始まりは「環境と金融研究会」
東京都江戸川区の地域グループである、グループKIKIが勉強会での成果をまとめた「どうして郵貯がいけないの-金融と地球環境-」という本が1993年に出版されました。この勉強会の中心人物は、未来バンクの理事長である田中優です。
この「郵貯本」は、私達の貯金が地球環境の破壊とどのように結びついているかを分かりやすく解説したものです。その問題意識を継承し、具体的な対応策を検討しようということで、再び田中優を中心として「環境と金融研究会」が発足しました。
従来の金融機関にお金を預け、その使いみちを白紙委任していては問題は解決しません。そこで自分たちで市民のための「銀行」を作ろうということになりました。いくつかの選択肢が検討されましたが、銀行法に基づく銀行を設立することはハードルが高かったため、組合形式で出資金を募り、貸金業登録をすることで自分たちの「バンク」を作ろうということになったのです。
未来バンク事業組合・未来舎の設立
1994年4月、未来バンク事業組合を設立しました。同年7月には未来バンク事業組合の融資部門として、未来舎を設立しました。未来バンク事業組合が出資金を募り、未来舎が貸金業登録を行った上で融資を始めました。
出資金も順調に伸び、融資も着実に伸びていきます。反戦映画を作りたいという案件を持ち込まれた時には、特定担保提供融資という新たなスキームを開発できました。この融資を支援したいという組合員の方が自分の出資金を担保として提供できる仕組みで、直接融資をする感覚で組合員が参加できるスキームです。
金融商品取引法や貸金業法での規制が厳しくなったのをきっかけに、同じようなスキームで融資を行う団体が集まって行政に働きかけるようになります。「NPOバンク」という言葉ができたのもこの時期です。行政でも理解が得られ、適用除外や規制緩和を獲得するという大きな成果をあげました。また、NPOバンクの集まりである「NPOバンク連絡会」も設立されました。
天然住宅バンクの設立
日本の住宅を変えようということで、田中優が中心となって一般社団法人天然住宅が設立されました。また、その天然住宅の活動を金融面から支援するためのNPOバンクである、天然住宅バンクが2008年7月に設立しました。
天然住宅バンクも順調に活動を進める中で、皮むき間伐ツアー(2010年4月~)、コモンズの森プロジェクト(2010年5月~※)、ペレットハガキ商品券(2011年3月~)、仮設じゃない「復興住宅」プロジェクト(2011年5月~※)など、金融面だけではない活動も展開してきました。
※現在は活動を中止しております。ご支援ありがとうございました。
新生「未来バンク」の誕生
未来バンク事業組合の設立から25年が経ち、事務局の世代交代と効率化を目的として、未来バンク事業組合、未来舎、天然住宅バンクを合併することになりました。そして2019年2月1日に新生「未来バンク」が誕生したのです。
器が変わっても、当初の志は変わりません。白紙委任するのではなく、お金に意志を持たせ、金融の力で住みよい未来を目指します。引き続き、新生「未来バンク」へのご支援とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。
出資金 | 208 百万円 |
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出資者 | 623 名 |
融資残高 | 62 百万円 |
融資累計額 | 13億6千万円 |
※旧未来バンク事業組合、旧未来舎分は2019年1月末時点、天然住宅分は2018年6月末時点を合計して重複分を除いたもの
※融資累計額は、未来舎:12億2千万円、天然住宅バンク:1億4千万円