裁判

川口の飲食店員死亡、殺意は否認 地裁初公判で被告


さいたま地裁=さいたま市浦和区高砂
 2016年3月、川口市内の飲食店で従業員男性=当時(24)=に暴行を加えて殺害するなどしたとして、殺人の罪に問われた、上尾市柏座3丁目、無職島田一治被告(55)の裁判員裁判の初公判が29日、さいたま地裁(中桐圭一裁判長)で開かれた。

 島田被告は「暴行に関しては認めます。殺人に関しては行っておりません」と殺意を否認した。

 冒頭陳述で検察側は、男性は島田被告の娘の元交際相手だったと説明。島田被告は、娘との間にあったトラブルや店の金銭を盗んだ疑惑などを問いただし、「トイレなどで顔面を殴るなどの暴行を加えた」と述べた。その後も夜明けごろまで断続的に暴行し、「警察への被害申告を恐れ、口封じのために殺害することを決めた」と指摘した。

 一方弁護側は、行き過ぎた暴行は認めて反省しているとしつつ、殺意については否定。当時現場にいた他の人らの供述が食い違っていることなどから「殺人行為をしたとはいえず、殺人罪は成立しない」とした。

 続いて検察側は証拠調べで、島田被告らは殺害後、「遺体を業務用冷凍庫に搬入した」と指摘。その後、マグロの解体などで使用する「バンドソー」と呼ばれる機械で遺体を切断し、16年10月3日、さいたま市内の焼却処分施設で焼却したと説明した。

 起訴状などによると、島田被告は16年3月18日ごろ、川口市西川口1丁目の飲食店「ハワイアンバー Lapule」内で同店経営者の男性と共謀し、同店従業員の伊藤竜成さんに殴る蹴るの暴行を加えた上、ロープで伊藤さんの首を絞めたり踏みつけたりして殺害し、遺体を解体して焼却したとされる。共謀したとされる男性は21年10月、伊藤さんに対する傷害容疑で逮捕され、同月28日、川口署の留置場で首をつって自殺した。
2022/11/30 00:00:00
記事提供:埼玉新聞

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