マッチョと介護業界 WinWinの関係とは?
ボディービルダーにとって、自分のためにも世のためにもなるWinWinな職場があるという。
吉村裕也さんは工場に勤務していたが「今食べないと筋肉分解されちゃう…」などと、筋肉のための食事を上手く摂ることができないことをストレスに感じていた。そんな環境をはねのけ絶対優勝してやる!と意気込んだ大会では、結果は3位。吉村さんは悔しくて思わず泣いてしまったと言う。
一方、美容師だった丹羽悠介さんは介護の仕事に興味を持ち、もともと介護士だった姉とともに2008年、愛知県で訪問介護の会社を立ち上げた。
だが人手不足という壁にぶち当たる。どうやって介護士を集めようかと悩んでいた時、運動不足解消のため通い始めたジムで筋トレにハマり、1年後には大会に出場するほどに!結果は予選落ちだったが、そのときに泣いている吉村さんを見かけたのだ。
「マッチョな人って、マジメで努力家で介護士に向いている!」と突然ひらめきが!
さらに「見た目もカッコいい人、キラキラしてる人が『介護士です』って働いていれば業界が注目されるんだろうなと思った」と、ボディービルダー向けの職場環境を考え始めた。トレーニングジム代を会社が負担、有力選手は勤務時間のうち2時間はトレーニングにあてていい、大会に出るのも勤務扱い、出場費用も会社が出す、プロテイン代も会社持ち…など。
こうして作り上げたシステムを、自身や、フォロワーが多いボディービルダーに頼んでSNSで発信!これを見て吉村さんも「OKですか?」と訪ねてきた。
そして丹羽悠介さんの会社はマッチョ介護士が20人、介護士は約150人にもなり、20か所もの介護施設を運営する会社に成長。
吉村さんも涙の大会から1年後、名古屋大会で見事優勝!予選落ちだった丹羽悠介さんも4位に入り、「会社としても環境をサポートするから、選手として目立って介護士として会社のアピールをしてもらって、お互いWinWinになる」「制度が作れていい関係が作れた」と丹羽悠介さんは語る。
筋肉のことをよく理解しているマッチョマンは、介護士にうってつけ。正しい姿勢をキープし、腕の力だけでなく足、腰、背中の大きな筋肉を使うことで安定するため、介助される側の負担も軽減し、安心感を与えることができる。
今回、この会社で働くマッチョ介護士で、今年大きな大会で全国3位に入った丹羽凌也さんの1日に密着した。
朝5時半に起床。まずは30分かけて筋肉をほぐし、自転車をこぎ、6時半から朝食作り。今は2か月前に大会を終え絞った体を大きくして筋肉を作る時期だといい、朝は卵の白身5個に黄身3個を使ったオムレツと、はちみつをかけたオートミールを食べる。
その後の食事は全て同じメニューで、ご飯は一食150g、低温調理した鶏肉600gといんげん350g。これを4回に分けて食べるという。
施設へ出勤。担当する6部屋の掃除、洗濯、おむつ替え、着替えの手伝い、トイレ・入浴の補助、散歩の付き添いを終えると11時に2度目の食事。その後入居者の昼食作りをし、1部屋ずつ回って食事と歯磨きの手伝いをし、午後1時に別のマッチョ介護士に仕事を引き継ぎ、車で移動。
別の施設で、起き上がりやトイレの介助、散歩、買い物の補助を行い午後3時に退社。そして無料で使えるジムへ!社員は全員トレーニングジムとマッサージが無料で使えるという。
筋トレ後は月2万円補助が出ているというプロテインを飲み、午後6時、自宅で4食目を終えると夜8時半に5食目を食べて夜11時に就寝。
「筋肉を最優先」でも、それが周りから理解され感謝もされるという、マッチョと介護業界、WinWinの関係があった!
