LINEで容姿やゆ、一部職員見て見ぬふり 裾野・園児虐待、「日常的」認識
2022.12.7
裾野市の私立さくら保育園の園児虐待事件で、暴行の疑いで裾野署に逮捕された当時の保育士3人の行為について、園が「日常的に多々見られた」と認識していたことが6日、園の内部資料で分かった。一部の職員は直接暴行を見たり暴言を聞いたりしながら、園児を助けずに見て見ぬふりをしていたという。
園の調査に対し、逮捕された女3人は虐待した理由について「園児が呼びかけに応じない、給食を食べない、水や牛乳を飲まないから」などと説明していた。園によると、主に虐待を繰り返していたのは沼津市岡宮、女(30)と裾野市平松、女(38)の2人。長泉町上土狩、女(39)は比較的関与が少なかったとされる。
市は同日、新たな虐待として「園児の写真に身体的特徴をやゆするなどのコメントを記し、保育士のLINE(ライン)グループに投稿した」を追加で発表した。確認された行為は「足をつかんで宙づりにする」「カッターナイフで脅す」「頭をたたく」など計16事例になった。
一連の行為を認識しながら、園児を助けたり3人を注意したりすることもなかった職員がいた一方、同僚の保育士=現在は退職=が8月中旬に市へ連絡して虐待が明らかになった。園長は市に通報しようとした保育士に土下座をして口外しないように頼んだとされる。10月下旬には「園の機密事項を漏えいしない」とする誓約書を全職員に提出させていたという。
園によると、園長は6日、体調を崩して入院した。
「業務に忙殺された」 逮捕の保育士
さくら保育園で園児を虐待したとして、裾野署に暴行容疑で逮捕された女(39)に接見した代理人弁護士が6日、取材に応じ、動機について「業務に忙殺されてやった」と話していることが分かった。
弁護士によると、女(39)は「園児の頭をバインダーで押さえつけた」「昼寝の前の忙しい時間帯に、教室内の遊具によじ登った園児に対する行為だった」などと状況を説明しているという。業務の引き継ぎのため、保育士間で作られたLINE(ライン)グループで園児の容姿をやゆしたあだ名で呼んでいたことも認めた。「親しみを込めて呼んでいた」などと釈明しているとした。
弁護士は5日に行った接見で、女(39)について「気が動転している様子だった」とし、園児や保護者に対して「大変申し訳なかった」と話していることも明かした。女(39)の逮捕容疑は、6月に男児の頭を殴った疑い。