結局、学院長が「今日は何も起きなかった。誰も責任を追及しないから」と説得を続け、学生たちは解散した。この動画はすべてのやり取りが撮影され中国国内のSNSを通じて拡散され、そしてツイッターでも拡散した。

 一部でこの学院長の「代償を支払うことになる!」という恫喝発言が批判されていたが、この学院長の判断は正しかったかもしれない。この時、学院の門の前には、警察車両がずらりと並んで、何かあったら突入しようと構えていたのだ。灯を落としたのは、公安当局の監視カメラに内部の様子を見せないための学院側の配慮だったかもしれない。

共産党と習近平の退陣要求へ

 この「白紙を掲げる」抗議スタイルは、このとき一気に中国全土に拡散された。

 同じ11月26日午後、上海の名門大学、復旦大学付属病院や上海戯劇学院があるウルムチ中路で学生たちを中心にした市民の抗議活動が起きていた。この時も皆、白紙を掲げていた。南京伝媒学院の女子学生の白紙抗議と連動したのかは分からない。だが、やはりウルムチ大火災の犠牲者への哀悼運動だった。花束とろうそくをもって抗議活動に参加する人も大勢いた。

 この抗議を制圧しようと警察がやってきたが、捕まえても捕まえてもウルムチ中路に献花しようとする人がやってくる。やがて「PCR検査はいらない、自由が欲しい」というスローガンが叫ばれ、それはやがて「自由が欲しい」の大合唱となった。そして27日未明には、「共産党下台(共産党は退陣しろ)」「習近平下台(習近平は退陣しろ)」のシュプレヒコールが起きた。

 白紙を掲げて抗議活動を行うというスタイルは続々と各地でおきた。中心は大学だ。少なくとも11月29日の段階で香港を含めた全国162の大学・学院で白紙運動は起きていた。