ウルムチ大火災とは11月24日夜、ゼロコロナ政策によるロックダウンが100日以上続く新彊ウイグル自治区ウルムチ市の集合住宅で発生した大火災だ。死者は公式発表は10人だが、地元病院の話を総合すると44人以上が死亡したとも伝えられている。

 ここまでの大火災になり犠牲者が多くなったのは、地域がロックダウンで封鎖されていたので、消防車が近づけず消火が効率的に行われなかったこと。マンションの入り口が封鎖され針金で縛られていたので、中の住民が自力で逃げ出せなかったことなどがあったからだという“噂”が広がった。

 この事件は、この3年間ゼロコロナ政策に苦しめられてきた人民の不満に火をつけた。各地で一斉にゼロコロナ政策反対の市民運動が広がった。その中で、最も洗練された、パフォーマンスアートといってもいいくらいの美しい抗議スタイルが、この南京伝媒学院で始まった「白紙運動」、あるいはカラー革命に対比させた「白紙革命」と呼ばれている活動だ。

門の前にずらりと並んでいた警察車両

 南京伝媒学院の白紙を持った学生たちの抗議活動は、11月26日夜10時まで続いた。集会場所の鼓楼前は、普段なら煌々とライトアップされるが、その夜はなぜか灯がつけられなかった。暗闇の中で学生たちは白紙をもち、携帯電話のLEDライトを灯した。ウルムチ大火災への哀悼を叫ぶ声が響いた。

 再び駆けつけた指導員教師が学生たちを諫める。「政府が君たちのためにどれだけ良くしてくれているか、考えなさい」。学生たちから笑い声がもれた。

 学院長が駆けつけた。「君たちはいつか、この日の代償を支払うことになる!」。恫喝めいた発言で学生たちを解散させようとした。だが、学生たちも負けてはいない。「なぜ灯を消すのか?」「あなたも代償を支払うことになるよ!」と言い返していた。