広島地裁

 喫煙を理由に科せられた丸刈りや約20日間の別室指導で精神的苦痛を受け、自主退学を余儀なくされたなどとして広島県内の男性(17)が呉港高(呉市)を運営する学校法人呉武田学園などに約177万円の損害賠償を求め、29日にも広島地裁に提訴することが28日、分かった。

 訴状などによると、昨年4月に入学した男性は翌5月、友人と喫煙したとして校長に「校内反省指導」を通告され、担任教師から「丸刈りにしないと退学」と言われ、丸刈りにした。

 反省指導は別部屋で約20日間継続。通常の始業時間より1時間早い午前7時半に始まり、同様に指導を通告された他の生徒とともに反省文を毎日書いて、大声で読み上げた。内容によっては教師から「おまえはこの学校にいらん」などと罵倒された。毎日が自習で、休み時間を含め、トイレ以外は部屋から出られず同級生との会話も禁じられた。

 反省指導は6月25日に終わり、教室に復帰したが、7月2日にノートの提出を忘れたことから別の教師に胸を4回殴られ、直後に不登校になった。その後に退学し、今年2月に県内の通信制高校に編入した。学校側から教師の体罰について謝罪を受けたという。

 男性側は「丸刈りや反省文の読み上げの強制、長期の別室隔離は自尊心を損ない、与える苦痛や奪う権利の大きさは極めて重大。社会通念上の合理性を著しく欠き違法」と主張。男性は中国新聞の取材に「楽しい学校生活や将来への展望を理不尽な指導で奪われ、本当に悔しい」と話す。

 同校は中国新聞の取材に対し「反省指導は生徒本人と保護者に納得してもらった上で実施した」とする一方、本年度から指導期間を2~4日間に改めたと説明。訴訟に関しては「学校側に連絡がないので詳細は不明だが、真摯(しんし)に対応していきたい」と話している。(松本輝)