社労士は、合格率が一桁の難関国家資格です。
試験に合格するには800〜1,000時間の勉強が必要とされており、誰でも簡単に取得できるわけではありません。
苦労して社労士資格を取得したからこそ、「良いところに就職したい」と思うのは当然のこと。
しかし、いざネットで社労士を検索してみると「社労士は就職できない」「社労士は就職には不利」といった文言を目にすることもあるのではないでしょうか。
今回のコラムでは、本当に社労士は就職できない資格なのか解説していきます。
目次
社労士は就職できない、不利だと言われる3つの理由
社労士は就職できない、不利だと言われる3つの理由
- 資格よりも実務が重視されることがある
- 社労士事務所の求人数が少ない
- 社労士が増加している
資格よりも実務が重視されることがある
求人を募集している企業では、社労士資格の有無よりも実務経験がある人材を積極的に採用する傾向があります。
特に大企業では、「求人募集=即戦力となる人材」を意味するケースが往々にしてあるようです。
実務経験がある人の方が就職においては有利だといえます。実務が重視される傾向は社労士に限ったことではありません。
とはいえ、資格と実務経験の有無をわけて考える企業もあり「社労士=就職できない」とは言い切れません。
社労士事務所の求人数が少ない
社労士事務所の求人自体がそもそも少なく、就職するのは想像以上の狭き門。
少人数の社労士事務所が多く、1つの求人にたくさんの応募者が集まるため倍率が上がるということです。
同じ求人に実務経験がある人が応募していれば、実務経験が長くスキルがある人の方が有利になるのは仕方ないのかもしれません。
これが、社労士が就職できないと言われる理由のひとつです。
社労士が増加している
2021年4月末時点で、社労士として登録しているのは43,474人。特に都心部で社労士は多く、東京では11,038人が社労士として登録しています。
※参考:東京都社会保険労務士会とは
社労士に登録している人は年々増加しており、今後も増えることが予想され、パイの奪い合い起きています。
社労士が就職できないと言われる背景には、社労士が増加しているという側面があるのです。
社労士として活躍するには?
上記のような理由から、「社労士資格を取得しても就職できない」などと言われることがありますが、活躍している社労士が多く存在しているのも事実です。
では、社労士として活躍するにはどうすれば良いのでしょうか。
転職先の間口を広げてみる
社労士が活躍できる場所は幅広く、転職先の間口を広げてみるのがおすすめです。
社労士が得意とする人事・労務の分野はすべての企業に関係し、大手だけでなく中堅企業やベンチャーでも必要とされます。
特に、少人数の企業では、勤怠管理や労働・社会保険の手続ができる人材はそれほど多くありません。
そのため、社労士を持っていると重宝される傾向にあります。
また、年金事務所や一部の行政機関が社労士資格保有者を募集しているケースもあります。
理想とする職場にすぐ転職を目指すのではなく、別の場所で実績を積んでから再度転職するのも有効でしょう。
社労士の活躍の場は広いため、転職先の候補にいろんな選択肢を持つことが重要です。
副業から始めてみる
最近では副業を認める会社も徐々に増えてきているため、働きながら社労士として活躍できるチャンスがあります。
社労士の副業には、社労士会が実施するアルバイトやハローワーク、労働基準監督所などの行政機関でのアルバイトなどがあります。(行政協力)
実務経験がなければ転職ではどうしても不利になってしまうため、副業で実務を経験してみるのも良いでしょう。
また、自身に社労士業務の適正があるかをチェックするのにも役立ちます。
副業が軌道に乗れば、独立開業も夢ではありません。
転職サイトに登録して求人をチェックする
転職サイトに登録して、求人をこまめに確認する地道な活動も重要です。
社労士や人事総務の求人数は多くないため、ちょうどいいタイミングで求人が見つからないケースも少なくありません。
実務未経験でも、たまたまタイミングが合って採用に至ることもあるため、求人は随時チェックしてみてください。
転職サイトは基本的に無料で登録でき、興味がある求人があれば気軽に応募できます。
最近では、士業向けの転職サイトもあります。専門のコンサルタントがサポートしてくれるため、希望している条件に合った求人がみつかる可能性が高くなるでしょう。
※関連コラム:社労士とは?仕事内容や将来性・需要は?意味ない資格なのかも解説
社会保険労務士は決して悲惨な資格ではない
今回は、社労士が就職できないなどと言われる理由をお伝えしました。
社労士の就職では実務経験者が優遇される傾向にあるため、実務経験がない方にとっては就職が不利になるケースがあります。
さらに、社労士事務所の求人数自体が少ないにもかかわらず、社労士に登録している人が増えていることが、「社労士の就職状況が悲惨だ」などと言われる原因となっています。
しかし、これらは一部の意見であり、必ずしも正しいとは言い切れません。
事実、社労士の取得をきっかけに就職をされている方は多く存在します。
リモートワークの増加に伴い、労働時間の管理等、社労士が支援できる項目に対して企業が課題を感じており、社労士の需要はさらに高まるとも言われています。
社労士の仕事はまだまだ十分にあるため、社労士に魅力を感じているのであれば、取得を検討してみてはいかがでしょうか。