北京の名門大学で習近平の母校でもある清華大学でも、1000人以上の学生たちがキャンパス内の紫荊園前に集まって白紙を掲げて抗議活動をした。
完全な白紙だけではなく、奇妙な数式が書かれていたりする紙もある。フリードマン方程式。アインシュタインの一般相対性理論を導く運動方程式、宇宙膨張(ビッグバン)を表すとされる方程式だ。フリードマンの「フリー」(自由)を示唆するのか、膨張しすぎた共産党をビッグバンに例えているのか。清華大学らしい高度な諷刺に加え、直截的な「こんな異常な中国はもうごめんだ!」「民主法治、表現の自由を求める!」といったスローガンが飛び交った。インターナショナルの合唱がおこった。
女子学生が叫ぶ。「逮捕されるのが怖かったら、発言しない! 人民に失望されたくない。清華の学生として、後悔はしない!」。
中国において知識人とは、科挙の時代から、天下国家のため、公のためにその知識、見識を役に立てることを期待されている。現代の中国エリート代表の自負がこの叫びに込められていた。
理不尽なゼロコロナ政策はなぜ続いているのか
中国はこの3年の間に、相次ぐロックダウンのせいで、新型コロナ感染による死者以上の死者が出ているといわれている。11月のウルムチ大火災、少なくとも27人の死者を出した9月の貴州の隔離者運搬の大型バス転落事故、ロックダウン中に自宅で飢え死にした新疆・イリ市のウイグル人たち、上海や鄭州など長期封鎖生活に絶望して自殺する人、封鎖アパートから脱出しようとして失敗して転落死した人、病院に治療を拒否され苦痛に耐えきれずに自殺した透析患者、陰性が確認されないとして入院できず病院の外で死産した妊婦・・・。それはもう数えきれないほどの悲劇が起きた。
なぜ、このような理不尽はゼロコロナ政策がまだ続いているのか?