物議を醸した「生理中に使える真っ赤な入浴剤」販売元にインタビュー 「社内でも色やキャッチコピーに否定的な意見があった」(1/2 ページ)
販売元に開発の経緯について取材しました。
生理中の女性をターゲットにした、湯船を真っ赤に変えるバスボム(入浴剤)が、SNS上で「違う、そうじゃない」「生理中に真っ赤な液体見たくない」などと物議を醸しています(関連記事)。ねとらぼ編集部では、販売元のドリームズに開発の経緯について取材しました。
物議を醸している「Bloody Bomb(ブラッディボム)」は、生理中に身体を温めることは生理痛緩和につながるとされていることを受け、開発された入浴剤。宣伝用のポスターでは生理中に湯船に浸かって体をいたわる「生理浴」という概念が提唱されています。
湯船を真っ赤に変えるというコンセプトや、宣伝用のポスターにある「(生理が)月に一度」という記述に対して、「その日一日中悩まされてきた血色のお湯に、浸りたいと私は思えない」「月に1度の我慢???数日間ありますが」「開発チームに女性がいたとしても、どこまで口が出せるかだよね」など否定的な声が多数寄せられています。
ねとらぼ編集部がドリームズに取材したところ、社内では入浴剤が赤色であることや、「生理浴」というキャッチコピーには否定的な意見があったことが明らかになりました。それでも、Bloody Bombを発表したワケとは――。
企画チームは4人中3人が女性で、発案者も女性社員だった
SNS上では、Bloody Bombについて男性ばかりのメンバーで開発されたり、女性のメンバーが在籍しても声が上げづらかったりしたのではないか、と問題視する声が見られました。
しかし、担当者らによると、生活雑貨やアパレルの企画製造販売などを手がけるドリームズは「女性に対する癒やし」を1つのテーマに掲げているとのこと。社内は女性のほうが多く、今回の製品の立案やパッケージなどに携わった企画チームも、4人のうち女性は3人で、男性は1人だけといいます。
Bloody Bombを発案したのも女性社員でした。生理中に湯船に浸かることに抵抗を感じている女性がいるかどうかを確かめるため、企画チームのメンバーは社内や周囲の知り合いなどにヒアリングしました。その後、20~40代の女性300人を対象にインターネット上で調査を実施し、約80%が「血が気になってお風呂に入れない」と感じているとの回答を得ています。
それ以外にも、製品を開発するまでの間により多くの女性の意見を取り入れるために、社内の女性社員全員に毎回サンプルを渡し、「気持ち悪く感じないか?」「香りは大丈夫なのか?」などのアンケートを採ったとしています。
なお、企画チームの男性社員は自分自身は生理の悩みを体感したことがないため、意見は言えるものの、女性に寄り添った意見なのかは分からないため、最終決定は女性社員たちでしてほしいというスタンスだったとのこと。「決して女性が意見しにくい」といった環境ではなかったと説明しました。
社内では赤色や「生理浴」に否定的な意見があった
女性社員が発案した当初から、入浴剤は赤色という案でした。生理中に湯船に浸かっても血はあまり出ないものの、「もしかしたら、血が出てしまうかもしれない」「血は出ないと分かっていても、どこか不安」という状況を変えるため、赤色だと生理中の入浴のハードルを下げられるのではないか、という意図があったといいます。
社内でも赤色であることに対して否定的な意見が寄せられました。担当者は「SNS上で語られているようなことを相当議論しました。なかには『赤色を見たくない』という意見や、『そもそも(生理中には湯船全体は)赤くならないし……』という意見もありました。どうしても赤だと『血のお風呂に入っている』と感じてしまう人も割合としては多かったです」と振り返っています。
これらの意見を踏まえ、社内では血液に見えないように赤色の濃度を軽減したり、気分を高揚させるためにラメの色を調節したり、改良を重ねています。また、既出のBloody Bombが赤色であることや、バスボムは生理のあらゆる悩みを和らげるとうたう「CBD(カンナビジオール)」という高価な成分(※)が入っており、1760円と高価であることを踏まえ、赤い入浴剤だけではなく、他の色かつ安価なパウダータイプも同時に開発中でした。
※厚生労働省 地方厚生局 麻薬取締官の公式サイトによると、CBDは大麻草の成熟した茎や種子のみから抽出・製造されたもの。大麻取締法上の「大麻」に該当しないものの、当該製品を輸入する前に麻薬取締部が該当しないことを確認していると記載されています
ところが、当初発案されたのが赤色だったことや、生理といえば赤色を連想しやすいのではないかということから、マーケティング的にもキャッチーではないかと考え、まずは赤色から発表することに決まったといいます。担当者らは10月20日~10月22日に開催された「Femtech Tokyo(フェムテックトーキョー)」に出展するにあたり、他の色の製品開発が間に合わなかった、という事情も明かしました。
加えて、社内では宣言用のポスターに記載された「生理浴」というキャッチコピーについても、「ダイレクトすぎるのではないか」「パッケージに書かれていると手に取りづらいのではないか」など、ネガティブな意見がありました。にもかかわらず、同じくマーケティング的な視点から、「短くてそれなりに強いパワーのある言葉」であるため、「生理浴」を採用することが決定されました。
なお、宣伝用のポスターにある「(生理が)月に一度」という記述については、その文言を「月に1日」と誤解する人がいるとは思わなかったと言及。この点についてはキャッチーさではなく、「生理が1カ月に1回来るのかも分からない人もいるし、1カ月に10日などすごく長く続く人や、逆に短く終わる人もいます。生理は人によって日数が異なります」として、「7日間」などの表記ではなく包摂的な表現にしたかったと弁明しています。
「生理の日でもお風呂に入っても良い」と伝えたかった
取材中に担当者らが繰り返し語ったのは、本来伝えたかったのは「『生理の日でもお風呂に入っても良い』という選択肢を増やしたかった。生理の日でもリラックスタイムを楽しめる」というメッセージだった、ということでした。社内では「生理中はお風呂に入ってはいけない」と考えていた人もいたため、生理中にお風呂に入ると、リラックスできて良いことを届けたかったというのです。
実際、湯船に浸かって体を温めて血行を良くすると、生理痛は和らぐとされています。ただし、一番風呂やお湯を新しく張ることのほか、出血量が多い人は生理3日目までは入浴を避けたり、頭がズキズキと痛む場合は半身浴だけで済ませたりすることが推奨されています(参考:ソフィ、オムロン式美人)。
Bloody Bombは男性ばかりの会社やチームで開発されたわけではなく、女性が発案し、女性が多い会社およびチームで当事者の意見を取り入れながら、開発が進められました。SNS上では「シャワーで済ませる」という意見もあるものの、健康的な観点からは「血が気になってお風呂に入れない」という課題を解決したい、という問題意識は誤りではないと考えられます。
にもかかわらず、マーケティング的なキャッチーさや展示会への出展などを優先して、入浴剤は赤色で、キャッチコピーは「生理浴」という言葉で発表されました。生理というテーマがセンシティブであることを踏まえ、キャッチーさではなく慎重さを優先して、赤色以外の入浴剤と同時に発表したり、キャッチコピーも別のものを採用したりしていたら、これほど否定的な意見が広がることはなかったかもしれません。
「本当は赤い入浴剤を売りたかったわけではなく、『生理中の入浴』という新しい概念を広めていけたらと考えていました。本当に伝えたかったのはそこでした。しかし、新しいことに踏み出したため、(社外向けの)コミュニケーションの順番がうまく調節できず、行き過ぎた部分があったかもしれないと感じています。そのような部分は今回で学び、今後に生かしたいと考えています」(担当者ら)
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