11月のテーマは、「子どもの心に寄り添う子育て」です。11月13日に、保育施設代表の柴田愛子さん、タレントの安田美沙子さん、声優の立花慎之介さんをゲストに、福岡県志免町(しめまち)で行われた子育て応援イベント「みんなの子育て☆ふくみみ会」の模様を録音でお聞きいただきながら、子どもへの寄り添い方のヒントを皆さんと一緒に探ります。(聞き手・村上里和アンカー)
*放送の一部をこちらでお読みいただけます。全体は「聴き逃し」からどうぞ!
【出演者】
安田:安田美沙子さん(タレント)
立花:立花慎之介さん(声優)
柴田:柴田愛子さん(保育施設代表)
初めての公開収録in福岡
――会場の皆さん、こんにちは! 『みんなの子育て☆深夜便』アンカーの村上里和です。
この『みんなの子育て☆深夜便』はその名前のとおり、子育て中の皆さんが抱える悩みや不安、なんだかモヤモヤするという思いに、世代や性別を超えて、社会のみんなで考え、みんなで寄り添うという番組です。
きょうは、福岡県志免町立町民センターにお邪魔して、番組始まって以来、初めての公開収録です。小さいお子さんを連れたご家族も多くいらっしゃっています。お子さんの声が、先ほどから聞こえてきています。きょうは、お子さんが泣いても、大きな声を出しても大丈夫です。“お互いさま”という気持ちで、どうぞリラックスしてご一緒ください。
それでは、ゲストの皆さんを紹介していきます。
1人目は、5歳と2歳の男の子のママ、タレントの安田美沙子さんです。安田さん、よろしくお願いします。
安田: | よろしくお願いします。安田美沙子です。 |
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会場のお客様: | (大きな拍手) |
安田: | ありがとうございます。 |
――会場にたくさんのご家族が・・・、子どもたちの顔も見えているし、声も聞こえます。
安田: | にぎやかで、笑顔になりますね。 |
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――安田美沙子さんは、1982年生まれで40歳。京都府のご出身です。20歳で芸能界デビュー以降、テレビ、雑誌と幅広く活躍されています。2012年には、フルマラソンを3時間44分56秒で完走。食育インストラクター、健康食コーディネーターなどの資格を生かして、食育活動にも取り組んでいらっしゃいます。健康と食をとても大事にされているというのが伝わってきます。
安田: | 本当ですか? 主人がすごくインドア派で、私がアクティブ担当なので、一緒にランニングしたりとか、食事を作ったりとか楽しく過ごしています。 |
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――子どもの食事って、大変じゃないですか?
安田: | そうですね。やっぱり親の気持ちって伝わらないもので、一生懸命頑張って作っても「食べない~!」とか言ったりとかするんですけれど、一緒におみそ作りをしたり、料理をしたりとか、パンやクッキーをよく作るんですけれど、そうやって体験しながら学んでほしいなって思いでやっています。 |
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――お仕事と子育て、その両立、どうやって時間をやりくりされていますか?
安田: | そうですね。本当に、正直、毎日必死なんですけれども。こう切り替えて、ママスイッチを(家に)帰ると入れるようにしていますね。やっぱり子どもの成長っていうのは、本当に一瞬一瞬大事にしたいなって思うので、仕事やメールとか終わらせて、おうちに帰って子どもと120%向き合って、自分もこう幸せを感じたいし、お互いが幸せになれるように向き合って、目を合わせながら、向き合うようにしています。 |
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――今、お子さんは5歳と2歳。本当におうちはにぎやかだろうなと想像しますが…、どんなお子さんたちですか?
安田: | そうですね。長男は結構、誰にでもフレンドリーに話しかけられて、どこに行っても何か対応できる子なんですよ。逆に次男はちょっと引っ込み思案で、恥ずかしがりなんですけれど。私に似て、すごく頑固で…。もう、タイプが全然違うんですよね。2人でいつも仲良く家を走り回っているんですけれど、気づくともう大げんか(笑)。 |
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――気がつくと、けんかになっているというのは・・・
安田: | けんかになって、私の雷が落ちます(笑)。 |
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――雷が? 安田さんから雷が落ちるんですか!?
安田: | もう落とします(笑)。 |
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――ちょっと信じられませんが…。会場でも「うちもそう!」って思っていらっしゃる方がいるのではないのかなと思います。
では、続いて2人目のゲストをご紹介します。
4歳の女の子のパパ、声優の立花慎之介さんです。よろしくお願いいたします。
立花: | 立花です。お願いいたします。 |
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会場のお客様: | (大きな拍手) |
――立花さん、福岡の印象、この会場の様子はいかがですか?
立花: | いや~、いいですよね! 僕がふだん、仕事でしているイベントでは聞こえない声がいっぱい聞こえてきて…(笑)。何かこの雰囲気、今までなかった、温かくていいなって、すごく感じています。 |
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――立花慎之介さんは1978年生まれ、44歳。岐阜県のご出身です。漫画 『ハイキュー!!』の夜久衛輔、そして、ゲームやアニメで大人気の 『アイドリッシュセブン』の千役、アニメ 『神様はじめました』の巴衛役など、数々の人気作品にご出演。幅広い役柄を演じる人気声優さんです。4歳の娘さんとの日々をSNSなどで発信、ファンの皆さんもとても楽しみにされていると聞いていますが、どんなお子さんなんですか?
立花: | いや~、もうひと言で言ったら…。今、連れて行かれた女の子いますけれど、さっきの女の子みたいに…(笑)。常に走り回っているぐらいの…。すごい身体能力が高いと言えば、高いんですけれども…。常にしゃべっているか、歌っているか、踊っているかするぐらい、パワフルな子なんで、日々、楽しく遊んで、僕も元気をもらっていたりする子なんですけどね。それこそ、2歳ぐらいのときから、トイレットペーパーの芯を持って、一段高い所に上って、そこで歌を歌うっていうことをしていて…。3歳ぐらいになると、いつの間に覚えたのか、歌い終わると、「きょうは来てくれてありがとう~!」って。 「どこで覚えてくるのかな?」っていうぐらい。よくいろいろな物事を、集中して見ていることが多いので、こちらが呼びかけても反応しないことがあるぐらい、たぶんフォーカスが寄っちゃっているときもあるんですけれども。 まあ、でもそれは何かいいことだと、僕思っているんで…。あまりこう何か怒ったりとかはしていない。逆に僕らのほうが「どうやって集中を解いてあげようかな」っていう、そういうことを考えながら育児しています。 |
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――子どもの気持ちへの寄り添い方、1つ目のヒントがもうすでに出てきたようです。また後ほどじっくりと聞かせてください。
続いて3人目のゲストをご紹介しましょう。
子どもの心に寄り添う保育を40年以上にわたって実践する保育施設「りんごの木」代表の柴田愛子さんです。柴田さん、よろしくお願います。
柴田: | よろしくお願いいたします。 |
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会場のお客様: | (大きな拍手) |
――柴田さんは、Eテレ『すくすく子育て』でもおなじみ、絵本大賞を受賞した 『けんかのきもち』の作者でもいらっしゃいます。 『みんなの子育て☆深夜便』には何度もご出演いただき、子育てのモヤモヤ、イガイガがぱ~っと晴れるような、お薬のような言葉をいただいています。
柴田さん、先ほど、志免町の子ども実行委員会の皆さんが「子どもの権利条例」について発表してくれました。どんなふうにお聞きになりました?
柴田: | すごい時代がやって来たなと思いましたね。特に福岡は子どもの人権が、早くから意識された地域だと思うんですね。こんなふうにね、子どもたちが権利条約の実行委員を作って、”自分たちには権利があるんだ”って自覚するってね。すごいと思うんですよ。というのは、大人はね、子どもの人権なんて忘れちゃうの。特に、わが子なんて人権があるかないか分からなくない? だからね、こうやって子どもが意識して、“私にも人権がある”って叫んでくれるのは、とても「ハッ!」ってこちらは立ち止まれる、いい機会になるかなと思ったのと、こちらの(親の)人権を守りながら子どもの人権を守りながらという、関係性ができるといいなと思います。 |
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――そうですね。子どもの声を聞くことは大事、気持ちを受け止めることが大事って、皆さん思っていらっしゃって、でも忙しすぎて、子どもに満足に向き合えていないと悩む親御さんも多いようです。
福岡県30代
<忙しいときに話しかけられると、初めは、目を見て「ちょっと待ってね! 3分待ってね! これが終わるまで、待ってね!」と声がけをするのですが、それでも話しかけられると、だめなのは分かっていても無視して、作業を進めてしまい子どもの心を傷つけてしまっているのではないかと悩んでいます。>
いうことですが、柴田さん。
柴田: | 子どもの心、そんなんで傷つきません。大丈夫です。毎日のことですから。 |
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安田・ 立花: |
(笑)。 |
柴田: | 「『待ってね! 待って!』そのうち、言わなくなっちゃった。あ、今ママだめなんだ…」って、絶対わかっている。だからね、そんなことで傷つくわけないじゃないですか。育児放棄しているわけじゃないんだったらね。子どもって偉くてね。あんまり、だめ、だめって言われるとちゃんと待っているんです。何を待っているってね…、親の機嫌が直るのを待っているのよ。だからね、お互いさまでいいんじゃないですか? 気にしなくてって思いますけどね。 うん。それと…ちょっと今ひとつ言っていいですか? |
――はい。
柴田: | こういうとこに来るとね、走りたくなっちゃう子って絶対いるのよ。迷路みたいじゃないですか。走りたくなっちゃうんだけど…。その親は、「あ、たいへん! こんなところで走り出して、ご迷惑…」って追いかけると、もっとうれしくなっちゃうのよ、子ども。もっとうれしくなって逃げちゃうじゃない。だから、追いかけないの、放っておくの、戻ってくるから…。それからもう1つのコツはね、知らない人に怒られるとこたえるのよ。だからね、親が「だめ、だめ」って言ってもだめだけど、近所の方が「うるさいよ」って言うと、結構こたえますから。お互いの力を借りて、この場を過ごしていただけたらと思いました。 |
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――走り回ってけがだけはしないように、皆さん本当に気をつけてください。ぜひ、近くに走っている子どもが来たら、「けがしないでね!」って、親じゃない大人たちが声をかけてあげると、子どもが聞いてくれるかもしれませんね。柴田さん、ありがとうございます。
3歳までは、別の生き物?
――「子育てリアルトークin福岡」。きょうのテーマは「子どもの心に寄り添う子育て」。
このイベントにあたり、皆さんから悩みやモヤモヤを募集したところ、120通近い声が寄せられました。1つ1つ子どもへの気持ちが伝わってくる悩みの声、本当にありがとうございました。きょうご紹介できるのは、ほんの一部なんですが、ここにいる皆さんで、一緒に考えていきましょう。まずはこのお便りからです。
福岡県40代
<2歳半の息子が家でも保育園でも走り回っています。そのたびに注意するのですが、何度言っても走ります。
お迎えのたびに「きょうも部屋で走り回っていたので、注意しました」と言われて落ち込みます。本当に、どうにかしたいです>
きっと走りまくっているんでしょうね。安田さんどうでしょう?
安田: | 私の次男、今2歳9か月ですけれども…。本当に走り回って、やっぱり危ないじゃないですか? だからもうハラハラしてしょうがなくて、オムツをかえようとしても逃げるし…。「何かこういう動物かな?」って感じがしてくるんですよ。(笑)。 |
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柴田: | やっぱり!(笑)。 |
安田: | 当たっていますか? |
柴田: | 当たっています。3歳までは動物です。本能と感性で生きていますからね。「何の動物かしら?」って思うと、ちょっとゆとりが出ますよね。 |
――立花さんいかがですか? 走り回ってしまうお子さん。
立花: | あの、うちの子もこれなんですけれども…。でも本当に走っちゃいけない場所、例えば、道路とか車が来るようなところっていうのは、もう絶対に親が一緒について行って、「ここは本当に走っちゃだめなんだよ。危ないんだよ。車とゴッチンしちゃうと、パパとママとも会えなくなっちゃうからね!」っていうのをなるべく小さいころから教えていて…。逆に、走っていいところは、僕も一緒に走って遊んであげる。で、家の中では、時間を決めたりとかしていて、「夜は近所の人とか、赤ちゃんを起こしちゃうと、やっぱりよくないよね」って、「この時間帯からは走らない」そういうのをトイレトレーニングみたいにいろいろ言っています。だめなのは当たり前だと思って、それをもう何年も続けていくしかない、そこで覚えてくれればいいかなって思っていたんで…。気長に何かそういうことをひたすら繰り返しながら、言っている状況です。でも、やっぱり、「3歳までって、本当に別の生き物だな…」って思っていて…。 |
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柴田: | 4歳から人間になっていくんですよね!(笑)。 |
立花: | そうなんですよね! やっぱり「今まで言ってきたことがむだじゃなかったな」って…、今4歳になって、ようやくわかってきたと思うので、気長にやるのが重要なのかなって思いました。 |
――まさしく今本当に、立花さんから答えが出たように思いますが、柴田さんどうですか?
柴田: | あのね、普通に歩いている子を見たことあります? 3歳ぐらいまで、普通に歩ける子いないから!それでやっぱり普通に歩けるようになるのって、4歳以降なんですよ。 |
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立花: | そうですよね。 |
柴田: | そうなの。だからそれまでは、立花さんがおっしゃったみたいにね、「どうしてもここは危ない」っていうときには、もう手をガチッと押さえるよりしょうがない。交通ルールは子どもにはわからない。自然界の危機感っていうのは、本能的にキャッチできるんですよ。ところが、交通ルールに関してはキャッチできないから、やっぱり命にかかわることは、ギュッと手を握って…。それで2歳半で走り回っているっていうのは、私にすると当たり前で、保育園の先生がなぜそうおっしゃるのか分からないけれど…。そしたら「うちの子、走るのが好きなんです!」って言っとけばいいんじゃないですか? |
安田・ 立花: |
(笑)。 |
立花: | そうですね、僕も保育園の先生が怒るのも間違っているなと思います。 |
安田: | 走る練習かも知れないし、体を作っているところですもんね。 |
――「うちの子、走るのが、好きなんです」と堂々と伝えてみてください。
集中しすぎちゃう子どもの切り替え方は?
――先ほど立花さんの娘さんが、“とても集中力がある。むしろ集中しすぎるところがある”というお話がありましたが、同様のお悩みを書いてくださった方が、何人かいらっしゃったのでご紹介します。
福岡県30代
<子どもの名前を何回呼んでも反応してくれないことがあり、困ることがある。子どもには極力怒りたくないし、楽しく時間を過ごしたいのですが…>
そしてもう一方、福岡県50代
<4歳の子ども。物事に集中するあまり人の話を聞いていない。保育園でも次の行動が遅れ、友達と遊んでもらえないときがある模様>
というふうに、「わが子は大丈夫かしら…?」という心の声が聞こえてくるようなお悩みが寄せられていますが…。
柴田さん、この“集中しすぎる”ということについては、どう捉えたらいいですか?
柴田: | あのね、皆さんね、親御さんね、集中力のある子に育ってほしいと思う人? |
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――皆さん手をあげていらっしゃいます。
柴田: | そう思うでしょ? みんなね、自分の都合のいいときだけ、集中してほしいのよね。でも大人の都合とは違って、子どもが集中したいものって、また別な遊びのこととか、おもちゃだったりすると思うんですね。それで、集中力は無いよりもあったほうがいいんじゃないですか。でも、そのほどほどができないのが子どもなのよ。大人は集中していても、「ああ、もうご飯作らなくちゃ」って、そらすことができるけど。子どもはハマったら、もうそれだけを堪能したい。 だからここで親の態度としては2つあると思うんですけれど、「あら、あんなに集中しているわ、まあ、いいか」って、その子が冷めるのを待つか。それともこっちの路線で、集中を解いてほしいならば、ちょぼちょぼ言うのよ。「そろそろご飯だよー」「そろそろお風呂よー」「そろそろおやつかな?」って、子どもが集中しているところをね、トントントントン、扉をたたき続けるんですよ。でも20分ぐらいかかりますよ。だけどそのうちにだんだん冷めてきて、「うん、やるよ」っていうことになってくるかと思いますけどね。 例えば、うちの姉は本が好きで、本を読んでいると「ごはんよー」って言っても来られない人だったのね。そのとき私の母は、「 『ごはんよー』 が聞こえないぐらい、本が好きなのね、じゃあ、みんなで先にいただきましょう!」っていうお家だったの。 |
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安田・ 立花: |
ええーー! |
柴田: | 姉にしてみると、自分を大事にしてくれたっていう記憶になっていくのね。だから集中力のある子どもを前にして、「私がどうしたいか?」かもしれないですね。「一緒にごはんを食べたい」のか、「じゃあそんなに夢中なら、まあいいか、先にいただきましょう」っていうタイプなのかって、いうことだと思いますよね。 |
――立花さんは、どちらのタイプですか?
立花: | 僕は使い分けますね。特に何もないときだったら、子どもが集中している事がいいので、そうしますけれど。例えば、これからお出かけしなきゃいけないときとか、保育園に行かなきゃいけないのに、テレビをずっと観ちゃっているときとかは、やっぱりどうしても注意をそらさなきゃいけないんですけれど、僕は怒るというよりも、その集中しているターゲットを切り替えてやるっていうのを…。 |
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――どんなふうに切り替える?
立花: | 例えば…、テレビを観ていますっていうときだったら、だんだんちょっとずつ声をかけたり、あとテレビと子どもの間に自分が入っていって・・・(愉快な動き) |
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安田・ 柴田: |
(笑)。 |
立花: | 「そろそろ準備する?」って、いうのをやってあげているんですけれど、やっぱり集中がテレビにいっちゃってるんで、それよりも楽しいことを提示してあげるようにしたんですよね。だから今だったら「準備できる? これから靴下履いて準備できるんだったら、じゃあ、パパお散歩行く前に、肩車してあげるよ」って言うと(動いてくれる)。何かうちの子はその切り替えがうまいんですよ。なので、切り替えさえしてあげると、そっち側に集中してくれるんで…。 |
柴田: | それはあなたがうまい! やっぱりね、そう切り替えたくなっちゃう。「誰ちゃんが待っているから、保育園行こう」とか、「きょうおいしいおやつにしよう」とか、やっぱりね、子どもにとっては魅力的なことだったら切り替えられるんですよ。 |
立花: | そうなんですよ。泣いているときも、泣いている事象からそらしてやると、泣きやむっていうのが、何かその子育てをしながらわかってきたところもあったんで、それをちょっとやるといい。うちの子に関してはそうなのかなと思いました。 |
柴田: | そうですね、ああ、すばらしいね。この手をまずやってみましょうかね! |
――いろいろなヒントがたくさん出てきました。
約束やルールを守ってほしい
――続いての悩みをご紹介します。
福岡県40代
<5歳の女の子。最近はゲームをしたがり、ルールを決めてもなかなか決めたようにはいかず、「いつもまだやる~!」と、大泣きです。やってもいいけど、決めた時間には終わってほしい。毎回イライラして困っています>
もう一方、福岡県40代
<もうすぐ4歳になる息子。私が怒ってもまったく言うこときいてくれません。外で危ない場面や人の迷惑になることも多く困っています。どうしたら親の言うことを聞くようになってくれるのでしょうか?>
というふうに、約束やルールを守れないと悩んでいる方、ほかにもいらっしゃると思います。会場の皆さんにちょっと聞いてみましょう。「このお悩みにとても共感します。わが家もそうです」という方、拍手をお願いできますか?
会場の皆さん: | (大きな拍手) |
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一同: | (笑)。 |
――会場のほぼ全域から拍手が聞こえてきました。さて、安田さんはこういうときには、どうしてらっしゃいますか?
安田: | あの…本当に長男が言うこと聞いてくれなくて、日々試行錯誤していますね。でもやっぱり余裕がないと感情的になっちゃうんですけれど。感情的になるときって、絶対向こうも感情的に返してくるんですよ。なので、1回この前、冷静に話すパターンにしてみようと思って、自転車の後ろで文句言ってきたので、1回止まって、「あのね…」って言って本人がつらくなるぐらい、長いこと冷静にしゃべって、説得する方でやってみようと思って、「これこれ、こうだからね、こうでしょ。自分でこれ守ってなかったけど、それはいいの? いいんですか?」とか言って、結構、理論攻めしたんですよ。そうすると、最終的に「じゃあ、これから気をつけるの?」って聞いたら、「気をつける」って自分の言葉ではっきり言ったので、そこまでやってみてよかったのかなっていうふうにちょっと思って、ちゃんと向き合ってみようかなって…。 |
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柴田: | それから、成功しています? |
安田: | その方法、最近見つけたばかりで、まだやってないんですけれども…。「パッー」って言うと、向こうも「パッー」て返してきちゃうので、やっぱり「感情的になっちゃいけないのかな…」っていうのがありますね。 |
――柴田さん、こんなふうに約束やルールを守ってほしい、言うことを聞いてほしいっていうときには、どうしたらいいのでしょうか?
柴田: | だいたいね、約束とかルールっていうのは、両者が話し合って取り決めるものだと思うのね。でも、往々にして親が使っている約束やルールっていうのは、命令なんですよ。そうじゃない? こっちの気持ちだけなのよ…、あっちの気持ちをあまり考えてない、命令でしょう? だいたい3歳のイヤイヤ期をこえたぐらいからね、「親と私、違う人ですから命令するのは困ります、あなたの指示には従いません」ぐらいに…。もっと別人格というか、それこそ、子どもの人権のように思っているわけね。だから「お約束でしょ?」っていう説得は、私はピンとこないと思うのよ。だからね、お願いするのはどうかしら? |
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安田: | こっちがお願いするんですか? |
柴田: | 「こうやってくれないと、ママ悲しい」、「こうやってやると、ケガをすると嫌だから」とか。“約束”とか、“片づけ”っていう抽象的な言葉って、すごく分かりにくいんですよね。だから、そこにママを持ち込んだり、パパを持ち込んだりするとイメージがしやすい。だから「パパは、そういうの嫌いだな」って、いいと思うんですよね。長く理論でというのは、5歳になると、思考回路がどんどんできていくときなので、理屈にハマるんですね。理屈にハマっている子には、理屈で説得するのもいいかもしれない。 |
安田: | お願いするときに、こっちが「お願いします」って言ったら、向こうが上から親を見てくるとかはないんですか? |
柴田: | 対等に見ると思います。上からじゃなくて。そう…だから「あなたのお願いをママは聞いてあげるけれど、今はママのお願いを聞いてね」で、いいんじゃないかしら? |
安田: | 対等なんですね! 勉強になります。 |
――何かこう「いい親でいよう」とか、「ちゃんと私が導こう」というふうに、上に立とうとすると、かえって自分が苦しくなるということがありますよね。
柴田: | だけどね、相手は未発達の子どもなのでね。言葉で言っても分かることと分からないことがあるんですよ。分からないことを一生懸命説得してる場合は、子どもは言葉の内容よりも、そこの空気を読むことのほうが敏感だから、ママの声のトーンと顔つきと、それで判断するわけですよ。「怒っているぞ、怒っているぞ…。長くなってきた…、長くなってきた…」で、たいていの人が怒った最後にね「分かった!?」って言うのよ、そうすると、子どもが「分かった…」って言うのよ。これは「『分かったって言わないと終わんない』って事が分かった」のよね(笑)。 |
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――分かってないかも知れないっていうことを、分かってなくちゃいけないんですね。
柴田: | 例えばね、お水を出してるときに、2,3歳のころにね、「水がもったいないでしょう!」は通用しないですよ。“もったいない”っていうのが分かんないから。「ああ!うちの水がなくなっちゃう~!」っていうと、けっこう分かるのよ。「おうちの水がなくなって、ごはんが炊けなくなっちゃう!」とか言ってみて。 |
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安田: | ええー、困っちゃう感じを演じるんですね! |
柴田: | そうそう、5、6歳になるとね。お金が好きになるのよ。 |
一同: | (笑)。 |
柴田: | 5、6歳だと、お金拾ったり、自動販売機に指を突っ込んだりしません? そのころはお金に敏感だからね。「このあいだね、水道やさんが来たらね、3万円もくれっていうのよ。もういや~、こんな3万円も出せないからさ、ちょっと水さあ、ジャージャー流すのをやめてくれない?」って言うとね、水はただだと思っているの…それまでは。 |
安田: | あーなるほど。 |
柴田: | 「えー? 水って、お金がいるの?」「お金がいるのよー!」って言うとね、ちゃんと止めるようになるよ。 |
安田: | ちょっと、演技派ですね! 「ママ困っていて、大変、悲しい~」っていう方向に持っていけばいいんですね。 |
柴田: | 子どもがわかる言葉でストップをかけるっていうのは、なかなか難しいけどね、あれこれやってみてください。 |
会場では、声優・立花慎之介さんの絵本の朗読がありました。
作品は、大人気の絵本作家・ヨシタケシンスケさんの『りゆうがあります』。
親子で笑えるユーモアいっぱいの絵本です。是非「聴き逃し」でお聞きください!
12月のテーマは、「パパのお悩み相談会」。
パパたちから寄せられた子育ての悩みに耳を傾け、一緒に考えていきます。
10月に始まった「産後パパ育休」の課題についてもリポート。
ゲストは、作家の柚木麻子さん、子育て支援の専門家、玉川大学教授の大豆生田啓友さんです。
【放送】
2022/11/24・2022/11/25 ラジオ深夜便 「みんなの子育て☆深夜便」 子育てリアルトーク
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