NPO法人設立記念シンポジウム開催の報告(PAPS メルマガ vol.55)
 

NPO法人設立記念シンポジウム開催の報告(PAPS メルマガ vol.55)



2017年12月27日発行 (No55) |  去る12月10日、私たち「ポルノ被害と性暴力を考える会(PAPS)」のNPO法人設立記念シンポジウムが開催されましたので、その報告をいたします。シンポジウムは、北原みのり理事の司会進行のもと、以下のプログラム内容で行なわれました。

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2017年12月27日発行 (No55)

 去る12月10日、私たち「ポルノ被害と性暴力を考える会(PAPS)」のNPO法人設立記念シンポジウムが開催されましたので、その報告をいたします。シンポジウムは、北原みのり理事の司会進行のもと、以下のプログラム内容で行なわれました。

1.はじめに・田口道子(理事長)「PAPSの歩みと目指してきたもの」 2.理事・監事紹介 3.講演Ⅰ・金尻カズナ(相談支援チーフマネージャー)「AV被害者の相談に関わって見えてきたこと」 4.講演Ⅱ・笹本潤(弁護士)「AV被害と弁護士から見た現実」 5.おわりに・宮本節子 6.プレス・カンファレンス

 以下、簡単に内容を紹介します。

 まず理事長の田口さんから、PAPSの歩みの紹介と、今後の活動の説明がありました。PAPSの活動が、社会啓発を目的としたシンポジウム、ワークショップの開催から、被害者の相談が届くようになり次第に相談支援活動へと重点を移してきたことが振り返られました。今後は、被害相談支援や社会啓発、調査研究などをとおして、ポルノ被害と性暴力の問題を広く社会に訴えていく方針が示されました。お話の後、参加している理事と監事を参加者に一人ずつ紹介いたしました。

 次に、相談支援チーフマネージャーの金尻さんから、複数の相談事例を一般化した事例を使って、AV出演強要の手口などの実態が説明されたほか、相談支援の具体的なあり方についても紹介されました。さらに、相談支援活動から見えてきた課題として、相談支援員の不足、ネットで拡散し続ける被害映像の削除問題、被害者の就労支援、性的搾取に特化した心理相談など、それぞれに大変重く、不可欠な問題が指摘されました。

 弁護士の笹本さんからは、AV出演強要の被害者の訴訟代理人を何件も担当された経験から、AV出演強要事件の特徴や、訴訟上のポイントなどが明らかにされました。スカウトの騙しのテクニックや、撮影を抜けられなくするテクニックがいずれも違法行為であることや、グーグルなどに被害者の情報(顔写真や動画)が残り続ける問題などが指摘され、被害者の侵害される権利や、プロダクションとメーカーの法的責任、今後の法規制の必要性などについて、大変説得的な説明がありました。  最後に、宮本さんからおわりのあいさつがあり、PAPSの活動が持続可能なような理事構成を考えたことなどが説明されました。シンポジウムに引き続き、プレス・カンファレンスを行ないました。AV人権倫理機構の活動に対する評価などについて質問がありました。

 参加者は約80名で、最後のプレス・カンファレンスまで多くの方が残られ、大変熱心に参加してくださったという印象をもちました。講演に対する質問も的を射たものが多く、AV被害の存在を否定するような発言などはありませんでした。シンポジウムの内容は、相談支援や訴訟の実践現場から得られた知見に基づくものであり、安易な批判を寄せ付けない力強さがありました。とくに、笹本弁護士のお話は、個人的には大変納得がいくと同時に勉強になる内容で、何らかの形で詳しい内容を社会に発信できるといいと思いました。

 会場カンパやご寄付の申し出もあり、PAPSの活動への期待が大きいことも実感されました。総じて、新生PAPSのスタートにふさわしい、充実した内容の記念シンポジウムになったと思います。  もとより、2つの講演それぞれが指摘したように、焦眉の課題は山積し、しかもどれも私たちだけでは手に負えないほど大きな課題です。これからも、ますます多くの人びと、組織や団体のご協力を仰ぎながら、PAPSへの期待に応えていけるよう努めていかなければと思いました。

PAPSのサポーター会員の募集

【PAPSのサポーター会員の募集・・年間一口1000円、幾口でも】

AV被害者相談支援を現実に行うためには2名のフルタイムの相談員、パートタイム相談員など、1月年間約1000万円の費用がかかります。

この事業を支えるためのサポーター会員を募集しています。年間一口1000円で、幾口でも結構です。どうぞ、私たちの活動を支援してください。

郵便振替口座: ポルノ被害と性暴力を考える会  00190-3-565606

銀行口座:

ゆうちょ銀行  店番 019 店名 〇一九 店(ゼロイチキユウ店) 預金種目 当座口座番号 0565606

  1. 『森美術館問題と性暴力表現』(不磨書房2013.8)1,890円+送料

  2. 『証言 現代の性暴力とポルノ被害 ~研究と福祉の現場から』 東京都社会福祉協議会2010.11)1、905+送料

  3. リーフレット「AVに出演させられそうになっていませんか」 送料(+カンパ)のみ

  4. 賃社編集室、発売:旬報社「賃金と社会保障 特集AVポルノ被害 1月合併号」「まだ可視化されていないアダルトビデオ産業の性暴力被害と若者の貧困」 賃社編集部了解のもとにコピーの実費+送料=300円で頒布 2015年に、AV出演を拒否した女性がプロダクションから2460万円の損害賠償の民事訴訟をされて勝訴した事件。判決文、当該女性の手記等が掲載され、今のところ、この事件に関する唯一のまとまった資料。以上の書籍の申し込みは住所・氏名・希望部数を記載のうえ mail:paps@paps-jp.orgか、FAX(03-6304-2564)までご連絡ください。

  5. 宮本節子著「AV出演を強要された彼女たち」(ちくま新書 2016.12 864円税込み)こちらにテキストを入力してください。



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