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債務保証会社の「追い出し条項」は違法 家賃滞納巡り最高裁判決

毎日新聞 / 2022年12月12日 15時11分

家賃債務保証会社の契約条項の使用差し止めを命じた最高裁判決を受け、記者会見するNPO法人「消費者支援機構関西」の藤井克裕理事長(中央)ら=東京都千代田区の司法記者クラブで2022年12月12日午後4時20分、遠藤浩二撮影

 NPO法人「消費者支援機構関西」(大阪市)が家賃債務保証会社「フォーシーズ」(東京都港区)に、賃貸住宅の賃借人との間で交わす契約条項の使用差し止めを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷は12日、家賃を2カ月以上滞納するなどの要件を満たせば建物の明け渡しがあったとみなす同社の条項を違法と判断し、使用の差し止めを命じた。堺徹裁判長は「条項は(民法の)信義則に反して消費者の利益を一方的に害している」と指摘した。

 裁判官5人全員一致の意見。小法廷は、家賃を3カ月以上滞納した場合に賃借人への催促なく契約を解除できるとする同社の条項の使用差し止めも命じた。最高裁が特定の契約条項の差し止めを命じるのは初。

 家賃債務保証会社は入居時に賃借人から委託料を受け取り、賃借人が家賃を滞納した際に立て替える。滞納が増えると保証会社の立て替えが膨らむため、滞納などを理由に賃借人の明確な同意なく家財を運び出すことを可能とする契約条項を設ける会社もある。「追い出し条項」と呼ばれ、財産権の侵害に当たるとの批判があるが、今回の最高裁判決は適正な法的手続きを踏まない「追い出し」に歯止めをかけた形だ。

 フォーシーズの条項は、家賃を2カ月以上滞納▽連絡が取れない▽建物を相当期間利用していない▽建物を再び使わない意思が客観的に見て取れる――の4要件を満たせば、賃借人が住居を明け渡したとみなす内容。小法廷は、条項により賃借人が建物を使う権利が消滅していなくても保証会社が一方的にこの権利を制限することになると指摘。建物明け渡しの裁判などを経ずに保証会社が明け渡しを実現できてしまう点も踏まえ「賃借人と保証会社の利益の間に看過し得ない不均衡をもたらしている」として、条項は消費者契約法に違反すると結論付けた。

 1審・大阪地裁判決(19年6月)は条項を違法としたが、2審・大阪高裁判決(21年3月)は適法としていた。フォーシーズは「判決文が届いていないので、現時点ではコメントできない」とした。【遠山和宏】

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