7月11日、俳優の石田純一が東京都知事選の出馬を断念したことがニュースになったが、そんな石田が出演し、東京を救った作品『帝都物語』(1988年公開)を今回は扱う。とはいっても、石田は終盤までは、敵の脅威から逃げるばかりで、最後にようやく活躍するのだが…。
テレビ番組などでもおなじみの博物学者・荒俣宏の同名小説が原作の本作は、平将門の怨霊により帝都(東京)破壊を目論む魔人・加藤保憲とその野望を阻止すべく立ち向う、平将門の末裔である辰宮家との攻防を描いたシリーズの一作目となっている。石田は怨霊を鎮める能力を持つ主人公格の辰宮洋一郎役として出演した。ちなみに本作はHDVS(高品位ビデオシステム)として日本映画で初めてハイビジョンが本格導入された作品としても有名だ。
本作の印象だが、明らかに尺不足が目立つ。作中では明治末から昭和初期という、20年以上の時間経過があり、ダイジェストのような部分が非常に多い。それもそのはず、原作の文庫版だと10冊分になる長編を1本にしてしまっているのだから。冒頭からいきなり「加藤が来たぞー!」と言われても、原作未読だと唐突すぎてなんのことやらわからない。同作の翌年には原作の「戦争編」以降を映像化した『帝都大戦』が公開されているが、予算的事情を考えなければ、関東大震災の部分で一旦区切り、3部構成にした方が良かっただろう。
また、尺の都合に加え、さらに視聴者を混乱させる部分がある。同作は、物語の都合上、中盤以降は辰宮恵子と保憲の直接対決、将門復活を阻止する洋一郎の行動、保憲が利用している龍脈を破壊する地下鉄掘削現場チームと鬼との対決という、3つのストーリーラインが用意されているのだ。複数のストーリーラインを同時進行した成功例として、有名な作品に『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』があるが、同作では、過去2作品によるキャラの魅力や因縁の積み重ねがあるので、苦もなく話の流れを追える。しかし、この作品ではそれがないのでかなりごちゃごちゃしている。加えて、話の流れ的には入れなければいけないのだが、渋沢栄一(勝新太郎)などが、東京の都市計画ついて論議する場面も、また別の展開として用意されており、話を追うのに、かなり苦労するのだ。
テレビ番組などでもおなじみの博物学者・荒俣宏の同名小説が原作の本作は、平将門の怨霊により帝都(東京)破壊を目論む魔人・加藤保憲とその野望を阻止すべく立ち向う、平将門の末裔である辰宮家との攻防を描いたシリーズの一作目となっている。石田は怨霊を鎮める能力を持つ主人公格の辰宮洋一郎役として出演した。ちなみに本作はHDVS(高品位ビデオシステム)として日本映画で初めてハイビジョンが本格導入された作品としても有名だ。
本作の印象だが、明らかに尺不足が目立つ。作中では明治末から昭和初期という、20年以上の時間経過があり、ダイジェストのような部分が非常に多い。それもそのはず、原作の文庫版だと10冊分になる長編を1本にしてしまっているのだから。冒頭からいきなり「加藤が来たぞー!」と言われても、原作未読だと唐突すぎてなんのことやらわからない。同作の翌年には原作の「戦争編」以降を映像化した『帝都大戦』が公開されているが、予算的事情を考えなければ、関東大震災の部分で一旦区切り、3部構成にした方が良かっただろう。
また、尺の都合に加え、さらに視聴者を混乱させる部分がある。同作は、物語の都合上、中盤以降は辰宮恵子と保憲の直接対決、将門復活を阻止する洋一郎の行動、保憲が利用している龍脈を破壊する地下鉄掘削現場チームと鬼との対決という、3つのストーリーラインが用意されているのだ。複数のストーリーラインを同時進行した成功例として、有名な作品に『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』があるが、同作では、過去2作品によるキャラの魅力や因縁の積み重ねがあるので、苦もなく話の流れを追える。しかし、この作品ではそれがないのでかなりごちゃごちゃしている。加えて、話の流れ的には入れなければいけないのだが、渋沢栄一(勝新太郎)などが、東京の都市計画ついて論議する場面も、また別の展開として用意されており、話を追うのに、かなり苦労するのだ。