| チョークの製造現場を見て回る吉川署員ら=三郷市の日本白墨工業三郷工場 |
業務で使用する製品に対する理解を深め、仕事に役立てようと、吉川署は駐車違反や事故捜査などで使用する「マーキングチョーク」を製造する三郷市の日本白墨工業三郷工場(本社・東京都葛飾区)を見学した。
近藤佑一署長をはじめとする署員ら47人は2代目の宮本昭会長(83)から、チョークや会社の歴史について説明を受け、工場内で石こうチョークや炭酸カルシウムチョーク、マーキングチョークなどを職人たちが製造するのを見て回った。同社は天神印、菅公などのブランドで親しまれるチョークメーカーで、1924年に都内で前身の文化チョーク製作所として創業。現在は生産部門など大半の機能が三郷工場にある。
宮本会長によると、マーキングチョークは樹脂を入れて固める特殊なワックスタイプの工業用チョーク。東京・秋葉原の警察署から「書きやすいチョークを開発してほしい」と依頼を受けて開発され、各県警や警視庁などで採用されているという。署員らによると、クレヨンに似たマーキングチョークは路上に書きやすく、雨に強いという。
同署地域課の原憲太郎巡査(21)は「このチョークがあるからこそ、迅速に事件や事故に対応できている気構えができた」と振り返る。同課の手島由紀子巡査(23)も「こんなに暑い中で汗水垂らして作ってくれている。長い間、苦労があってチョークができていると感謝している」と振り返った。
業界の第一線を走り続ける秘訣(ひけつ)を宮本会長は「負けず嫌いで人が嫌がることも率先してやってきた。頼まれたことは嫌とは言わず、戦時中は空襲も体験して反骨精神でやってきた」と語った。