ほとばしる熱気と殺気…!俳優・夏八木勲の野性は、いかにして生まれたのか

俳優は肉体で語るべし。それを体現した男
週刊現代 プロフィール

俳優・江藤潤が明かす「肉体鍛錬の裏話」

映画『戦国自衛隊』(1979年)に出演したとき、だいぶご無沙汰していた僕に、夏八木さんは「久しぶりだね」と気さくに声をかけてくれました。

僕の12歳年上ですが、撮影の現場では主演の千葉真一さんと一緒に上半身をむき出しにして筋肉の見せ合いをしたりして、その若々しい姿がうらやましくもありました。

当時、夏八木さんは「体を鍛えたいなら、水は飲んじゃだめだ」と言っていました。

「肉体鍛錬に水は大敵」と思われていたからです。

あの映画の撮影は、オールロケで3ヵ月におよんだので、体調管理のためのアドバイスをしてくれたのでしょう。

 

ところがその後、「運動の際は水を飲まないと危険」というのが定説になりました。

撮影現場で顔を合わせたとき、夏八木さんが「僕らが水を我慢して、苦しい思いをしてきたのは何だったのかね。考え方は時代によって変わるものだね」としみじみ語ったのを覚えています。

一徹でありながら柔軟なところもあるから、演じる役の幅も広かったのだと思います。

「週刊現代」2022年11月19・26日号より

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