⼩⼭⽥壮平弾き語りツアー2022
2022年12月1日(木) LINE CUBE SHIBUYA (渋谷公会堂)
12月1日、小山田壮平が『小山田壮平弾き語りツアー2022』のファイナルとなる東京公演をLINE CUBE SHIBUYAで開催した。今年は4月からバンドツアー、10月から弾き語りツアーを開催して勢力的に全国を回り、「TRAVELLING LIFE」な日常を徐々に取り戻す一年に。その締め括りと言うべきこの日のライブは、シンガーソングライターとしての充実した現在地を確かに感じさせる、素晴らしい内容だった。
開演時刻を過ぎ、フラッとステージに登場してアコギを持つと、andymoriの「投げKISSをあげるよ」からライブがスタート。何かと不安の多い時代だからだろうか、〈大丈夫ですよ 心配ないですよ〉と呼びかける歌声は、これまで以上に優しく響く。「革命」でアコギをかき鳴らしながら熱量たっぷりにがなる姿はバンド時代と何ら変わりないが、ファンファンのトランペットによるお馴染みのフレーズをブルースハープで吹いた「1984」も、やはり裏声を用いたサビの歌声がとても優しい。
この日のライブ前半はandymoriの楽曲が多くセットリストに含まれていて、2008年発表のデビュー作『アンディとロックとベンガルトラとウィスキー』から「ベンガルトラとウィスキー」、さらには「遠くへ行きたい」を歌唱。「遠くへ行きたい」と、その次に披露された「16」は青年期の混乱や内省的な心情をつぶやくように歌う楽曲で、こういった青さやナイーブさが伝わってくる曲を、年齢を重ねた今の小山田が歌っても何ら違和感がないのはスペシャルな部分だ。andymori時代から追いかけているオーディエンスもそれなりの年齢になっているはずだが、小山田の音楽を聴くと心の奥にある思春期性がよみがえるような感覚があり、だからこそ、彼の音楽を聴き続けているファンも多いのではないかと思う。
MCでは今年の9月に男の子が誕生したことを伝え、赤ん坊のおもりの話をして父親としての表情を覗かせつつ、「12月に僕の弾き語りライブにやってくるみなさんはもう親戚みたいなものだと思ってます」と笑い、大きな拍手が起こる。そう、やはり月日は流れたが、それぞれの人生を歩んできたオーディエンスとの関係はより親密になっている。この日唯一披露されたALのナンバー「輝く飛行船」では銀幕に美しくもサイケデリックな照明が映し出され、場内は幻想的な雰囲気に。さらに、「ローヌの岸辺」ではキラキラと光る水面のような模様が投影され、「恋はマーブルの海へ」ではカラフルなライティングが場内を彩ったりと、ライブ中盤はステージ演出も非常に効果的だった。