2022.11.19
# ライフ

昭和の「こたつでミカン」文化が衰退し、「レモンブーム」が始まった背景事情

なぜ、こんなにも目立つ存在に?
阿古 真理 プロフィール

それは、家族でこたつに集う暇がなくなる、あるいはそもそもこたつに集う家族がいない、という人が増えることを意味する。また最今では、「皮を剥くのがめんどくさい」とミカンを敬遠する人も多くなった。そもそも果物の消費量自体、長年低下傾向が続いている。

Photo by iStock

また、農家のなり手が減少し高齢化が進む中、耕作放棄地となったミカン畑は、イノシシに狙われイノシシを増やする要因にもなっていた。そしてレモンはミカンに比べ、収益性が高い。レモン人気が出てきたこともあり、ミカン畑をレモン畑に替える生産者が増えていったのだ。レモンは加工品としても使いやすいため、生産のロスも防ぎやすい。形が悪くても、生のレモンの売れ行きが悪くても、加工品にすれば長持ちするし使い切ることができる。

レモン人気は、他の産地へも影響を与えている。『アグリジャーナル』2017年11月24日配信記事によると、同年夏、神奈川県県西地域県政総合センター、小田原市、慶應義塾大学SDM研究科が共同で、耕作放棄されたミカン畑でレモンを栽培するプロジェクトを開始している。

 

現代社会がレモンに求めるもの

レモンは、あまり嫌いな人がいない果物の一つ。酸っぱい香りには誰もが親しんでいるし、爽快感が多くの人に好まれる。ビタミンCの代名詞的存在でもあり、ヘルシーなイメージも強い。ただし、そのまま食べるには酸っぱい。

日本では、酸っぱめの柑橘類といえば柚子やスダチ、カボスなどで、魚や汁物に絞るなど、料理に一味加える名脇役としての任を果たしてきた。ただ、これらの和の柑橘類は必ずしも、洋食や中華、その他バラエティが増えた日本の食卓に合うとは限らない。

SPONSORED