【この人の哲学:芹澤廣明(作曲家)】中森明菜、チェッカーズ、さらには「タッチ」や「キン肉マン」「機動戦士ガンダムΖΖ」の主題歌など数多くのヒット曲を生み出し、最近は米国デビューも果たした作曲家、芹澤廣明氏(72)。今回は1980年代に大ヒットしたアニメ「キン肉マン」の主題歌にまつわる秘話を公開。レコーディングを予定していたのは別の曲だった!? 急きょ変わった理由とは?

 ――前回は1982年に中森明菜が歌った「少女A」が大ヒットし、作曲家一本の生活が始まったという話でした

 芹澤氏 僕の作曲家人生はここからですね。その後にアニメの「キン肉マン」(83~86年)の主題歌をやって、すぐチェッカーズ(83~86年の「Song for U.S.A.」まで)、アニメ「タッチ」(85~87年)や「機動戦士ガンダムZZ」(86~87年)の主題歌、さらにアイドルや様々な歌手に楽曲を提供していきました。

 ――名前があがったアニメはどれも40~50代にはたまらない作品です。アニソンはアイドル歌手の曲とは書き方が変わりますか

 芹澤氏 CM曲の時は絵コンテがあって、それに沿って作ってたんだけど、アニソンも同じ。用意された絵コンテを見ながら、指示通りに作曲するんです。秒数までキッチリ指定があってね。イントロ何秒、この絵まで何秒、間奏何秒とか全部決まってるから、それに合わせて書きます。

 ――いまだに歌える人が多そうな「キン肉マン」の主題歌「キン肉マン Go Fight!」はどう作ったんですか

 芹澤氏 まず原作漫画を渡されました。「読んでおいてください」って。その後に絵コンテが送られてきて作曲したんだけど、実はあの曲、録音当日にメロディーを全部変えたんですよ。

 ☆せりざわ・ひろあき 1948年1月3日生まれ。神奈川県横浜市出身。歌手、ギタリスト、作曲家、音楽プロデューサー。高校在学中から米軍キャンプで演奏し、67年にGSグループ「ザ・バロン」を結成して69年にデビュー。解散後に若子内悦郎と「ワカとヒロ」を結成。その後、作曲家として中森明菜「少女A」(82年)、チェッカーズ「涙のリクエスト」(84年)、岩崎良美「タッチ」(85年)ほか多数のヒット曲を生み出した。2018年に自ら作曲した「Light It Up!」を歌い全米デビュー。今年5月には芹澤氏作曲、売野雅勇氏が英語詞を担当した全米3枚目のシングル「Julia」が発売された。