困難抱える女性に出向く支援 バスが拠点の「夜カフェ」オープン
2018年11月07日 福祉新聞編集部生活上の困難を抱えて繁華街をさまよう若い女性を性暴力などから守り、必要な支援につなげる「夜カフェ」が10月17日、東京都新宿区役所前にオープンした。赤い羽根福祉基金の助成で購入したバスの隣にテントを張り、女性が無料で飲食したり雑談したりできるようにする。SOSを出しづらい女性に支援者が出向いて接点をつくることを心掛ける。厚生労働省が今年度始めた「若年被害女性等支援モデル事業」に採択された。
実施主体は東京都で、運営は「一般社団法人Colabo」(仁藤夢乃代表)に委託した。仁藤代表は先月24日、委員を務める厚労省の「困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会」(座長=堀千鶴子・城西国際大教授)で「居場所のない若い女性は全国どこにでもいる」と話し、支援体制を早急に全国に広げるよう求めた。
モデル事業は全額国が補助するが、手を挙げたのは東京都のみ。Colaboを含め3団体に委託した。実施要綱によると、支援対象は性暴力や虐待の被害を受けた(その恐れのある人を含む)10代から20代の女性。Colaboは街中に出向いて声を掛ける「アウトリーチ」を毎週水曜日に新宿や渋谷で行うほか、必要に応じて一時的な居場所を提供する。
SNSなどを通じて「夜カフェ」を知った女性は午後6時頃になると、吸い寄せられるようにバスの近くに現れる。マスクで顔を覆ったままスマホを充電したり、化粧品や服を無料でもらったりする。物品の多くは寄付によるものという。
都は「これまで公的機関同士の連携が弱かったことは認めざるを得ない。うまくつなげるモデルケースを関係機関で共有したい」(育成支援課)とし、官民の関係機関を集めた「連携会議」をほぼ毎月開く。会議では事例の検証などを行う。
困難を抱えた女性を支援する制度としては、売春防止法に基づく婦人保護事業などがあるが、そうした公的サービスは管理的な色合いが濃く、敷居が高いとの指摘がある。
今年7月に発足した厚労省の検討会では、女性たちの置かれた現実との隔たりを解消する方向で同法の改正や新法の制定などを求める声が上がっている。
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