- 商品価格の値付けっていくらにすればいいの…?
- 利益率ってどれくらい確保すればいいの…?
そんな人へ向けて「基本的な利益率の設定方法」を4600字越えで書きました!
みなさん価格設定や利益率はどうしていますか?
始めたばかりの方は
- よく分かんないけど、50%とっておけば問題ないっしょ!
- とりあえず競合と同じ価格に設定してます…
なんては多いのではないでしょうか?
僕自身、ネットショップ運営を2018年9月にゼロから始めて、先月でちょうど4年が経ち「通算売上1億2千万円」を達成してきた経験があります。
そんな僕自身が実際に行っている「商品の利益率の設定方法」を初心者向けに解説したので、
この記事を読めば
商品の利益について理解ができる
利益率を決める際の自分なりの軸が決まる
おまけ:資本を守る力が付く(悪質な業者に騙されなくなる)
など、商品価格の設定に悩んでいる人の役に立つはずです!!
目次 [閉じる]
そもそも利益とは何か?
利益とは事業を継続・成長させるための「核」です。
利益が十分に確保できなければ
- 集客や新商品開発(発売)などに投資できない_利益拡大
- 設備投資に資金を使えない_業務効率
- お客さまのアフターサービスが悪くなる_サービスの質
など、負のループに陥ってしまいます。
資金の最大化が難しくなる
イメージしやすいように身近な例で説明します。
例えば、副業で10万円を元手にお洋服を販売したとします。
- 元金:10万円
- 仕入れ(60%):3.6万円(原価1200円のTシャツ×30点)
例1)30着完売した場合:
- 売上:6万円(販売額2000円×30点完売)
- 変動費:1.2万円(配送費&梱包資材200円+決済手数料&販売手数料200円×30件)
❶元金10万円-❸仕入れ3.6万円=❶元金6.4万円
❶元金6.4万円+❷売上6万円=❶元金12.4万円
❶元金12.4万円-❹変動費1.2万円=❶元金11.2万円
利益:1.2万円
と利益率20%ほどの場合、30点が完売しても元金があまり増えません。
そして
例2)30点の内、5点(15%程)売れ残りや破損で返品があった場合は、
- 売上:5万円(販売額2000円×25点完売)
- 変動費:1万円(配送費&梱包資材200円+決済手数料&販売手数料200円×25件)
❶元金10万円-❸仕入れ3.6万円=❶元金6.4万円
❶元金6.4万円+❷売上5万円=❶元金11.4万円
❶元金11.4万円-❹変動費1万円=❶元金10.4万円
利益:0.4万円
利益率が低いと80%以上の商品を売っているにも関わらず、元手が増えないという事態になります。
この元手でさらに、新商品の仕入れなどで売上拡大を狙っていくのは、非常にリスクが高くなり、元手の10万円を最大化していく難易度がグッと上がります。
売上を上げるリスク
もう1点の利益率が低い場合のデメリットが、売上を上げなければ十分な利益を確保できないという点です。
なにを当たり前のことを言ってるんだ!と思うかもしれませんが、
- A社:売上100万円(注文件数100件)×利益率10%=10万円
- B社:売上100万円(注文件数100件)×利益率20%=20万円
とA社がB社と同じ利益率を上げるためには、「2倍」の注文件数が必要になります。
売上件数増えるにつれ、
- 商品の返品・交換
- 商品の破損
- 売れ残り
- 商品管理
- 配送トラブル(送り先間違い、サイズ・色間違い)
などアクシデント率のコントロールが難しくなり、コストも増えていきます。
アクシデント数は、利益ではなく売上に比例し増加していきます。理由は、売上件数や仕事量が比例して増えていくからです。
最初のころはどれだけ売上をあげたか?に着目してしまいがちですが、利益に着目して経営していきましょう。
売上が多いと漠然と安心ができ、精神衛生面は健康に保てるし、自分が凄くなった(成長した)と実感が湧いてくるので気持のいいものではありますよね。
でもそこには注意して、売上ではなく利益を上げることに注力しましょう!
僕自身も2年目までは(つい最近)売上ばかり上げようと躍起になっていました。
粗利益と限界利益ってなに?
粗利益と限界利益について説明します。
- 売上-商品原価(仕入れ)=粗利益
- 売上-(商品原価+変動費)=限界利益
- 売上-(商品原価+変動費+固定費)=営業利益
※変動費:広告費、送料、梱包資材費、決済手数料、販売手数料、オプション費など
※固定費:人件費、家賃など
少し難しいと思うので、以下の図をご覧ください。
僕自身、初心者セミナーに潜入した際、「今回は粗利益○○%で○○万円売上作った商品紹介します」と見かけましたが、「それって限界利益率何%?」と疑問に思うことがありました。
物販やネットショップ運営を始めたばかりの方は「粗利益=営業利益」と認識している人も多いと思います←自分がそうでした
悪質な初心者向けセミナーのビジネス?モデル
例えば、極端な例で
- 売上100万円-原価30万円=粗利益70%
- 売上100万円-(原価30万円+変動費70万円(ほぼ広告費))=限界利益0%
と簡単に粗利益の高い商品で売上を作ることができます。(※広告費をかければ売上は簡単に作れます。)
この例だと、「粗利益70%で売上100万円稼いだ方法を教えます!」という内容をセミナーや情報商材で販売し、物販では営業利益マイナスでも「トータル」で営業利益をプラスに持っていくことが可能になります。
売上200万円(情報商材100万円+物販100万円)-(物販原価30万円+物販変動費70万円)=限界利益100万円(限界利益率50%)
このような物販で利益を出していなくても、初心者に物販の方法をレクチャーしたり、月額有料でサポートするという謎のビジネス?モデルが出来上がります。
自己資本を守っていく上でも「利益」についてしっかり理解しましょう。
商品に明確な役割を与えよう
前置きが長くなりましたが、本題の商品の利益率の決め方に入ります。
まずは、よく友人に
Q.利益どれくらいとってるの?
という質問をされます。
先程の粗利益と限界利益と営業利益どれの話だろ?と疑問に思いますが、それ以前にお店の商品の利益率(ここでは限界利益率)は一律に設定していません。
その他に、固定費なども考えると、一概に「利益は○○%に設定すれば大丈夫です!」なんて無責任なことも言えません。
まず、皆さんの扱っているお店の商品一覧ページ、または仕入れを検討している商品一覧ページを見てください。
各商品の
- シーン・時期
- 用途
- 価格帯
- デザイン
- 量・数
- ライトユーザー向け?ヘビーユーザー向け?
などは全部同じでしょうか?
マクドナルドの各商品の役割
マクドナルドで100円のハンバーガーと200円のコーラの限界利益率に雲泥の差があるように、商品にはそれぞれ役割があります。
- 100円のハンバーガーはお客さんを呼ぶ役割(集客や認知)
- コーラなどのドリンク類は、ついで買いをしてもらい利益を確保する役割(利益率アップ)
- ビックマックやダブルチーズバーガーは、認知してもらったお客さんにファンやリピーターになってもらう役割(差別化、利益率アップ)
などです。今、思いつきでざっくり書いてしまったので、マクドナルドの戦略に関しては誤りがある可能性はありますが、大枠のイメージはこんな感じです。
僕自身の店舗では、
- 集客・認知の商品(限界利益率_低め)
- 顧客単価を上げるついで買い商品(限界利益率_普通)
- 店舗の人気商品(限界利益率_高め)
というようなグラデーションで販売しています。
ちなみに集客・認知の商品は限界利益率が低めですが、メール便などで送れる小さめのサイズの商品を選んでいます。
そのため「集客・認知の商品」でも2〜3個同梱購入されれば、送料1件分で2〜3個送付可能なので、単品購入では限界利益率は低めですが、通年でデータを見ると限界利益率はそこまで低くない商品ばかりとなっています。
商品の役割ごとにグループ分けする
商品ごとに役割を決めて割り振りを行い、その基準に応じて商品価格を設定しまょう。
例として
- 集客・認知の入り口商品(フロントエンド)
- 単価アップ商品(ついで買い)
- 利益回収、リピーター向け商品(バックエンド)
その商品の振り分けが終わったら、実際に販売してみましょう。
3〜6ヶ月のデータが集まったら、店舗の限界利益率と営業利益率を出して、店舗全体の経営戦略を見直しましょう。
どちらの利益率も低い場合は、
- バックエンドやついで買いの商品が十分でない
- 入口商品販売後のフォローがうまくいっていない
- 入口商品販売の利益率がマイナスになっている
などの点をチェックしてみましょう。
利益率の最低ラインは?
まだ商品を販売していない人やお店を始める前に人にとっては「なんのこっちゃよく分からない」と思った人も多いと思います。
事実、僕自身も最初の運営1年半ほどは限界利益を全商品一律で設定して運営していました。
そんな人へ向けて利益の最低ラインの目安を提示します。
- 粗利益は最低40%
- 限界利益率は最低25%
店舗全体で上記の数字を最低基準に設定するように心掛けてください。
※固定費が多くかかっている場合は、上記数字は参考にしないでください。
この
- 粗利益は最低40%
- 限界利益率は最低25%
が健全な店舗運営を行う上での最低ラインだと思います。
おまけ:僕自身の運営する店舗の利益率
最後におまけとして、僕自身の運営する店舗の利益率を話して終わりにします。
※YouTubeでよくコメント来るので書きました。
- 粗利益率:55%~70%
- 限界利益:35%~50%
90%以上を中国輸入で商品を仕入れているので、為替レートにより利益率が変動します。
自宅で営業しているため固定費はかけていないので、僕自身の場合は限界利益=営業利益みたいなところがあります。
もちろん、帳簿上は住宅の50%が『経費』として落ちています。
その他、電気代や車なども按分で経費に計上しているので、それを含めると帳簿上は営業利益は限界利益率より低くなります。
しかし、リベラルアーツ大の両学長もYouTubeでおしゃっていましたが、そういった様々な「経費」や「控除」を差し引いて、「残った利益=年収」というよりは、体感としては「限界利益=年収」という方が近いので、「年収はいくら?」という質問に一言で答えるのが難しいです。
※こちらの動画で解説されています。↓
なので、僕としての答えは「上記の限界利益率-5~8%くらいが体感として実際の年収」なんじゃないのかな?と思います。
ちなみに、左の最小値は2022年10月地点の歴史的な円安のレートで計算した数字になり、右は2年前のレートの際の利益率になります。
ちなみに「集客・認知の商品」の限界利益率は、
- 単品購入:25%~30%
- 2点同梱購入:35%~40%
- 3点同梱購入:40~45%
となっています。
「集客・認知の商品」の同梱率が「1.8個」のため、トータルの「集客・認知の商品」の限界利益率は「30~35%」ほどとなっております。
実際に分かりやすい値付け例
イメージしやすいように、実際に「こんな仕入れ額の商品に、これくらいの利益率をつけたら」の例を紹介して終わります。
今回は
原価600円のTシャツを1500円(送料込み)で販売したとします。
原価600円÷1500円×100(%)=原価率40%
なので
粗利益率60%となります。
ここに変動費の
- 送料:200円
- 梱包資材費・同梱物:50円
- 決済手数料:75円(5%で計算)
- 販売手数料:120円(8%で計算)
の計445円をさらに計算に入れます。
(原価600円+変動費445円)÷1500円×100(%)=69.6%
なので
原価600円の商品を1500円(送料込み)で販売し、変動費が445円かかった場合、
- 粗利益率60%
- 限界利益率30%
となります。
まとめ
今回は「基本的な利益率の設定方法」について解説しました。
利益率の設定方法が決まったら、下記記事で仕入れについて、「誰でも仕入れ商品が決まるフレームワーク」を解説しているので、こちらの記事も併せて読んでみてください。
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