2022.11.19
# ライフ

昭和の「こたつでミカン」文化が衰退し、「レモンブーム」が始まった背景事情

なぜ、こんなにも目立つ存在に?
阿古 真理 プロフィール

しかしレモンなら、幅広い料理に合わせることができる。最近人気のレモン推し料理は、こうしたレモンの特性をさらに際立たせて大量に使い、こってりしたカレーやラーメンでも爽やかに食べ進められるよう工夫されている。そして、その新鮮さも人気になる。

レモンサワーやレモネードも、ヘルシーなイメージと、爽やかさが愛される要因だろう。より映える形で提供され、味も工夫されている。レモンには、疲労回復に役立つクエン酸も豊富に含まれている。疲れているときにレモンドリンクやレモン料理を食べれば、リフレッシュする、と好まれるところもあるのだろう。

昭和の家族はそのまま食べられて暇つぶしにもなるミカンを好んだが、平成・令和の人々は、料理やドリンク、スイーツに仕込まれたレモンの味と香りを楽しむ。よりグルメになり、多忙になって、ライフスタイルが多様化した人々にとっては、残念ながら食べるのに手がかかるミカンに、あまり食指が動かないのかもしれない。

 

外食慣れした人々にとっては、加工してあるレモンのほうが好ましいという側面もありそうだ。本音では、ダラダラしながらミカンを食べる時間も欲しい人は、まだまだたくさんいそうではあるが……。

嫌いな人があまりいないレモン。元気になるレモン。爽やかでおいしいレモン。そして、産地を元気にしているレモン。長く続くレモンブームはもしかすると、少しだけ日本を元気にすることに役立っているかもしれない。

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