越境EC特集/中国の規制は2019年に激変した

最終更新日:2022年11月29日
Takanal
監修者
中村 駿輝
越境EC特集/中国の規制は2019年に激変した

中国で越境ECを行う場合、販売を行うその地の法律に従わなければいけません。商売ですから、似たような法律とはいっても、細かな部分が違ってくるので注意が必要です。法律というよりも規制といった方がいいでしょう。特に、中国は社会主義国家です。ちょっとしたことから中国当局から規制の対象になるかもしれません。そのため、中国で越境ECを行う場合は、当地の規制などにも十分な注意が必要です。中国も近年規制緩和が行われています。2019年の動向も踏まえて、越境ECの中国で行われている規制や規制緩和なども詳しくご紹介します。

中国リスクや規制は過去のもの?2019年の越境ECに朗報が!

2019年も中国において「越境EC輸入販売政策」が実施されています。これによって2016年に施行された、越境EC新制度による通関証明書など実施猶予が延長されているのです。

これは中国自身が越境ECでの販売を協力に後押ししている表れであるのは間違いありません。日本において中国向けの越境ECをすでに行っている人、これから考えている人にとっては紛れもない追い風です。

とかく、中国での商取引において規制が多いと考えがちです。しかし、良くも悪くも共産党一党独裁政権である中国は、方向性が決まればドラスティックに邁進する力強さがあります。

当局の後押しがあるのですから、それは力強い流れとなるのは間違いなく、そこに大きなビジネスチャンスを感じる人は多いことでしょう。ある意味、中国の規制は2019年に激変し、越境ECにとっては紛れもなく良い流れとなっているのは間違いありません。

次に2019年に起きた越境ECに対する4つの変動点について詳しくご紹介します。

許認可・届け出の緩和

「越境EC輸入販売政策」は越境EC新制度とも呼ばれています。これは2016年4月8日に制定されました。

この越境新制度は、新規輸入に対して輸入許可証、登録、届け出が必要という通関手続きに関するものです。化粧品や幼児用粉ミルク、医療機器、特殊食品など、中国で人気となっている日本製品ですが、これらの商品についての通関手続きが必要と決定されたのです。

しかし、実際には実務上対応が難しいということで、2016年5月に実施が1年延長されました。その後、さらに実施が延長…。

最終的に2018年12月末まで延長されたのです。越境ECを行う側にとって、面倒な手続きが猶予されているわけですから、歓迎ムード一色なのは当然のことです。

それでも2019年からは、通関手続きが始まることは覚悟されていました。しかし、2018年11月21日に越境EC新制度の猶予期間はさらに延長となったのです。

これによって、現状も越境EC輸入商品に関して輸入許可書、登録、届け出の必要はなくなったのです。もちろん、(廃止ではないので)これからの手続きの実施に含みを残している形ですが、越境ECを行っている人にとっては、煩雑な事務手続きから解放されているわけですから、朗報であることは間違いありません。

越境ECエリアの拡大

中国での越境ECの適用エリアは従来までは15都市でした。それが新たに22都市が加わりました。

中国が越境ECに前向きな姿勢が浮き彫りとなった形です。適用エリアは元々政策適用地域と呼ばれていたものです。

EMS等を用いた直送モデル、さらには保税区モデルなどがありましたが、これらがこれまでの15都市から22都市増えて、37都市になったというのですから、倍増以上の拡大です。

これまでは、上海市、重慶市、天津市、広東省: 広州市・深セン市などの15都市でした。それが22都市増えて、その中には北京市、内モンゴル自治区: フフホト市、ハルピン市などが含まれているのです。

これによって中国の主要都市がフルカバーされる形です。「越境EC総合試験区都市」とされているもので、これらの都市では、BtoBでの技術標準、業務プロセス、管理モデル、情報化といった分野で試験的な試みが実施されます。

さらに、各地区では物流、倉庫、通関などのプロセスや審査の簡素化、通関関連業務の一本化、そして情報共有をなどが実施されています。

輸入限度額の引き上げ

これまで、越境ECでの1人あたりの購入額に限度額が設けられていました。これまで、越境EC1回の利用にあたって2,000元(約32,000円)でした。

それが、2019年では1回あたり5,000元(約80,000円)に増額されたのです。そして、年間の上限額というのも設定されています。

年間の上限額は1人あたり20,000元(約321,000円)だったのですが、これが26,000元(416,000円)に拡大されたのです。これは、単純に越境ECサイトのビジネスチャンスの拡大ということになります。

さらに、今後は所得に応じて年間上限額も引上げられていくということですから、さらにビジネスチャンスが広がりそうです。

輸入関税優遇商品の追加

2019年には、税金適用商品が新たに63種類追加されています。中国では商品によって輸入関税の優遇が認められてきました。

この63種類の追加によって、全部で1,321品目となるようです。追加された商品の品目は、スパークリングワイン、麦芽原料のビール、トレーニング機材といった近年ニーズが特に高いものとなっています。

これらの商品は、輸入関税の優遇品種の拡大、増加につながるものです。優遇追加商品が増えることで、これからの越境ECサイトでの商品購入を後押しすることになるのは間違いありません。

「中国電子商務法」と「越境EC輸入販売政策」の違い

中国での越境ECサイトでの売上げを伸ばすためには、中国での法律をしっかりと頭に入れておく必要があります。そこで、「中国電子商務法」と今回の「越境EC輸入販売政策」違いなどを簡単にご紹介します。

この2つの法律は全くの別物です。越境ECですから、「越境EC輸入販売政策」だけを意識しておいたらいいというのは間違いです。

「中国電子商務法」は、これまで商品を個人で仕入れて、中国国内で販売し、営利活動を行っているバイヤーに対して、登録を義務付けるものです。その狙いは、脱税させないようにするための法律ということになります。

消費者保護に関するものや知的財産権保護などを法令化しているものです。中国ではこれまでこのような法律が整備されていませんでした。

そこで、電子商取引の骨格として、「中国電子商務法」が整備されたのです。越境ECをターゲットにしたものというわけではなく、電子商取引の根底にある法律と考えていいでしょう。

そのため、「中国電子商務法」では登録証のない人が大量の商品を中国に持ち帰ることは違法とされます。さらに、インターネット上のプラットフォームでの販売する際も登録証が必須となるのです。

ただし、現時点では越境EC事業者を規制するものではありません。ただし、現時点では…ということで将来的になんらかの規制強化が行われる可能性もあるので、「中国電子商務法」についてはしっかりと認識しておく必要があります。

商取引をする上で、根底にある法律が「中国電子商務法」ということです。

一方の「越境EC輸入販売政策」です。中国が定めた『越境ECの健全な成長・市場開拓を促進するための政策』です。

先述した政策の猶予延長もこの法律で決められています。他にも、税率の優遇品目追加、越境EC特区の拡大などもこの法律内で定められているものです。

数々の緩和政策や優遇政策がこの「越境EC輸入販売政策」の中で決められています。この動きを見る限り、中国は越境ECに対してかなり積極的に推進しているといえます。

日本企業・個人が越境ECを成功させるポイント

中国での越境ECの緩和政策(実質的には優遇措置)はまだまだ続くことが予想されています。それは、多く買ってもらうことで経済が活性化するのですから当然のことといえるでしょう。

一頃は、越境ECに参入さえすれば売れるといった状況でした。さらに、中国政府の緩和政策もあってそういった傾向が助長されたといっていいでしょう。

中国の経済成長が続く限りこの動きはこれからも続きそうですが、そうなると過当競争になるのは間違いありません。体力に劣る企業は淘汰されるでしょう。

個人で越境ECを行っている場合はなおさらです。そのため、右へ倣えといった方式ではなく、オンリーワンがこれからの越境ECで生きていく秘訣といっていいでしょう。

個人であればなおさら、ニッチな世界で生きていく…といったことが求められるのです。

現在の中国の越境ECに対する政策は、間違いなく追い風です。だからといって、越境ECサイトを開けば誰でも成功するというものではありません。

集客を増やすことと売れる商品を用意すること…この2点に尽きるのですが、この考え方は日本国内でも一緒です。国内で売れないから越境ECを始めるといった安直な考えではなく、日本で成功したから越境ECでも成功するといったイメージを持つことが大切です。

個人とはいっても、越境ECではある程度の資金も必要です。そのためにも日本国内で成功したノウハウと資金を活かす戦略が必要となるのは間違いありません。

越境ECの次のステージは「ソーシャルコマース」

日本でのEC事業は長く、『スマホ対応』がキーワードとなっていました。スマートフォンの使用率・所有率上がるに連れて、ビジネスチャンスとばかりに、アプリの開発を始めとして多くの企業や個人がスマホ事業に参入したのです。

ECの主役がPCからスマホに取って変わったのは間違いなく、現在は家庭でのPCの所有率が下がっていますし、PC自体の国内販売台数も減少に転じているのです。コレは日本だけではなく、世界的な傾向となっています。

そして、注目されるのが中国です。巨大な中国市場ですから、EC事業といっても一括りにできるものではありません。

注目したいのは、SNSを活用した『ソーシャルコマース』です。中国での市場規模は、2019年ですでに947億元(約1兆5,000億円)にも及んでいるのです。

すでに多くのECプラットフォームがひしめいている中国市場です。これにSNSアプリがECプラットフォーム化するのです。すでに中国最大のSNSである『WeChat』は多彩な機能を有し、中国国民の購買活動と密接に繋がっています。

SNSですから、口コミ・ECを兼ね備えた『RED』も人気で、ひとたび口コミで高い評価を得れば爆発的なヒットが期待できるのです。

SNSでの口コミや評判が大きく影響するのは、中国人の警戒心の高さを物語っているという声もあります。それだけにSNSを活用するのは越境EC事業を始めるうえでも、決して無視できる存在ではないのです。

これからは、ソーシャルコマースを駆使しなければ越境EC(中国市場)では生き残れないとも言われています。ソーシャルコマースのメリットは以下の3つに集約できます。

  • 顧客との信頼関係が構築しやすい
  • 顧客獲得のコストが安い
  • 企業のブランドイメージが構築しやすい

以上の3つを兼ね備えることで越境EC事業者にとってはおおきなアドバンテージとなるでしょう。さらに、この3つが確立できればすでに成功者といえます。

越境EC×ソーシャルコマースで注目した4つの手法

越境ECを成功させるうえでの急成長するソーシャルコマースの4つの手法は以下の通りです。

  • (1)共同購入型
  • (2)ディストリビューション型
  • (3)コンテンツシェア型
  • (4)地域共同購入型

次にそれぞれの手法についてご紹介します。

(1)共同購入型

商品のクーポンを発行するタイプです。消費者が集まってまとめ買いをすることで割引となります。

日本で言うグルーポンに近い共同購入と言えます。日本では批判が多く、数々の事件のあったグルーポンのシステムですが、日本で流行った販売形式というものは、ある程度中国でも流用できます。

失敗を踏まえた上で、越境ECで活かすことができるのも強みといえるでしょう。

(2)ディストリビューション型

簡単に言えばマージン方式です。SNSで情報共有することで、商品が売れたらマージンが入る仕組みとなっています。

例を挙げると、1,000円の商品をシェアして1個売れたら10円、100個売れたら1,000円支払われるイメージです。

(3)コンテンツシェア型

写真やテキストといったコンテンツをオシャレに作り込んでシェアする方法。日本でインフルエンサーが商品をPRしたり、インスタグラマーがリポストした商品を購入したりするものと近いやり方です。

(4)地域共同購入型

不特定多数の人が共同購入するコンテンツシェア型とは違って、友人・知人さらには近所の人と一緒に購入します。消費者がSNSでシェア・拡散して友達を集める方式です。

人数が集まると割引価格で購入できる仕組みとなっています。

アプリもやはり注目すべき

越境ECを考えるときに、SNSを味方につけるのはとても大切です。ある意味成功を左右するといってもいいでしょう。それと同時にスマホ対応も大切になってきます。

そうなると、アプリということになるのですが、中国発のアプリとして日本でも人気なのが、ショート動画アプリ『TikTok』です。

ショート動画の需要は日本でも中国でも高く、大ヒットとなりました。そしてこの『TikTok』がソーシャルコマースにも活用されているのです。

忙しい現代人は長い動画を見る余裕がありません。それを逆手にとった15秒程度のショート動画が人気なのです。

これは、身近にも古くから存在しています。テレビ番組の合間に流されるコマーシャルと一緒です。

人は短時間にビビっと来たものに惹かれます。『TikTok』が受けているのも必然的と言えるでしょう。

厳密には『TikTok』は商品PR動画ではありませんが、10回に1回程度はコマーシャル動画が流れます。頻繁に流れると敬遠されるので、適度な頻度といっていいでしょう。

この『TikTok』の他にもさまざまなアプリが存在します。先述した4つのソーシャルコマースにもアプリが存在していますし、特にスマホを活用した共同購入アプリなどに大きな注目が集まっているのです。

中国市場で成功するために

「越境EC輸入販売政策」の内容をみると、越境ECに対する中国政府の積極的な支援というものが見えてきます。背景には中国の経済成長とそれに伴う中国人民の購買力の上昇があるのは間違いありません。

中国での越境ECの取引額は、対日本・米国で2兆7,556億円ということです(2017年)。これで前年比26.7%の増加と言うことですから、中国での越境ECの事業規模はまだまだ大きくなっていくことでしょう。

それには、「越境EC輸入販売政策」の内容も気になりますが、新型肺炎以外の不安要因は見当たらず、これからの伸びていくのは間違いないでしょう。

また、越境ECを成功させるポイントはソーシャルコマースの活用です。それには中国人のスマホの活用形態などを考慮しなくてはいけません。

中国人は気の合った仲間などでチャットグループを作るのが好きです。多くの中国人がなんらかのチャットグループに入っているといっていいでしょう。

日本でのLINE交換をするのと同じ感覚です。そのチャットグループなどの口コミで商品が遡上にのり、共同購入といった流れになるとそれだけで、越境ECでの大きな成果となるでしょう。

そういったところに訴求効果を求めるのが越境EC成功の秘訣といえそうです。

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監修者の一言

規制が緩和され追い風であっても販売方法はしっかり考えなければなりません。越境ECに限ったことではありませんが、販売方法としては大きく2パターンに分かれます。

一つはECサイトプラットフォームへの出店です。中国では天猫(Tmall)や京東(JD)といったサイトがあります。これらのサイトに出店するためには、厳しい審査に通る必要があり、さらに高額な初期費用や年会費などがかかります。その代わりにプラットフォーム自体の集客力を利用できるメリットがあります。

もう一つは自社ECサイトを制作する方法です。審査への通過が難しい場合にはこちらの方法を取ることになるでしょう。越境ECに対応したカートシステムのShopifyなどを利用すれば、比較的少ない工数で中国語対応や、中国でよく使われている決済方法を導入することが可能です。

プラットフォームのような集客力はないため、広告の出稿や中国で利用できるSNSなどを利用して集客できるよう、運用のための予算も大きく必要となってきます。

Takanal
中村 駿輝
監修者

フリーランスとしてECサイトの構築代行を中心に活動中。自身でもECサイトを運営しており、その経験からクライアント様の目線に立った提案を行う。サイトの構築だけでなく、SNS等での集客、運用方法の解説、商品画像の作成など、納品後もサポートするパートナーになれる。他にもホームページ制作、WEBサービス開発、スマホアプリ開発などの経験があり、WEBやITに関する困りごとを幅広く相談が可能。

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