村康稔(当時・内閣官房副長官)、中国側は程永華(当時・駐日本特命全権大使)だった。登壇者のなかには福田康夫・元内閣総理大臣で「東京・北京フォーラム」最高顧問、基調講演には、徐麟・中国共産党中央宣伝部副部長兼国務院新聞弁公室主任を迎えている。