超党派の議員立法「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」が5月19日、衆議院本会議で成立し、2024年4月に施行されることとなりました。
立憲民主党ジェンダー平等推進本部で本法案を中心的に担ってきた議員、およびヒアリングでご協力をいただいた民間団体の方々のコメントをご紹介します。
●徳永エリ参院議員 ジェンダー平等推進本部長
居場所がなく家出した若年女性、性虐待・性的搾取の被害者、生活困窮など困難な問題を抱える女性に対して、これまでは昭和31年に制定された「売春防止法」に基づく婦人保護事業による支援が行われてきました。しかし、なかなか必要な支援に繋がらないという実態もあり、また売春を助長する行為等を「処罰」し、女性だけを補導・保護更生させるという男女平等に反するものだったため、民間支援団体などからは、従来の枠組みから脱却し、新たな女性支援の枠組みを構築を求める声が上がっていました。
法律の成立によって、婦人相談所は「女性相談支援センター」に、婦人保護施設は「女性自立支援施設」に名称も変わり、入所・保護、医学的・心理的な援助、自立促進のための生活支援を行い、退所後の相談等も行うことになります。また、「行政と民間団体との協働による支援」が法律に規定されたほか、「民間団体に対する援助」国や地方公共団体が、支援を行う民間団体に対して必要な援助を行うことが規定されました。
立憲民主党では他党に先駆けて、西村智奈美幹事長、阿部知子衆院議員、池田真紀前衆院議員が中心となって2021年5月に法案骨子を作成し、議論を重ねてきました。超党派の新法を作成する過程では、この立憲民主党案の多くの部分が盛り込まれました。
今後は、この新法に基づく支援が実効性あるものとなるように、ジェンダー平等推進本部では、政府、地方公共団体の取り組みをチェックし、支援団体の皆さんとも定期的に意見交換をさせて頂きながら、必要な働きかけを今後も行ってまいります。
●阿部知子衆院議員 ジェンダー平等推進本部顧問
60年以上を経てやっと、売春防止法の補導、保護更生という考え方を廃止し、現在、支援が必要とされる多様な女性たちの福祉のための法律に衣替えをすることができました。女性保護事業は、新たに女性相談支援センター、女性支援相談員、女性自立支援施設となります。今後、更なる内容の充実を目指したいと思います。
●打越さく良参院議員 ジェンダー平等推進本部事務局次長
弁護士として支援してきたDV被害者が「売春を行うおそれのある女子」として「補導」「更生」の対象になるのは、いたたまれなかったです。コロナ禍のような危機には、ジェンダー不平等のもと女性にとりわけ痛手が大きくなることが明らかになりました。超党派の議員で支援の現場の方々からお話を伺い、今回の困難女性支援法成立まで至ったことは、痛めつけられた女性たちの尊厳を回復するための大きな第一歩となるでしょう。本法のもとで、個人を尊重する政治が実現するよう、頑張りたいと思います。