映画監督の深作健太監督が4日、この日閉館する東京・渋谷TOEI〈1〉で「さよなら渋谷TOEI ラスト上映イベント」に映画プロデューサー・片岡公生氏と出席した。
1953年11月に開業した、渋谷駅前のビル「渋谷東映プラザ」内の直営映画館「渋谷TOEI〈1〉」、「渋谷TOEI〈2〉」が、この日夜の上映をもって閉館する。最終上映作には、映画「バトル・ロワイアル」(深作欣二監督)が選ばれた。2000年公開の同作は、全国の東映直営劇場の中で同館が興行収入1位を記録した縁もある。
69年の歴史に幕を閉じる最終上映会直前にトークショーを開催。同作の脚本・プロデューサーを務めた深作健太監督は「(閉館を)ネットで知り、すごくさみしいと思っていました。最後の上映作に選んで下さり、公開から20年以上たっても応援してくださりありがとうございます」と感謝。メガホンを執った父・深作欣二監督が没後19年を迎えたことに触れ「オヤジも天国でみていると思います」と語った。
健太監督にとって、同作は初めてプロデューサーを経験した作品であり「もう当時は『深作欣二監督の映画は(客が)入らない』と言われた中で、当時営業部長だった(20年に逝去した東映グループ会長)岡田裕介さんが、無理くり通してくださった企画」と製作の経緯を振り返った。
当時新人だった俳優・藤原竜也のほか、ビートたけしら実力派も集結し、興行収入30億円超えのヒット作となった。健太監督は「初日を迎える際に、気になって(東京・有楽町の)丸の内TOEIの様子を車で見に行ったら、外をお客さんが並んでいて。その光景をみた時のおやじの顔が忘れられません」と懐かしんだ。
片岡プロデューサーは、欣二監督の遺影を手に「僕の財産であり、いろいろな人に巡り合わせてくれた作品。皆さんと共に成長できました」と感謝の思いを語った。健太監督も「もうお別れかと思うとさみしい気持ちでいっぱいです。オヤジは『映画ってお祭りだ』と言っていましたが、形は変わってもつながっていくと思います」と同館との別れを惜しんだ。