●現実とともに2年の月日が経ったイカの世界
――世界観などのお話もうかがいます。今回は、前作から2年後という設定がありますね。海外のシューター系では、もっと大きな世界設定はありますが、ちょっと身近な設定があるのは珍しいなと思いました。
野上 前作から現実の世界が2年経っていたので、それとリンクさせたいなという気持ちがあって。前作のときにもお話をしましたが、あの世界に住んでいるイカの若者のあいだで流行っている最先端が、ナワバリバトルなんですね。その周辺にギアなどの文化があって。その流行が移り変わっているというのを、プレイヤーの皆さんのリアルな2年間と重ねて体験してほしいなと思いまして、2年後という設定にしました。
――前作では、主人公のイカたちは14歳というイメージがありましたが、彼らが16歳になっていると……。
野上 前作のプレイヤーだったイカたちは16歳になっていて、つぎの14歳が上がってきたというイメージです。今回のプレイヤーも14歳ですね。ミュージックライブのステージで峰岸(峰岸透氏。『スプラトゥーン』の音楽ディレクターで、作曲担当)が言っていましたが、音楽もトレンドも2年前とは違うものが流行り始めています。(『スプラトゥーン2』の曲に関する、峰岸氏のコメントは→コチラ)

――PVの曲なども大人っぽい雰囲気だと思いました。
野上 そうですね。ちょっとオルタナティブな雰囲気になってきていると思います。ストレートなロックから、ちょっとひねったものが流行ってきているというイメージです。そのあたりは、峰岸が意識的にやっています。
――PVでは後半にいろいろと気になるカットがあって……。言える範囲でお聞きしたいのですが、まずタコが復活するようですね。
野上 はい。今回もヒーローモードは用意しますし、当然、敵も出てきます。ただ、これも細かいところは研究中ですね(笑)。
――ジャッジくんの子どものような子ネコがいますね。
野上 子どもかどうかもわかりませんが、いっしょにジャッジをしているので、何か関係はあるのかなと。これもいずれ明らかになっていくかもしれません。
――そして、ホタルちゃんらしきキャラクターの背中が映ります。切なそうなイメージで、個人的に「シオカラーズ解散!?」と思ってしまったのですが……。
野上 アオリもちゃんと出てきますよ(苦笑)。アオリは、今回、ちょっと忙しくてPVに出れなかっただけで。そのあたりは、今後の発表をお楽しみにしてください。
――あとは、ロブが出店しているのも気になりました。
野上 おお! 細かいところまでご覧になっていますね(笑)。ロブのように、前作に出てきたキャラクターにも、登場の機会は与えたいと思っているんですが、舞台がハイカラシティからハイカラスクエアに変わっていますので、出てくるキャラクターも立ち位置が変わっています。たとえば、ロブは前作ではクツ屋の雇われ店長だったんですが、独立して自分の店を持っているようですね。
――新しいワゴンのお店、クツ屋じゃないですよね?(笑)
野上 食べ物系のお店ですかね(笑)。このように、ちょっと役割を変えているキャラクターもいます。
――では、そういった変化を探す楽しみもありそうですね。
野上 2年経って、イカたちの世界がどうなっているのかという変化を楽しんでいただければと思っています。現実の2年間で起こるような変化を描くことで、よりリアリティーを持ってイカ世界が存在しているように感じていただけるようにしています。自分といっしょにIP(知的財産)が育っているのが感じていただけるかなと。とくに、ロブなんてただの店員で、買い物以外では会話もないんですが、ファミ通さんのマンガの影響もあってか、皆さんにイジっていただいて(笑)。
――失礼しました(笑)。
野上 いえいえ、ありがとうございます(笑)。
――続いて、操作方法などをお聞きしたいのですが、Nintendo Switchのすべてのコントローラーに対応していると。
野上 すべてのコントローラーでプレイできるように開発しています。標準で入っているのがJoy-Conコンで、Joy-Conだけでも遊べますが、『スプラトゥーン2』としてはJoy-Conグリップに装着した状態で遊ぶのが標準かなと思います。それに加えて、Nintendo Switch Proコントローラー。別売りではありますが、体験してもらうとProコントローラーでの触り心地はかなりよく、『スプラトゥーン2』のプレイヤーには推奨しようかなと考えています。もちろん、携帯モードでも遊べます。
――スクリーンへのタッチは今回使わないのでしょうか?
野上 ゲームプレイには使わない予定です。スーパージャンプなどの操作も、スティックとジャイロなどの操作でできるように変更しています。
――変更点としていちばん大きい印象は、スーパージャンプだと思います。
野上 そうですね。前作でGamePadに表示していたマップ画面と三人称視点を使い分けるプレイ感覚は継承し、Xボタンで画面を切り換えるようにしたうえで、お客さんが前と同じようにジャンプ先を選んで飛べるという操作ができるように、いろいろ考えています。
――やはり慣れると一瞬で仲間のもとへ飛べるようになるのでしょうか?
野上 慣れたら、前作より早くなると思います。1プレイヤー、2プレイヤー、3プレイヤー、スタート地点と、それぞれのプレイヤーが各ボタンに割り振られていますので。また、変更点として画面上部に仲間や敵が持っているブキが表示されるようになっています。ですから、それを見ながらチャージャーのところに飛びたいと思ったら対応する方向ボタンを押して飛ぶといったことができるようになります。
――マップ表示中じゃないと、スーパージャンプはできないんですよね?
野上 はい。マップ表示中ですね。
――確かに、視点をGamePadに落とさなくなったぶん、慣れると早くなりそうですね。
野上 ただ、マップ表示に切り換えているあいだは三人称視点での画面が見づらくなってしまうので、そのあいだにスキができてしまうのは変わりません。前作同様、移動したり、ブキを使うことはできますが。
――ちなみに、マップ表示中にジャイロで動かせるポインターが出ていましたが、あれはどう使うんですか?
野上 スーパージャンプは方向ボタンとAボタンといった組み合わせになるのですが、ジャイロでポインターを動かして仲間を指定してAボタンを押しても選択できます。
――ジャンプがXボタンからBボタンに変わった理由は?
野上 Wii U GamePadは、右スティックがボタンの上部に配置されていましたが、Nintendo Switchでは、ボタンの下部に変更になっています。そのため今回は右スティックにより近いBボタンに変更しました。最初は戸惑うと思いますが、そちらの方が押しやすいのですぐに慣れていただけると思います。
――なるほど。それ以外は基本的に同じ感覚でプレイできると。
野上 そうですね。Wii Uのときと同じように遊んでいただけると思います。
――さらに今回は、持ち出して外でも遊べるようになりました。
野上 そうですね。ローカル通信にも対応しています。前作のプライベートマッチが、みんなで目の前に集まって楽しめるというのが、いちばんイメージしやすいと思います。Wii Uのときも、モニターを用意して持ち寄って遊んでくださっているという話も聞いたことがあるのですが、ふつうはできないので……。今回はもっと気軽にプレイできるようになります。
――みんなで集まって、目の前で声をかけながらプレイすると盛り上がりますよね。
野上 ずっとスプラトゥーン甲子園をやってきていましたが、目の前に友人がいて、声をかけながら遊べるのは楽しいと思います。今回はそれがもっとやりやすくなるなと。
――ちなみにローカル通信は、プライベートマッチ以外に新モードなどはあるのでしょうか?
野上 それは後日また……ということで。
――オンラインサービスの一環として、スマートフォンアプリを通じたボイスチャットなどができるとのことですが、『スプラトゥーン2』もこのアプリに対応するのでしょうか。また、どういったことができるのか、軽く教えていただけますか。
野上 もちろん対応します。アプリとゲームが連動していて、アプリ側でルームを作り、そこに集まった人どうしで、ゲーム側でマッチングをすることができます。ルームには、アプリ上の操作でフレンドを招待できますし、SNSなどを使ってフレンド以外の人を招待することもできます。ゲームを立ち上げる前からルームを作っておくこともできるので、たとえば、昼間のうちに、夜に『スプラトゥーン2』を遊ぶためのルームを作って友だちを招待しておき、人が集まったらゲームを始める、といった、“待ち合わせ”のような使いかたができます。さらに、アプリ上で同じルームに入室している人どうしであれば、ゲームのプレイ中に、アプリを通じてボイスチャットをすることができます。この機能もゲームと連動しています。たとえば、『スプラトゥーン2』のプライベートマッチでは、チーム分け前はルーム内の全員と自由に会話ができますが、チーム分け後は同じチーム内だけの会話に自動的に切り換わります。ボイスチャットができるのは、アプリ上で同じルームに入室している人どうしですので、見知らぬ人と会話ができるわけではありません。
――なるほど。今回の発表は、あくまで基本中の基本の発表というイメージですよね。
野上 前作で言うと、E3のとき+αの発表をしたというイメージですね。今回もやっぱりオンライン対戦が『スプラトゥーン』のいちばんのウリですので、そこが新しい要素でどう変わるのか、すべてではありませんが、その一端をお見せしました。先ほど、ヒーローモードはあるとお話しましたが、ほかにどんな要素があるのかなどは、随時お伝えしていこうと思います。まだ研究中のところもあるので……。
――楽しみにしています! あとはNintendo Switchの機能として、HD振動がありますが、これはどういう対応をしているのでしょうか?
野上 もちろん、HD振動にも対応します。表現力が上がっていますので、よりいい触感になるよう調整しようと考えています。
――チャージャーで、見事に撃ち抜いたときとかに震えるとうれしいですよね。
野上 はい、まさに(笑)。自分が倒した、やったと思うときに振動がリンクすると、手応えが増しますよね。振動は、そういった形で使いたいなと考えています。
――Nintendo Switchの性能によって、グラフィックもよりキレイになっているのでしょうか?
野上 グラフィックの向上も目指していますが、いちばん重視しているのは、60fpsで動かすことです。レスポンスを変えてはいけないと思っているので、それを実現したうえで、グラフィックを調整する予定です。
――ほかにも気になるところは、本当にいろいろあるんですが、そろそろ時間が……。そのほかに、前作からの変更点としては、前作で直したかった部分を修正しているイメージでしょうか。
野上 もちろん、細かい部分も含めて、いろいろと調整します。たとえばブキは、基本的には前作を踏襲しますが、それぞれのブキのよかったところ、長所を活かしながら、皆さんが好きなブキを使い続けて楽しんでいただけるように調整します。システム面でも改良や新しい要素の追加をしていきます。
――開発は順調に進んでいますか?
野上 そうですね。2017年の夏を目指してがんばっています。
――夏となると、『スプラトゥーン2』でスプラトゥーン甲子園をやるのかどうか……という点が気になります。
野上 甲子園をやるかどうかはまだわかりませんが、いままでの甲子園の形にとらわれることなく、何かしらの大会はできればいいなと思います。今回は持ち寄って遊べますので、公式の大会だけでなく、仲間どうしが集まって開催してもらったりとか、草野球のような、そういった形での大会文化を盛り上げていきたいですね。
――ゆくゆくは、Nintendo Switchのティザー映像で公開されたように、大きなホールで世界中の人が集まるような大会を開催したり……。
野上 できたらいいですね。正直に言いまして、ここまでお客さんに支えていただかなかったら、スプラトゥーン甲子園のあの盛り上がりはありませんでしたから。第2回の甲子園も、発売からかなり時間が経っていたのに多くのお客さんが参加してくださって。お客さんに支えていただいているなと思っています。ですから今回も応援をお願いしたいと思いますし、僕らとしてもその応援に全力で応えていきたいと思います。
――2017年5月で発売から2年になりますが、『マリオカート8 デラックス』にイカちゃんたちが登場することになりましたし、任天堂の看板タイトルのひとつになりましたね。
野上 まだまだ精進しないといけないと思っていますが、それもたくさんの方に応援してもらっているからこそできたと思っています。今日(Nintendo Switch体験会 2017)も多くの方が詰めかけてくださって。来てくださった方、全員に触っていただけないのは、本当に心苦しいのですが、これだけ多くの方たちに応援していただいているというのは、僕らとしても大きな励みになります。もっとよりよいものを作っていくパワーにしたいなと思います。
――今後も、どこかで遊べる機会はあるのでしょうか?
野上 体験会という形になるかどうかはまだわかりませんが、なるべくたくさんの方に触っていただける機会は考えたいと思っています。
――前作はハードが発売して数年経った後でしたから、“試射会”などもできましたが、今回は新ハードですからね。
野上 今回は新しいハードで、本体といっしょに購入をご検討いただいている方もいらっしゃると思うので。何らかの形で、『スプラトゥーン』に期待してくれている方にもお届けしたいなと思います。
――ちなみに、ファンにとっては、前作のサービスがどうなるかも気になると思います。
野上 それは、ご安心ください。サービスは継続します。ずっと……というわけにはいかないかもしれませんが、Nintendo Switchが発売されたからといってすぐに終わることはありませんので、引き続き、お楽しみください。
――では最後の質問……の前に、個人的にずっと気になっていたんですが、野上さんが着ていらっしゃるそのTシャツのデザインは『スプラトゥーン2』の……。
野上 そうです。今度のイカTです。前作のイカTは、ひらがなで“いか”と書いてあるように見えたんですが、今回のはよく見ると……。(編注:下のTwitterで公開された、ボーイが着ているTシャツと同じデザイン)
――カタカナの“イカ”に見えた! なんて書いてあるのかわからなかったんですが、一度見えてしまうと、それにしか見えませんね(笑)。それでは最後に、世界中の『スプラトゥーン』ファンに向けてメッセージをお願いします。
野上 まだ発売は少し先になりますが、応援し続けてくださっている皆さんも、これから始めようと思っていらっしゃる皆さんも、新鮮な気持ちで『スプラトゥーン』の世界に飛び込んで、また長く遊んでいただけるものを提供しようとしていますので、楽しみにお待ちください。まだまだ解明されていない情報はあります。これからちょっとずつ紐解いていきますので、イカ研究所からの報告をお待ちください。よろしくお願い致します。
――ありがとうございました!
タイトルとともに、ついに正式発表された『スプラトゥーン2』。新たなブキの追加などが発表されたが、まだまだ明かされていない情報がありそうだ。今後のイカ研究所からの報告も楽しみだが、週刊ファミ通2017年2月23日号(2017年2月9日発売)で掲載中の、Nintendo Switch6号連続特集の第3回では、『スプラトゥーン2』&『マリオカート8 デラックス』、『いっしょにチョキッとスニッパーズ』の最新情報をお届け。ぜひチェックしていただきたい。
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