アンケートにご協力いただきありがとうございました!
『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 25』
理不尽な孫の手先生書き下ろしこぼれ話
二十五巻発売でございます。
ここまで出させていただいたのは、皆様のお陰です。本当にありがとうございます。
この巻が発売される頃には、アニメ2クール目ももうすぐということで、皆様ワクワクしているところかと思いますが、本巻も楽しんでいただければ幸いです。
さて、二十五巻は決戦編の次戦ということで、二十四巻の時よりも激しい戦いが繰り広げられております。
このあたりは特に加筆することもないので、ほぼほぼWEB版のままで、戦い後の閑話休題的な部分でちょっとした加筆をしてあります。
楽しんでいただければ幸いです。
今回のこぼれ話では、シャンドル・フォン・グランドールという人物について語っていこうかと思います。
本文を読んでいない方にはネタバレとなってしまうのですが、彼の正体は『北神カールマン二世』アレックス・ライバックです。
まだ『北神カールマン』という存在や、北神流という流派が無職転生の時代ほどメジャーではなかった頃に活躍し、一時代を築いた英雄となっています。
その英雄譚は、ノンフィクションであるにもかかわらず、他のどの英雄譚と比べてもカッコよくドラマティックであることから、無職転生の世界でも「メジャーな英雄譚と言えばペルギウスか北神」という認識を持たれる存在となっています。
彼の一番最初の英雄譚は、一応「小説家になろう」の方にも掲載しているので※、お暇な方は読んでみていただけると幸いです。
無職転生に彼を登場させるにあたっては、少々悩みました。
個人的に、ある作品の主人公を他の作品に登場させることは、あまり良いことだと思っていません。脇役ならともかく、主人公となると作者として思い入れもありますし、作中で贔屓してしまう可能性も高いです。
主役としてのルーデウスを食ってしまうという危惧があったわけです。
私としては思い入れがあるキャラですが、無職転生の読者としてはポッと出のキャラなわけで、そんなのが我が物顔で暴れまわるのは嫌ですよね。
ただ、出さないという選択肢はないというか、他に出せるキャラがいないと考えていました。
というのも、ルーデウスは単行本にして二十五冊分の物語を紡いできており、最終的に彼は己自身が強くなるだけでなく、人と人の繋がりを己の力とする方向に成長してきました。
敵は強大で、その気になればどんな強力な駒でも用意できる存在。
それに対し、ルーデウスも今までの努力の成果として、それと同等ぐらいの存在が味方にきてくれる。しかもその味方は敵のそれと違い、自分に対した利益がなくとも、よく知らない他人に限界まで尽力してくれる。そういうのを演出したかったのです。
作者としては、いくらでも強いキャラクターを出すことはできます。でも無職転生も長く書いてきて、最後の一線という段階なので、作中で一度でも存在が示唆されたキャラクターでなければいけないと考えていました。
それを考えると、第一線を退いた『北神カールマン二世』アレックス・ライバックは最適で、他にはいませんでした。
ただ、前述した通り、彼がルーデウスの味方として登場するにあたって、かつての作品と同じような性格や性質であれば、この決戦編が全編において彼と息子であるアレクサンダーの戦いの物語になってしまうという危惧がありました。
というわけで、彼は自分が英雄であらんとすることを恥じ、さりとて英雄に対する理想や憧れは決して失われていないため、英雄になりうる人材を育成したり、英雄の手助けをしたいと願ったりするキャラになりました。
こういう、キャラクターの過去と作中のバランスを考えての調整みたいなものは、少し間違うとご都合主義っぽくなってしまいますし、シャンドルもキャラクターの魅力という点では、少し落ちてしまったかなとは思いますが、それでもやりたいことに対するキャラクター造形としては、うまくできたのではないかなと思っています。
さて、いかがだったでしょうか。
無職転生もおそらく次の巻でラストということで、書籍の方はお別れも近づいてきたかなと思います。とはいえアニメは盛り上がっていますので、引き続き応援していただければ幸いです。
ありがとうございました。
©理不尽な孫の手/KADOKAWA