社会
“絞首刑の死刑執行は残虐で違憲” 死刑囚3人差し止め求め提訴
死刑の執行は、刑法11条1項で「死刑は、刑事施設内において絞首して執行する」と定められています。
訴えによりますと、死刑囚3人は、絞首刑が残虐で非人道的であり、国際人権規約に違反するとともに残虐な刑罰を禁止している憲法36条にも違反するなどと主張しています。
また、日本では、より残虐でない方法を模索する中で、明治期に絞首刑が選ばれ、その後、140年間変更されていないとして、国は死刑がどのように行われるかなどの情報を非公開としているが、国民に絞首刑の実態を明らかにして議論すべきだと訴えています。
絞首刑の死刑執行 “憲法に違反しない” 最高裁で複数の判例
1948年3月12日の判決で、最高裁は「刑罰としての死刑が、直ちに憲法が禁止している『残虐な刑罰』に該当するとは考えられない」として、死刑は憲法に違反しないと判断しました。
一方で、「執行の方法などが時代と環境によって人道上の見地から残虐性が認められる場合には『残虐な刑罰』といわねばならない」などと指摘しました。
これについて、今回訴えを起こした死刑囚側は、ある時期には妥当とされた死刑の執行方法が、時代と環境の変化に伴い、憲法違反と判断される事態が将来起こりうることを指摘したものだとしています。
また、1955年4月6日の判決で、最高裁は「現在各国において採用している死刑執行方法は、絞殺、斬殺、銃殺、電気殺、ガス殺などであり、一長一短の批判はあるが、わが国の採用している絞首方法が、ほかの方法に比べ人道上、残虐であるとする理由は認められない」などとして、憲法に違反しないと判断しています。
また、2009年に大阪のパチンコ店が放火され、5人が殺害された事件の刑事裁判でも、絞首刑が「残虐な刑罰」を禁止した憲法に違反するかどうかが争点となりました。
2011年に大阪地裁は、絞首刑による死刑の執行について「死刑という制度にある程度のむごたらしさを伴うことは避けられず、絞首刑が最善の方法かどうかは議論がある。しかし、死刑を受ける人はそれだけの罪を犯しているのだから、多少の精神的、肉体的な苦痛は受け入れるべきだ」として憲法に違反しないという判断を示しました。
この事件で、最高裁は、2016年に過去の判例にならって「死刑制度は、執行方法を含め、憲法の規定に違反しない」と判断しています。