2022.11.25

【島田雅彦 特別寄稿】「安倍銃撃」を通して明るみに出た「日本を売るエリートたち」という大問題

島田 雅彦 プロフィール

今後、同様のテロや犯罪が起きるとすれば、利権に与れなかったか、ボスや仲間に「裏切られた」との思いを募らせた極右サイドの内ゲバという形で起きる可能性の方が高い。歴史反復の法則が今回も適用されるなら、そうなるはずなので、政府は共産党ではなく、極右サイドに監視の目を向けた方がいいだろう。

さんざん、反韓、反朝鮮のヘイトにかまけてきた極右が、正真正銘の反日組織と癒着した自民党をなぜ黙認しているのか理解に苦しむが、彼らの愛国も所詮、利権と同じ意味しか持たず、利権さえ得られれば、反日カルトにも与するのだろう。テロで利権が危うくなり、また結束が乱れたので、新たな利権を貪ろうと企んでいるなら、これこそ正真正銘の売国奴である。

 

アメリカ隷属のリアル

アメリカが親中路線に大きく舵を切ったとしても、それによって日本が滅亡するわけではない。

日本がアメリカに隷属し、反日組織に奉仕している人たちが権力の中枢に座っており、売国奴が一番威張っていることへの義憤は誰にも多かれ少なかれあるが、同時にこの期に及んで反米を唱えても始まらないとも思っている。そういう諦めの効能を説く人たちは極右、保守、リベラルを問わず、多数派を占めている。

この状況に一矢報いる方法はないかと考えた結果、主人公をCIAに就職させるという設定を思いついた。まずはCIAのパートナーという立場、すなわち内部の人間の視点に立つことで、現在の政治や外交、安全保障の問題が俯瞰的に見られるようになった。

実際CIAに就職するにはどうしたらいいのか具体的に調べたら、サイトで公募をしていた。応募用紙には学歴、資格や技術、使える言語、宗教、借金の有無、趣味、病歴、家族構成などを事細かに書く。CIAは各国で情報提供者や協力者を養成し、アメリカの国益に奉仕させている。

本作では主人公御影寵児がコロンビア大学に留学中に、CIAとつながりの深い教授の推薦を得て、資格審査を受ける設定にした。かつて、CIAの情報提供者になるよう求められたある新聞社のワシントン支局長や留学生の話を本人から聞いたことがある。アメリカの反共政策に協力することで公職に復帰した元戦犯岸信介は笹川良一、児玉誉士夫らと共にCIAと連携し、かつ韓国利権を貪る一環で統一教会と太いパイプを作った。

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