通常動力潜水艦
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通常動力潜水艦では、重油や軽油などの石油系の化石燃料を使用して、潜水艦を動かします。まず、重油や軽油を燃焼させてディーゼルエンジンを動かしますよ。次に、ディーゼルエンジンによって生じた動力によって、発電機を回します。発電機から得られた電気エネルギーは、蓄電池に蓄えられるのです。スクリューや機器を動かすための電力は蓄電池から得ます。この仕組みはハイブリッド自動車(HV)に非常に似ていますよね。
重油や軽油を燃焼させるためには、酸素が必要です。そのため、ディーゼルエンジンを回して発電するときには、潜水艦は海面に浮かんだ状態になります。この間に充電を行い、充電が完了したら、海の中へ再び潜りますよ。ですが、軍用の潜水艦の場合、海面に浮かんでいる時間はできるだけ短くする必要がありますよね。つまり、急速充電を行う必要があります。従来の通常動力潜水艦の蓄電池には鉛蓄電池が使用されていましたが、鉛蓄電池は急速充電には向いていません。そこで、最新の従来の通常動力潜水艦には、急速充電が可能なリチウムイオン蓄電池が採用されていますよ。
実際、日本国の自衛隊における最新潜水艦である「おうりゅう」と「そうりゅう」には、リチウムイオン電池が搭載されています。さらに、これらの潜水艦は港で電力会社からの電気を使って、急速充電することにも対応していますよ。この機能は、まさにプラグインハイブリッド自動車(PHEV)にそっくりですよね。
通常動力潜水艦の仕組みは、ハイブリッド自動車(HV)と似ているぞ。
原子力潜水艦
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原子力潜水艦(原潜)では、ウラン235などの核燃料を使用してエネルギーを作り出します。まず、艦内の原子炉でウラン235の核分裂連鎖反応を生じさせ、熱エネルギーを発生させますよ。この熱エネルギーで水を沸騰させて、蒸気タービンを回し、動力を発生させるのです。この動力によって、スクリューを回転させたり、機器を動かすための電気エネルギーを生み出したりしますよ。また、核分裂連鎖反応には酸素が必要ない上に、ウラン235などの核燃料のエネルギー密度は非常に高いため、原子力潜水艦は長期間水面下に潜むことができます。
2020年時点では、原子力潜水艦の保有国はアメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国、インドの六か国に限られていますよ。ちなみに、日本やオーストラリアなどは潜水艦と原子力の技術を持っていますが、製造は行っていません。
原子力潜水艦には、言わば「ミニ原子力発電所」が搭載されているんだな。
潜水艦について理解を深めよう!
この記事では、潜水艦の重要性、移動方法、形状、動力源などを中心に説明を進めてきました。これらの説明には、力学、流体力学、原子力工学、熱力学、物理化学(電池の知識)などの幅広い物理学の分野内容が含まれています。言い換えれば、潜水艦の設計、製造には、非常に高い技術が求められるということです。
それもそのはず、今や潜水艦は軍事技術の中でも、各国が必死になって研究開発を進めている乗り物ですよ。ぜひ、この記事を読んで潜水艦について理解を深めてみてください。