この記事が出ているということは、まあそういうことなんだろう。アンチフェミ、表現の自由戦士と呼ばれる一群はとにかく同じ話を蒸し返し、その中で歴史修正を繰り返すのが常態化しているから……。まああるいは単に記事掲載順の都合で出てるだけかもしれないけど。
この記事を書いているのはまさにここで話題にする問題が大騒動になって一応、ひと段落したことになる4月下旬である。これ以上、この話題で追加する記事もないだろうという目算が立ったので特集記事としてまとめておくことにする。本当に追加されないといいな……。
ことの発端は4月4日、日経新聞に『月曜日のたわわ』という漫画の広告が掲載されたことである。この漫画自体問題点が多く批判の対象であるが、本筋でないのでひとまず置くとして……。この広告が掲載された際、コミックナタリーがTwitterの公式アカウントで宣伝を行い、また広告意図などをインタビューした記事を掲載した。それにより「不安を吹き飛ばし、元気になってもらうため」つまり女子高生を男を慰撫する道具として用いたことが明白となり、批判の対象になったわけである。
『月曜日のたわわ』新聞広告批判と繰り返される愚論
『月曜日のたわわ』広告批判への愚論への反論――歴史修正を防ぐための覚書
そうした簡単な経緯と、こんなシンプルな批判にすらまとわりつく愚にもつかない反論風の誹謗中傷について簡単にまとめたのが上の記事である。特に下段の記事ではアンチフェミニスト、表現の自由戦士として台頭する『神崎ゆき』というアカウントが画像に多くの「疑問点」をまとめて議論を試みた。この「疑問点」自体、事実誤認と無理解に基づく一種のシーライオニング的効果を狙ってのものだったが、いかんせん画像化されているので今後も用いられる可能性があったので、今回労を払って丁寧に潰しておいた。もしこいつが同じことを蒸し返すなら上記の記事を活用してもらえるとありがたい。
で、これら一連の問題は国連女性機関UN Women(以下UNW)が出てくることでさらに混乱する。そもそもなぜUNWが出てきたのかと言えば、日経がUNWの提唱する「アンステレオタイプアライアンス」に加盟しているからで、要するに「お前これ守るっていったじゃん。なんで守ってないの?」と詰められる格好になったわけだが、どっこいこのUNWの出現は事態をさらに混迷に叩き込んだ。
国連女性機関(UN Women)が『月曜日のたわわ』日経広告に行った抗議への誤解を整理しておく
詳しくは上記の記事を読んでほしいが、よっぽど国連から批判が飛んだのが痛かったらしく誹謗中傷の嵐となった。当然、その中に正しい事実認識に基づくものはまったくない。しかし……。
国連女性機関(UN Women)に関する陰謀論が行きつくとこまで行きついたので記録
上記の記事に詳しい通り、ついにUNWは「第三者機関という利権を求めて日経に突っかかってきたんだあ!」とする陰謀論まで展開された。「第三者機関という利権」ってなんだろうねと思った人、正常です。日本語だけど意味の分からない文章の典型だからな。この陰謀論はもともとあった「フェミは検閲機関を作って表現をコントロールしたいんだ」という陰謀論が柱になりつつも、非常に典型的なカルト陰謀論発生の様相を呈しており、まさか自分が陰謀論発生の瞬間を目撃するとは思っていなかったので非常に興味深く、そして恐ろしく見ることとなった。
我々はそろそろ本気で『表現の自由戦士』的クリエイターとの付き合い方を考えないといけないかもしれない――知念実希人という作家の動きから
そしてこの陰謀論発生の中で、エコーチェンバーの構成要素として大きな役割を果たしたのが医者兼小説家の知念実希人だった。私は彼の『天久鷹央の推理カルテ』シリーズの愛読者なので、以前からの動向をひどく陰鬱とした気分で見ていたわけだが、ついに超えてはならない一線を(すでに超えていたと言われればそれまでなんだが)超えた感じである。表現の自由戦士と呼ばれる一群の動向はますます蛮族化しており、クリエイターも決して無視できない数がその流れに乗っている以上、良識あるフィクションの享受者たる我々は、彼らとの向き合い方をいよいよ真剣に考えないといけない時期に来ている。
それに付随する補足で、記事を書こうと思ったのだが書くタイミングがなかったことをついでにここに書き留めておこうと思う。それは以下のツイートに端を発する。
さて、ここで知念が言及している作品は『JKハルは異世界で娼婦になった』だと推測される。私も原作についてはレビューで扱ったし、拙作『不浄の聖女』を執筆する際に参考にした作品だ。異世界転生物というジャンルを語る上では外すことのできない作品だとも思っている。ところが知念はあろうことか、こういう言及の仕方をしたわけである。
言うまでもなく、『月曜日のたわわ』と『JKハル』はまったく構造の異なる作品である。それは単に現代日本を舞台にするか異世界を舞台にするかの違いではない。前者はもう身も蓋もないことを言ってしまえば男性にとってどこまでも都合のいいヒロイン『アイちゃん』を提示して読者を慰撫するためだけの漫画だ。R18じゃないだけのポルノという激しい言い方も、ある種妥当ですらある。なにせヒロインの名前が「バストがIカップだからアイちゃん」という酷さだ。これが男にとって都合のいい女体として提示されたヒロインでなくてなんだというのか。
一方、『JKハル』は男性を慰撫するために存在するのではない。男性中心的な設定マシマシのなろう系異世界に転生してしまった女子高生ハルが、そんな男尊女卑の世界を生きていく物語だ。身寄りのない彼女が生きていくには娼婦になるほかなく、その中で様々な経験をしていく作品である。漫画版を私は読んでいないが、少なくとも原作においてはハルは男性のために都合よく差し出されたキャラではない。過激なセックスシーンも描かれるが、合意の上での性行為と、売春とは名ばかりの性暴力はきちんと書き分けられていた。
問題はそういう作品である『JKハル』を、『月曜日のたわわ』を擁護するためだけに持ち出していることだ。おそらく知念は『JKハル』を読んでいないだろう。読んでいてこの理解なら、プロの作家としては致命的過ぎる読解力不足と言わざるを得ないからだ。おそらくタイトルだけで適当に内容を推測し、当てつけのように出してきたのだろう。あえてタイトルをそのまま書かなかったのは、自身が内容を把握していないからこそ追及されないための姑息な逃れである。そう考えるほかあるまい。
要するに我々良識あるフィクションの享受者は、何年も前から、そしてこれからもこういう不誠実なクリエイターとの付き合い方を考えてきたし、考え続けなければならないのだ。連中と一緒になって「表現の自由!」と叫んでいれば楽だが、その楽は真綿のように自身を絞めることになる。それに気づかぬは馬鹿ばかり、である。
この記事を書いているのはまさにここで話題にする問題が大騒動になって一応、ひと段落したことになる4月下旬である。これ以上、この話題で追加する記事もないだろうという目算が立ったので特集記事としてまとめておくことにする。本当に追加されないといいな……。
ことの発端は4月4日、日経新聞に『月曜日のたわわ』という漫画の広告が掲載されたことである。この漫画自体問題点が多く批判の対象であるが、本筋でないのでひとまず置くとして……。この広告が掲載された際、コミックナタリーがTwitterの公式アカウントで宣伝を行い、また広告意図などをインタビューした記事を掲載した。それにより「不安を吹き飛ばし、元気になってもらうため」つまり女子高生を男を慰撫する道具として用いたことが明白となり、批判の対象になったわけである。
『月曜日のたわわ』新聞広告批判と繰り返される愚論
『月曜日のたわわ』広告批判への愚論への反論――歴史修正を防ぐための覚書
そうした簡単な経緯と、こんなシンプルな批判にすらまとわりつく愚にもつかない反論風の誹謗中傷について簡単にまとめたのが上の記事である。特に下段の記事ではアンチフェミニスト、表現の自由戦士として台頭する『神崎ゆき』というアカウントが画像に多くの「疑問点」をまとめて議論を試みた。この「疑問点」自体、事実誤認と無理解に基づく一種のシーライオニング的効果を狙ってのものだったが、いかんせん画像化されているので今後も用いられる可能性があったので、今回労を払って丁寧に潰しておいた。もしこいつが同じことを蒸し返すなら上記の記事を活用してもらえるとありがたい。
で、これら一連の問題は国連女性機関UN Women(以下UNW)が出てくることでさらに混乱する。そもそもなぜUNWが出てきたのかと言えば、日経がUNWの提唱する「アンステレオタイプアライアンス」に加盟しているからで、要するに「お前これ守るっていったじゃん。なんで守ってないの?」と詰められる格好になったわけだが、どっこいこのUNWの出現は事態をさらに混迷に叩き込んだ。
国連女性機関(UN Women)が『月曜日のたわわ』日経広告に行った抗議への誤解を整理しておく
詳しくは上記の記事を読んでほしいが、よっぽど国連から批判が飛んだのが痛かったらしく誹謗中傷の嵐となった。当然、その中に正しい事実認識に基づくものはまったくない。しかし……。
国連女性機関(UN Women)に関する陰謀論が行きつくとこまで行きついたので記録
上記の記事に詳しい通り、ついにUNWは「第三者機関という利権を求めて日経に突っかかってきたんだあ!」とする陰謀論まで展開された。「第三者機関という利権」ってなんだろうねと思った人、正常です。日本語だけど意味の分からない文章の典型だからな。この陰謀論はもともとあった「フェミは検閲機関を作って表現をコントロールしたいんだ」という陰謀論が柱になりつつも、非常に典型的なカルト陰謀論発生の様相を呈しており、まさか自分が陰謀論発生の瞬間を目撃するとは思っていなかったので非常に興味深く、そして恐ろしく見ることとなった。
我々はそろそろ本気で『表現の自由戦士』的クリエイターとの付き合い方を考えないといけないかもしれない――知念実希人という作家の動きから
そしてこの陰謀論発生の中で、エコーチェンバーの構成要素として大きな役割を果たしたのが医者兼小説家の知念実希人だった。私は彼の『天久鷹央の推理カルテ』シリーズの愛読者なので、以前からの動向をひどく陰鬱とした気分で見ていたわけだが、ついに超えてはならない一線を(すでに超えていたと言われればそれまでなんだが)超えた感じである。表現の自由戦士と呼ばれる一群の動向はますます蛮族化しており、クリエイターも決して無視できない数がその流れに乗っている以上、良識あるフィクションの享受者たる我々は、彼らとの向き合い方をいよいよ真剣に考えないといけない時期に来ている。
それに付随する補足で、記事を書こうと思ったのだが書くタイミングがなかったことをついでにここに書き留めておこうと思う。それは以下のツイートに端を発する。
さて、ここで知念が言及している作品は『JKハルは異世界で娼婦になった』だと推測される。私も原作についてはレビューで扱ったし、拙作『不浄の聖女』を執筆する際に参考にした作品だ。異世界転生物というジャンルを語る上では外すことのできない作品だとも思っている。ところが知念はあろうことか、こういう言及の仕方をしたわけである。
言うまでもなく、『月曜日のたわわ』と『JKハル』はまったく構造の異なる作品である。それは単に現代日本を舞台にするか異世界を舞台にするかの違いではない。前者はもう身も蓋もないことを言ってしまえば男性にとってどこまでも都合のいいヒロイン『アイちゃん』を提示して読者を慰撫するためだけの漫画だ。R18じゃないだけのポルノという激しい言い方も、ある種妥当ですらある。なにせヒロインの名前が「バストがIカップだからアイちゃん」という酷さだ。これが男にとって都合のいい女体として提示されたヒロインでなくてなんだというのか。
一方、『JKハル』は男性を慰撫するために存在するのではない。男性中心的な設定マシマシのなろう系異世界に転生してしまった女子高生ハルが、そんな男尊女卑の世界を生きていく物語だ。身寄りのない彼女が生きていくには娼婦になるほかなく、その中で様々な経験をしていく作品である。漫画版を私は読んでいないが、少なくとも原作においてはハルは男性のために都合よく差し出されたキャラではない。過激なセックスシーンも描かれるが、合意の上での性行為と、売春とは名ばかりの性暴力はきちんと書き分けられていた。
問題はそういう作品である『JKハル』を、『月曜日のたわわ』を擁護するためだけに持ち出していることだ。おそらく知念は『JKハル』を読んでいないだろう。読んでいてこの理解なら、プロの作家としては致命的過ぎる読解力不足と言わざるを得ないからだ。おそらくタイトルだけで適当に内容を推測し、当てつけのように出してきたのだろう。あえてタイトルをそのまま書かなかったのは、自身が内容を把握していないからこそ追及されないための姑息な逃れである。そう考えるほかあるまい。
要するに我々良識あるフィクションの享受者は、何年も前から、そしてこれからもこういう不誠実なクリエイターとの付き合い方を考えてきたし、考え続けなければならないのだ。連中と一緒になって「表現の自由!」と叫んでいれば楽だが、その楽は真綿のように自身を絞めることになる。それに気づかぬは馬鹿ばかり、である。
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