休業手当未払いが訴訟などになった事例について

新型コロナウイルス感染症により、休業手当が支払われていないとして、司法に判断を求めた事例は私達の事例以外にも、すでに先例があります。いずれも、企業側は「シフト減は休業に当たらない」などと支払いを拒んでいるのが共通項です。

参考:あいまい契約「シフト」の穴 休業補償求め、司法の場に続々政府も補償義務指針示さず(2021年8月7日 東京新聞)
参考:コロナ不安で出勤拒否の「かつや」店員、労働審判申立て「報復としてシフトカットされた」(2021年8月5日 弁護士ドットコムニュース)
参考:「かつや」アルバイトへのコロナ禍シフトカット 乱暴なシフトカットに対して労働時間保障・慰謝料命令(2022年1月5日 首都圏青年ユニオン)
参考:コロナで勤務減、パートに解決金 大阪・和解成立 /大阪(2022年4月5日 毎日新聞)


・2020年11月(和解)
大阪市の写真スタジオ運営会社を被告として同社労働者が提訴(大阪地裁係属)
(新型コロナによるシフト減少。解決金支給や雇用契約順守を盛り込んだ和解成立。)

・2021年2月(判決)
ホテルステーショングループを被告として同社元労働者が提訴し、2022年6月に東京高裁で休業手当支給を命じる判決(東京高裁係属)
2021年2月に提訴し、2021年11月に下された東京地裁判決がそのまま維持された。
(新型コロナによるシフト減少。店舗時短営業などが原因。)

・2021年7月(係争中)
株式会社フジオフードシステムを被告として同社労働者が提訴(横浜地裁係属)
(新型コロナによるシフト減少。店舗時短営業などが原因。)

・2021年8月(審判)
株式会社かつやを被告として同社労働者が労働審判申し立て(東京地裁係属)
(新型コロナ感染を懸念して出勤拒否。その後、会社はシフトカット。労働審判において、労働時間保障・慰謝料支払いを会社に命じた。)

・2021年11月提訴(当事例)
株式会社TDCスタッフィングを被告として同社労働者が提訴(さいたま地裁係属)
(新型コロナによるシフト減少。JALカードの受付従事であり、JALグループ減便などが原因。)

(5つの事例の共通項)
5つの事例の共通項は、「非正規雇用」「シフト制労働者」であります。
時短営業・交通機関の減便が原因となって、勤務シフトが減少し、休業手当を支払わない原因となっています。

(休業手当を支払わなければ起こること)
マイナビによる「ライフキャリア実態調査2021年版」よると、飲食業・宿泊業においては、転職したいと思っている人の割合が43.4パーセントになっているという調査結果があります。他業種よりもその割合は突出しているとのことです。
休業手当を支払わずに何もケアしないとなれば、企業との信頼関係は決定的に崩壊し、人材流出の大きな原因となります。
更に訴訟提起や休業手当不払いが公になった場合、企業イメージも大きく低下してしまい、人材が流出した後の採用においても大きなハンデを背負うことになります。

(新型コロナ対策の「検証」を)
国民の皆様には、「時短要請」「緊急事態宣言」「まん防」などの、新型コロナウイルス感染症対策による「副作用」が、大きく出ている現実についてご理解いただき、「今の感染症対策」が正しいのかも含め、考えていただきたいというのが率直な思いです。
なお、厚生労働省においては、「人口動態調査」と言われる統計を公表しております。
(ぜひともその統計をご覧いただき、他の死因と比較して「新型コロナ」が本当にリスクが高い感染症であるのか、先入観を持たずによく考えていただくことを、執筆者個人としては切に願います。)
(なお、新型コロナ対策による「時短要請」・「時短命令」に関しては、東京都が発出した時短命令が違憲であるとして、首都圏を中心に飲食店を運営している「株式会社グローバルダイニング」が東京都を提訴している事例があります。この裁判は今年3月に結審となり、判決は今年5月です。)

新型コロナの影響が出てしまった労働者に対し、追加の給付金支給や再就職支援などを含めた対応を、国は速やかに行うようにしていただきたいというのが願いであります。