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スーパーが突如閉店、ポイントカードの残金は取り戻せるか? 弁護士が解説

マネーポストWEB / 2022年12月12日 19時15分

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チャージしたお金は返ってくる?(写真:イメージマート)

 スーパーマーケットなどでは、独自のポイントやプリペイドカードを発行するところも少なくない。しかし、突如お店が閉店してしまうことにより、ポイントやチャージしたお金が失効するトラブルもある。そうしたポイントなどは取り戻すことができるのだろうか。弁護士の竹下正己氏が実際の相談に回答する形で解説する。

【相談】
 物価高の影響でしょうか、近所のスーパーマーケットが閉店。困っているのは、そのスーパーだけで利用できるポイントカードで、まだ3000円以上も残っています。こういう場合、すでに閉店していますし、カードにチャージしているお金は取り戻しようがなく、やはり泣き寝入りするしかありませんか。

【回答】
 事前にお金を払って使用するカードは、資金決済法の定める前払式支払い手段のひとつです。あなたのポイントカードは、特定のスーパーだけで利用できるカードですから、スーパー自身が発行者になる自家型といわれるものです。

 使う前にチャージしたお金は、カード発行者であるスーパーに預けたことになります。こうした利用者の権利を保護するため、資金決済法では、カード等の発行者に対し、発行したカードの未使用残高が1000万円を超えると、未使用額の半額以上の金額を「発行保証金」として供託所に供託する義務を課しています。これはカードの発行者の倒産に備え、カード利用者を保護するもの。また、発行者と銀行や保険会社との間で保全契約が締結されていれば、緊急の場合、代わりに銀行などが供託することも可能となります。

 資金決済法は、毎年3月と9月の各末日を基準日として未使用残高を届け出させ、供託金額を調整させます。この発行者がカード等の発行業務をやめるときは、内閣総理大臣に届け出なければならず、保有者に対しては官報や新聞、または電子公告で情報提供し、残額を払い戻す義務があります。

 しかし、突然の閉店ではこうした手続きをしていない可能性が考えられます。その場合、カード等保有者は金融庁長官に権利実行の申立ができ、以後は金融庁が届け出たカード保有者に対し、発行保証金から残高に応じて配当します。

 カード保有者は、発行保証金について他の債権者に先立ち、弁済を受ける優先弁済権がありますが、発行保証金を供託していなければ、刑事罰は適用されるものの、チャージしたお金の回収は困難です。

 今回の場合、最寄りの財務局か、前払式支払い手段について苦情や相談を受け付ける「日本資金決済業協会」に問い合わせてください。

【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。

※週刊ポスト2022年12月16日号

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