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市場営業部門
市場営業統括部
2013年 入行
高度な数学的手法をもちいて、投資戦略や金融商品を考案・開発する数理分析専門家を、クオンツと呼ぶ。数学、物理学、コンピュータサイエンスの専門スキルを必要とするこの職務を全うできる人材は、日本で数十人に限られる。 金融商品の複雑化・拡大化にともない、今後ますます重要性が高まる数理分析に、飽くなき探究心をもって向き合うクオンツの姿に迫った—。
※掲載の仕事内容、役職、所属は取材当時のものです。部門名は取材当時のものと異なる場合があります。
私がいる市場営業統括部のミッションは、市場取引のベースをつくることです。市場取引とは為替や債券などの金融商品の売買を行い、収益を追求していくこと。私たちはマーケットの評価・分析、予測から、より的確な収益追求を可能にする仕組みを構築していく役割を担っています。 そのなかで、私はクオンツとしてデリバティブの評価モデル開発に向き合っています。デリバティブという言葉に馴染みのない方もいるかもしれません。例えば、国内輸出系企業が、米国で製品を売るとドルで売上があがります。これを円に替えるとき、ドル円相場によっては売上が減ってしまう可能性がある。企業にとってのそのようなリスクを解消するために、金融機関は「定めたレートでドル円を交換できる権利」を商品として販売しています。この「通貨オプション」は、もっとも分かりやすいデリバティブの一つです。ここで難しいのが、「SMBCとしてその権利をいくらで販売するのか」という価格の決定です。計算なく値付けをしては、誤ったリスク認識のもとに大きな損失を被る可能性がある。そこで数理的アプローチによって根拠を持った適切な価格を導き出す仕組みを構築する必要があるのです。これがクオンツの役割である、「モデルの開発」と呼んでいる業務です。 あくまで分かりやすい例を挙げましたが、「通貨オプション」以外にも多様なデリバティブがあり、携わる領域も価格決定だけに限らず商品自体の開発を担うこともあります。クオンツとは、数理的スキルと創造力で、まだこの世界にない解を追い求める、知的刺激に溢れた業務だと言えます。
私のキャリアを語る上で欠かせないのが、アメリカで過ごした2年間です。ニューヨークに拠点を持つデリバティブを専門に扱う子会社に赴任したのですが、そこでの経験が私にとって大きな財産となっています。 アメリカは金融工学の発祥地ということもあり、そこはレベルの高いクオンツたちが互いに切磋琢磨している環境でした。先進的な研究に基づく彼らの知見は非常に深く、デリバティブとはこうあるべきという共通認識のもと、妥協のないアウトプットを追い求めるシビアさがありました。彼らは業務の本質を見極めるスキルに長けていて、行動や決断が早いため、無駄なく効率的に業務を進められなくては戦力として見なされない世界でした。そんななかで、私は学ばせてもらうというスタンスではなく、彼らの一員として仕事をすることにプライドを持ち、必死になって業務に取り組みました。そのときはもう、がむしゃらに「実力を認めさせてやる」という気持ちで。もちろん、日々の勉強は欠かさなかったですし、外部の研究者のもとまで話を聞きに行くこともしました。そうして、2年が経つ頃には、彼らも私のことを対等に見てくれるようになっていました。そのときのメンバーとは今でも交流があり、「また戻ってこいよ」と言ってくれるので、実績を認めてくれたのかな、と思っています。 金融工学の最先端を行く地で、クオンツという業務の感覚を掴んできたこと。自分のなかでクオンツのあるべき姿が見えたこと。それがニューヨークでの経験を通して得た私の強みです。この強みを活かし、SMBCグループ全体の知見やノウハウを引き上げていくことが、これからの私の役割になると自負しています。
私が思うクオンツの面白さは、“ここが最先端である”ところです。市場の未知の動きを相手にする金融業界では、市場に触れている場所が最先端であるためビジネスのトピックをアカデミックが後追いするという現象が見られることがあります。これは他の分野ではなかなか見られない光景で、ニューヨークでは多くの企業クオンツが学術界のパイオニアとしても先進的な発表を行っており驚きを受けました。答えが解りきった仕事をするのは、私にとっても面白くない。金融の世界は、まだ誰も研究していないかもしれない題材が、目の前にある。ここに私は好奇心をそそられるんです。 金融工学はまだ歴史の浅いフィールドです。近年で言えばリーマンショックの前後で我々が検討するべき金利指標は大きく変化しましたし、現在も新しい概念が誕生しています。クオンツの腕の良し悪しは、現在の金融環境で何が大事なのかを正しく見極められるかどうかで決まります。私はこれからも、変わりゆくマーケットに向き合いながら、常に解を求め続けていきたいと思います。「なぜだろう?」「こうあるべきじゃないか?」を考え続けること。それが私の喜びなのだと思います。
2013年に新卒入行。トレーニー期間を浅草支店・浅草法人営業部で過ごした後、市場営業統括部に着任。2016年より2年間、ニューヨークのデリバティブ専門子会社で専門スキルのさらなる向上に励み、現職に。現在は自身の数理的スキルを活かし、デリバティブ評価モデルの構築に情熱を注いでいる。
※掲載の仕事内容、役職、所属は取材当時のものです。部門名は取材当時のものと異なる場合があります。
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