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NHKの次期会長が「日銀出身者」に決まった事情 前田会長に近しい人物は「ノー」で急転直下

東洋経済オンライン / 2022年12月7日 16時0分

2023年1月から指揮を執るNHKの新会長は、現在の改革路線をどこまで踏襲するのか(編集部撮影)

NHKの経営委員会は12月5日、2023年1月24日で任期満了となる前田晃伸会長(77)の後任として、日本銀行元理事の稲葉延雄氏(72)の任命を決めた。同日、稲葉氏は「突然のご指名で大変驚いておりますが、できるだけ早く実情を把握し、公共放送の使命にふさわしい仕事をしていきたい」とのコメントを出した。

稲葉氏は1974年に東京大学を卒業後、日本銀行に入行。システム情報局長や考査局長などを経て2004年に理事に就任し大阪支店長などを務めた。現在はリコー経済社会研究所参与を務めている。

「前田氏に近い人物」に生じた拒否反応

事情に詳しいNHK関係者によれば、直前まで別の人物が最終候補として挙がっていた。前田晃伸会長の出身母体であるみずほフィナンシャルグループと親密で、個人的にも親交のある大手総合商社の元会長だった。「商社で社長や会長を歴任し、経済界のみならず幅広い人脈と知見を持っていた点が評価された」(NHK関係者)とされ、別のNHK関係者は「本人もやる気だったようだ」という。

だが、次期会長人事が表面化すると、官邸や自民党から横やりが入る。総務省関係者によれば、総務大臣経験者をはじめとする自民党の総務族が、この人選に「ノー」を突きつけた。理由は「前田会長に近い人物だったから」(総務省関係者)というものだった。

そして、声がかかったのが稲葉氏だった。打診があったのは12月最初の週末。12月6日の会見で稲葉氏が「迷っている暇なく(任命の)昨日が来た」と口にしたのもそのためだ。関係者の間では「“前田憎し”の官邸や自民党は、前田会長との距離が近いことを理由に(商社元会長の人選を)認めず、経営委員会に稲葉氏を推薦した」との見方がもっぱらだ。

そもそも前田会長と官邸、そして自民党との間には、埋めがたい溝があった。NHKの経営委員会の委員は衆参両院の同意を経て任命され、業務執行の責任者であるNHK会長はその経営委員らが決めている。NHKに関する重要な施策は総務省や政治の意向を仰ぐのが不文律でもある。

だが、前田会長のやり方は違った。2020年1月の就任後、「スリムで強靱な新しいNHK」をテーマに管理職の3割削減や、職員の昇進や昇格プロセスに関する人事制度改革に着手。その目的や経緯について官邸や自民党などに説明することなく進めたため“不評”を買った。

これまで以上に難しい舵取りが迫られる

決定的だったのが、10月11日に発表したNHKの経営計画(2021〜2023年度)の修正案をまとめる際のことだ。

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