今後、外交の大きな節目になるのは、やはり対中関係だろう。日本は米中対立では完全に米側に立っており、中立という選択肢を持っていない。アメリカがウクライナ戦争に軍を派遣していないのを見る限り、台湾有事の際も中国と全面戦争をする気はなく、代理戦争を日本にやらせることになりそうだ。
この事態を避けるアイデアがない者は、今後の外交を語る資格がないといっても過言ではない。従来の無条件の対米追従という原則の外に出て、帝国主義と一線を画す名誉ある中立を目指すことができる者こそが次世代のリーダーたりうるのだ。もっとも、現状、そのような理想を唱える者は現状維持派からは「ドン・キホーテ」や「お花畑」と謗られる。
日本が「主権国家」を目指すために
ではこのまま政治の劣化、民主主義の崩壊を加速させるべきか? 最低な指導者による悪政、暴政が続けば、第二の敗戦は必至ゆえ、焼跡からの再出発を繰り返すことになるが、それしか再生の道はないのか? すでにアメリカはトランプ主義者により、崩壊が加速している。かつてナチスと心中した大日本帝国は、「ナチスの手法を模倣する」(麻生太郎氏は過去こうした発言をした)ことで、アメリカと心中したり、統一教会に滅ぼされるべきなのか? あるいは相対的に中国や習近平の方がマシとして、親中に逆張りする人が増えてくる可能性もある。
プーチンは、他国に安全保障を依存する国は主権国家ではない、といっているが、その定義に従えば、日本は最初から主権国家ではなく、属国に過ぎなかった。だが、アメリカの凋落に合わせ、主権国家を目指すなら、日米安保を大胆に見直し、米軍に依存せず、自前の軍隊で自国の安全保障を実現することになるが、引き換えに中国、ロシアの軍事的脅威と直接向き合わなければならなくなる。
結局のところアメリカの属国から中国の属国に変わるだけの話かもしれない。どっちに転んでも属国になるのなら、いっそ憲法9条に忠実に自衛以外の戦争の放棄を再宣言し、中立を目指す手もある。それこそが主権国家の体裁を保つ確実にして唯一の道かもしれない。