シャケの意外な生態が明らかに!
――サーモンランは、発売後もかなり反響が大きかったと思いますが、いかがでしたか?

天野 初めての試みだったので心配だったんですが、僕らがイメージしていた以上に遊んでいただけていて安心しています。
――攻略法がプレイヤー間で伝わっていく感覚がおもしろいですね。
天野 そうですね。ズルとは言いませんが、裏技のようなテクニックでクリアーする場面もあったりして、そういった面も含めて、おもしろいなと思って見ています。
――やはりタツジンまで遊んでいるプレイヤーが多いですか?
野上 長く遊んでいるプレイヤーはタツジンまで上がっている方が多いですね。
天野 1ヵ月前にうちの若いスタッフから聞いた話ですが、「お母さんが、サーモンランを400時間以上遊んでいる」と。時間もそうですが、「お母さん!?」と驚きましたね。
井上 誰かのお母さんがハマってるっていう話を聞くことが多いですね。
野上 たしかにうちの奥さんもずっとやってるからなぁ、サーモンラン。
――女性を呼び寄せる魅力があるんでしょうね。攻略法も固まってきた感があるなか、カンケツセンやグリルは、とくに難しく、成功率が低いように感じるのですが……。
天野 めっちゃヤバイものを一度体験すると、「あれがまた来るかも」というドキドキ感が脳裏に刷り込まれますよね。それを狙っていて、イベントの難度を平均化するよりは、意図的に難しいイベントは用意しています。
野上 個人的には霧がいちばん苦手ですね。
――確かに霧も危険ですね……。イベントの発生は完全にランダムなのでしょうか?
天野 発生率はイベントごとに違いますが、条件はなく、ランダムです。だから、3回連続で霧が発生することもあります。予測が立てられないような作りにしたかったんです。
――最高ランクはタツジンですが、さらに上を追加する予定は?
天野 タツジンより上を用意すると、マッチングしにくくなってしまう可能性があるんですよね。悩んではいるんですが、現状は追加の予定はありません。
佐藤 ランクはタツジンのままですが、レートが上がるのでより難しくはなっていると思います。
――なるほど。プレイしている感覚で言うと、日本の深夜に熟練者が揃っている気がしますね。バイトリーダー揃い。
野上 確かに、熟練のリーダーが揃いやすい時間などはあるかもしれませんね(笑)。
――シャケとオオモノシャケの関係性が気になるのですが、 バクダンやモグラなども同じシャケなのでしょうか?
井上 基本的に同じ種族ですが、現実のシャケと同様に、育った環境で姿が変わるんです。よりきびしい環境を耐え抜くとオオモノシャケになります。バクダンやモグラは身体が大きく、テッパンやヘビは知能が高い。
――テッパンやヘビが扱っているのは、機械というかブキに近いものですよね。
佐藤 インクを出している部分は機械ですね。
――グリルもシャケなんでしょうか?
井上 はい。あれもシャケの一種です。シャケは基本的にみんなフライパンなどの調理器具を持っているんですが、あれは、調理器具を身にまとって自分をおいしい状態にして戦う、というのを美徳にしているんです。グリルはその究極系です。
野上 食べごろになっています(笑)。
――そ、それは、要するにあのグリルの中身になってしまっているという……?
井上 彼らは死を厭わなくてですね。死すらも、自分が還元されるという、生き物のサイクルとして考えていて。
天野 だから、死ぬことを基本的には恐れないんですよ。
――鴨ネギ状態ですね(笑)。
野上 まさにそうですね。
井上 そういう高潔な一族というイメージで、だからこそ、グリルになるのは究極系。
天野 シャケは死ぬ気で戦をすると、自分と世界に一体感を感じて気持ちが高ぶるんです。ほかの生物に食べられることで世界とひとつになることと、一族の誇りのために戦うことは、彼らの価値観の中では同じぐらい尊いことなんです。
――それを聞くと、なんか倒しづらい……(笑)。グリルって、尻尾が出ていますよね。それでダメージを与えると、大量の尻尾が出てくるわけですが、じゃああれは複数のシャケが取り込まれている、という……?
井上 そうですね。たぶん複数が乗り込んでいるんだと思います。
――なるほど……。なんか、あんまり聞いちゃいけない気がしてきました! ちなみに、グリルなどのシャケの機械とタコが使っているブキは似ていますが、交流はあるんでしょうか?
天野 ヒーローモードを遊ぶとわかりますが、イクラはエネルギーになるんですよね。シャケ側はイクラを渡し、タコは技術を提供するというやり取りが行われています。
井上 シャケとタコは通商条約を結んでいて、交易があるんですね。
天野 でも、イカは結んでいないんですよ。だから、イカはブキを手に取り、シャケからイクラを奪いに行っているんです。
――では、もしかしてイカは悪者?
天野 悪者ではないですね。イカにはイカの生活がありますし。
野上 もしかしたらシャケもイカを狙っているのかもしれません。
天野 情勢は不安定なので、これから何が起こるかわかりませんよ。
――イカ世界の情勢が! あと、ステージにバーベキューのオブジェがありますが、あれはもともとあったものなんですか?
井上 あれはシャケが建てたものです。おいしく食べられるという信念の象徴みたいなものです。イカたちは「もろこし!」とか、方角を伝えるときに使っていますので、プレイヤーの皆さんにも使ってほしいですね。
――『スプラトゥーン』好きな女流棋士の方々は、将棋盤の目のように言っていました。
野上 ああ、「9一タワー」とか言っていらっしゃいましたね(笑)。
――さも当然のように、読み上げたほうに向かってましたからね(笑)。
佐藤 サーモンランで棋譜が作れますね(笑)。
――サーモンランで仕事を斡旋しているクマサン商会は、イカ世界では有名な会社なんですか?
天野 それが謎なんですよ。
井上 登記上は記載があるんですけど、所在地は空き地で、それ以上調査が進まない。
天野 一部でウワサがあるような、ハイカラスクエアにいるヒトとのつながりもないようで、ダウニーに聞いてもわからない。
野上 会社かどうかすらわからないですね。
天野 ハイカラニュースにCMが出せるので、それなりにお金はあるみたいですね。
井上 仕事も基本的に現地集合、現地解散なんで、社員さんと会った人もいないんです。
――ああ、どこかで見ていて、スピーカーから音声だけが流れてくると。
天野 うーん、見ているかどうかもわからないですね。
佐藤 プログラムされた自動音声かもしれません……。
――自動音声説……! クマサン印のブキもいわくがありそうです。
天野 バトルで使われているブキにはレギュレーションが決まっていて、それに則って作られたものをブキチが売っているんです。でも、サーモンランで使われているブキは、イクラ取り専用で、街では使えないんです。
野上 公式では認められていない、改造部品のようなものですね。
――大会などで禁止のやつですね(笑)。あのブキが与えられるのは、選ばれしイカに与えられるようなイメージなんでしょうか?
天野 いや、適当に。
――適当(笑)。
天野 たまたま混ざってたんでしょうね。
佐藤 クマサン商会は、そこまできっちりしていませんし。
野上 イカたちとしては、上からブキが降ってくるようなイメージで、「ああ、俺に来た」と。
佐藤 苦手なブキがイカの手に渡って、イカが危険な目に遭おうとクマサン商会は気にしていないですね。
――クマサン印のブキは、現状、ブラスターとシェルターがあるようですが……。
天野 いろいろと改造しているようなので、別のものも出るかもしれませんね。
――クマサン印のブキをナワバリバトルで使えたら、すごい強そうですね。
天野 意外とイカを倒せないんじゃないかなあ。
佐藤 正規のインクボトルにつなげると、爆発するかもしれませんね。
――サーモンラン中の曲も特徴的ですね。
峰岸 サーモンランの楽曲はもうひとりのコンポーザーの永松(永松亮氏)に担当してもらいました。まず最初に、バトルともフェスともヒーローモードとも違う特徴を持つもので、一聴してパッとシャケと結びつくようなフレーズ、あるいはそういう楽器を使ってほしい、ということを伝えたんです。そこで彼が出してきたのが、変則的なリズムの上にチェロやティンパニといった、これまで『スプラトゥーン』では使ってこなかった楽器を使った曲でした。最初に実装したときのスタッフの反応が、すごくよかったのを覚えています。
井上 「なんじゃこりゃ!」ってなりつつも、ずっと聴いていると気持ちよくなってくるので、最適だと思いました。
――怪獣映画を連想するような曲だなと感じました。
峰岸 そうですね。ティンパニが効いていますよね。
――そんなサーモンランの曲のひとつにある『カガヤクンデス・マーチ』ですが、この曲名は“輝く”が英語で“Shine(シャイン)”になるので、シャイン=社員の……という危ない意味があるという噂がありますが……。
峰岸 そういう説もありますね。曲名は私が考えました。海外だと『Happy Little Workers』っていう名前になっていて、これも意味深ですが。ただ、『カガヤクンデス・マーチ』は“デス”と“マーチ”がつながって読めるとおもしろいな、と思って作っただけですね。その後、まさかそんな深読みがあるとは、と驚きました(笑)。
――えー! たまたまなんですね!
野上 クマサン商会のビデオで“輝く未来のために”と言っていますから。
峰岸 そこから言葉を選んだわけではなくてたまたまなんですが、もしかしたら、どこかで刷り込まれていたのかもしれません(笑)。
天野 へー、その説初めて聞きました。よくできてるなー(笑)。
見どころ盛りだくさんの大型アップデート
――先日発表されたアップデート(編注:2017年11月21日のアップデートの告知)についてもうかがいます。まず目玉のガチアサリは、どういったルールでしょう?
佐藤 あちこちに落ちているアサリを集めてガチアサリというものを作り、ゴールにたくさん入れたチームの勝ちです。手分けしてアサリを集めてそれを投げ入れる、玉入れ的な要素のあるルールですね。
野上 それぞれの陣地にゴールがあって、相手ゴールをガチアサリで割ったら、アサリが放り込めるようになるんです。
――ノックアウトはありますか?
野上 100点稼いだらその時点で勝ちですね。
佐藤 自分たちの色のインクで塗った場所は アサリが見つけやすくなります。ゴールに向かいやすくなるという点でも、いままでと同様にナワバリを広げることが大事です。
――ステージに落ちているアサリは、総数が決まっているのでしょうか?
佐藤 いえ、つぎつぎと出現してきます。
――相手のアサリを奪うこともできる?
佐藤 相手を倒すとアサリが地面に落ちるので、それを回収できます。ただ、相手が落としたのがガチアサリの場合は、奪うことはできません。
――これは、どういったアイデアから生み出されたルールなんですか?
佐藤 ステージ全体をひとつのものととらえ、散開したり集まったり、というのをゲームにできないかな、という考えから誕生しました。
――ほかのルールとは違って、ステージ全体に散開しながら遊ぶ感じになるんですか?
佐藤 ラインの押し引きがあるというのは全ルールいっしょだと考えていて、そういう意味ではガチアサリも同じです。ステージ内にアサリが出現するわけですから、ナワバリが広いほうが見つけやすいので、そこで相手チームと の押し引きが生まれます。
――なるほど。ガチアサリ追加後も、ルールの更新は2時間ごとに?
佐藤 はい。ウデマエもガチアサリ用のものが追加されます。ちなみに、ほかのルールでのガチパワーをある程度反映した状態でスタートするので、 ウデマエが高い人は短期間でS+まで上がれると思います。
――ガチアサリのポイントは?
佐藤 いかに早くガチアサリを作って、どのルートでゴールに向かうのかというのが、いちばんのポイントですね。マップごとにガチアサリやアサリを投げ入れやすい場所は違うので、そこをどうやって制圧するか、というのも勝敗を左右する要素のひとつです。
――どっちが先にガチアサリを入れるか、いかにガチアサリを防ぐかというのが、バトルの焦点になるわけですね。
佐藤 チャンスのときにいかにたくさんアサリを入れられるかというところで、盛り上がりが生まれると思います。
野上 アサリをいっぱい持っていると、ずらーっと引き連れて目立ってしまうので、奪われる危険性も高くなっちゃうんですよ。
佐藤 ふつうのアサリは潜伏で隠せますが、ガチアサリは隠せないというのも、駆け引きが生まれるポイントですね。
――ほかのアップデート要素をお聞きしていきますが、ヘアスタイルとボトムスがボーイとガールで2種類ずつ増えましたね。
野上 ゲソを切るっていう、新しい技術が生まれましたね。
井上 飾り切り。
野上 松笠切りってありますよね。
井上 このあたりは、『スプラトゥーン2』が発売されて4ヵ月くらい経っているんですけど(インタビューは2017年11月に行われた)、夏とは違う、流行りが少し進んだという感じにしています。
――新ステージのザトウマーケットはどういったステージでしょうか?
野上 アメリカにあるような大型のスーパーマーケットがモチーフになっています。アップデートの日はアメリカではブラックフライデーと言って、1年でいちばん買い物をする日なんだそうです。だから、紹介ムービーでイカたちがたくさん買い物をしているんです。
佐藤 広さは平均くらいですね。
――店内でバトルしてもいいんですか?
野上 集客も狙えるので、このときばかりはしょうがないな、という感じですね。
佐藤 だからこそ2時間で区切っているんでしょうね。
――シャケの切り身も商品として並んでいますが、これはイカが食べるんですか?
野上 ジャッジ君のエサですかね……。
井上 イカやシャケ、クラゲの関係性は進化の前から変わっていないので、イカはクラゲを食べないけれど、シャケはその限りではないと。
――同じく新ステージのデボン海洋博物館は2層に分かれたステージですね。
佐藤 中央にガラス張りの屋根が付いていて、その上を歩けるというのが特徴です。さらに、屋根には穴が空いている部分があったりするので、上から撃つこともできます。
――展示物におでんのようなものが……。
井上 博物館なので、古代史と言いますかイカ世界になる前の化石なども飾られています。展示物のほかにも、たくさん小ネタを詰め込んでいるので、じっくりと見物していただけたらと思います。
――そして、ついにアロワナモールとハコフグ倉庫が復活しますね! アロワナモールは、通路が増えているように見えました。
佐藤 テナントの入れ替わりや改装工事が行われ、構造が変わっている部分があります。
――一方で、ハコフグ倉庫の変更点は?
佐藤 ハコフグ倉庫は、“変化がないこと”が特徴ですね。いままで改修を続けてきたので、ひとつくらい変えないものを入れるのもいいかなということで。ただ、グラフィティに関しては変化があるので、その部分の違いには注目していただけたらと思います。
――ファミ通イカファッションコンテストのグラフィティ部門で大賞を取った作品がここに使われていますね! まさかのハコフグ倉庫で、しかもこんなに大きく入れていただけるとは思いませんでした。ありがとうございます!
井上 ドカンと入れちゃいました。
――また、ギア部門で大賞を取ったギリースーツが加わりますね。
野上 4人揃うとかなりチーム感が出ます。
井上 コンテストだとひとつ特徴的なものができるというのが多いんですが、ギリースーツはひとりでもチームでもしっくりくるというのはいいな、というのがあって選ばせていただきました。
――制作時に苦労したところはありましたか?
井上 ワカメだけどカッコよく見える、というのを表現するのが難しかったです。
野上 もとのイラストに描かれたものは、ちゃんと名前も使わせていただきました。
――ワカメの先端の色が変わっていますね。
井上 チームを見分けるために色が変わるようになっています。ぜひ本物の素材でコスプレしていただきたいですね(笑)。
――バトルだけでなく、サーモンランにもステージ追加がありますが、トキシラズいぶし工房は、かなりギミックが多そうですね。
天野 リフトでつながるふたつの島があるのですが、基本的にはふたりずつに分かれるのか、みんなでいっしょに行動するのか、といった状況に応じて立ち回りを変えて遊ぶステージになっています。水位の変化や、現れる大物シャケとの組み合わせで攻略のしかたにより多様性が出るように設計しました。ただ、難度が高いわけではなく、バイトが楽しくなるような地形を目指しました。
――BGMの追加も楽しみです。新バンドのFrom Bottomはどういったグループですか?
峰岸 アイリッシュパンクのバンドですね。スタイリッシュなWet Floorとは対照的に、ラウドながらトラディショナルな面もある音楽を演る人たちです。
――ボーカルの生物はいったい?
井上 もずくです。ほかのメンバーは、ベタっていう熱帯魚、ホタテ、フグ、サメになっています。ボーカルはけっこう激しく歌います。
――では、カレントリップの特徴は?
峰岸 全員が音大に在学中か卒業をしたメンバーで、学があり、素養もしっかりした女の子たちがアグレッシブなことをしている、というイメージのバンドです。前作で演奏していたHightide Eraというバンドをリスペクトしていて、彼らのようなネクタイを全員が身に着けています。
――Hightide Eraにもピアノがいましたよね。
峰岸 そうですね。カレントリップのピアニストはオウム貝で、とくにHightide Eraに心酔しています。
井上 From Bottomもそうでしたが、つぎの世代の音楽というイメージで作っています。
――かなり尖った曲が多いですが、開発側からすぐにオーケーが出たんですか?
峰岸 そう……ですよね?
井上 “つぎにこういう音楽を好きになりそう感”を重視していたので、そういう意味ではWet Floorのシュッとしたところから、荒々しいやつになっていくっていうのはアリだなと思いました。
――前作は、アップデートのタイミングでピアノサウンドが特徴的だったHightide Eraが追加されましたが、今回もアップデートでHightide Eraのフォロワーであるカレントリップが加わったりするのは、アップデートの追加曲のイメージを合わせるといった意識はあったのでしょうか?
峰岸 というよりは、Wet Floorのことを考えたときに、ゆくゆくは前作のカウンターである彼らに対するさらにカウンターを作ろう、前作に近い要素があるものやまったく違うものを入れようと考えながら、組み立てていきました。
――まずはガチアサリや各ステージの追加になりますが、最後に、さらなる今後のアップデート予定もお聞きできますか?
野上 今回ご紹介したのは(編注:2017年11月の“スーパー!なアップデート”のこと)、2018年2月ごろまでに追加されるものですが、ソフトの発売前にアナウンスした通り、ブキやステージの追加は1年間、フェスは2年間続けます。それ以外にも、バランス調整も含めて、アップデートは今後も継続して行っていきますので、バトルにバイトにと、引き続き『スプラトゥーン2』をお楽しみください!
――最後に番外編としてお聞きしたいのですが、2017年はニンテンドースイッチが非常に好調で、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』や『スーパーマリオ オデッセイ』など、高評価が連発したものが出ています。そういったタイトルを開発したチームにライバル心などはあったりするのでしょうか?
天野 そもそも、プログラマーはいろいろなところで情報共有をしていますし。
野上 わりと、ある部分ではいっしょに作っていたりするんですね。
天野 デザイナーもグラフィックの根っこの部分は情報共有をしたりするので、あまりライバルという感覚はないですね。
野上 チームは別ですが、そういった相互で協力する部分もありますね。言ってみれば、『ゼルダ』がニンテンドースイッチのローンチで出て流れを作ってくれたので、僕らはそこを受け継ぐのが役目でしたから、野球で言えば、『ゼルダ』が出塁して、僕らやほかのソフトがランナーを溜めるようにして、『スーパーマリオ』につなぐと。
天野 こういうゲームを作ってるっぽいという話は聞いていましたが、実際に遊んだのは発売後でした。
野上 モニターを頼まれたりするので、あえて途中で触ったりはしないようにしているんです。青沼(青沼英二氏。『ゼルダの伝説』シリーズプロデューサー)から「息子が『スプラトゥーン』遊んでるよ」って言ってもらったりと、お互いにエールを送り合うというようなことはありましたね。
――最近の任天堂はものすごいクオリティーのものをバンバン出すので、どうなっているんだと、ゲーム業界で話題になっています。何か秘訣があるのでしょうか。
野上 がんばってる……ですかね(笑)。
井上 開発中は、担当しているゲームのことばかり考えているので、独立したチームになっているんですが、同じ状況で悩んでいるというチームが複数あるのはいいなと思います。でも、作っている最中は本当にいっぱいいっぱいなので、交流は意外とありませんね。
野上 技術的な交流は随時しているので、解決策を聞いたりして、並行に作っていることもあって、効率が上がっているというのはあるかもしれませんね。
――なるほど! ありがとうございました!