『ゼルダの伝説』×ローグライクRPG×リズムアクション=予想のつかないゲーム体験!?
『ゼルダの伝説』といえば、『神々のトライフォース』のリンクがダメージを食らったときの「ウッ」っていう声が好きです。ライターのリプ斉トンです。
近年では、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』が世界各国のゲーム大賞を受賞して話題となりました。そんな『ゼルダの伝説』シリーズの、スピンオフ作品が発売されることをご存知でしょうか。
それが本作、『ケイデンス・オブ・ハイラル: クリプト・オブ・ネクロダンサー feat. ゼルダの伝説』。ローグライクダンジョンRPGにリズムゲームの要素がミックスされた『クリプト・オブ・ネクロダンサー』に、『ゼルダの伝説』シリーズの世界観をかけ合わせたコラボレーションタイトルです。まったく異なるゲーム性である両タイトルが見事に融合され、これまでにないゲームへと進化しています。
『ゼルダの伝説』がテーマであるからこそ、シリーズのファンに遊んでもらいたい! ということで本記事では、この『ケイデンス・オブ・ハイラル: クリプト・オブ・ネクロダンサー feat. ゼルダの伝説』のレビューをお届けします。
もちろんニワトリも突っつけます!
『クリプト・オブ・ネクロダンサー』ってなんじゃらほい
『クリプト・オブ・ネクロダンサー』は、海外のゲームメーカーBrace Yourself Gamesが開発したローグライク型のリズムアクションゲームです。
ローグライクとは、早い話が『不思議のダンジョン 風来のシレン』です(発売元が同じスパイク・チュンソフトでよかった……!)。自動生成されるダンジョンを知識とテクニックで攻略していくやつですね。ポピュラーなローグライクゲームだと、プレイヤーが1回行動すると敵も1回行動するというのがお約束。自分が動かなければ敵も動かないので、つぎの1手をじっくり練ってから選択できるのです。
しかし、この『クリプト・オブ・ネクロダンサー』は、その1手=1ターンというローグライクゲームのお約束を破壊。BGMの1ビートが1ターンになるという、これまでにないゲームシステムを採用しているのです!
BGMは流れ続けていますから、こちらが行動しなくても、敵は容赦なく動いてきます。つまり、こちらもリズムに合わせてとにかく行動する必要があるわけです。従来のローグライクゲームとは異なり、その場の閃きや反射神経といった要素も重要になってきます。
そのゲームシステムをベースにした『ゼルダの伝説』の最新作が、『ケイデンス・オブ・ハイラル: クリプト・オブ・ネクロダンサー feat. ゼルダの伝説』なのです。
BGMとゲームシステムがプレイヤーをトランス状態へと導く!
さて、いよいよ『ケイデンス・オブ・ハイラル: クリプト・オブ・ネクロダンサー feat. ゼルダの伝説』を解説。本作の物語は、オクターヴォという男に支配されたハイラルを取り戻すべく、リンクとゼルダ(途中から『クリプト・オブ・ネクロダンサー』のケイデンスも加わる)を操作して戦うというもの。
前述の通り、敵はBGMに合わせて行動するわけですが、それぞれに行動パターンを持っているので、それを覚えつつ戦うと楽になります。このあたりはほかのローグライクゲームと同じですね。また、数ターンに1回しか行動しないという敵も珍しくありません。このあたりは、ゲーム開発者さんのやさしさを感じる。
そんな本作をプレイした印象ですが、やはりローグライクゲームですから、やられるときはあっさりです。ほかの『ゼルダの伝説』シリーズのように、自由に行動ができるゲーム性ではないため、一方的に攻撃を食らい、倒れてしまうことも。『ゼルダの伝説』のファンでアクションゲームに慣れている人ほど、最初は倒されやすいのではないでしょうか。
かくいう自分も、ゲームを始めた当初は死にまくり。しかし、何回か連続で倒されたあたりで「もう少し慎重にプレイしなさい……」と妖精からお告げが僕の頭の中に来ました。そこでBGMのビートを意識したり、各地を巡ってアイテムを集めたりするなど、慎重にコツコツとキャラクターを強化することに重点を置きだしたあたりから、少しずつ安定したプレイができるようになってきました。
ビートを意識してリズムよくアクションを入力したり、敵を引き付けて攻撃したりするように心がけてみると……、だんだんと操作がうまくなっているような気が!? 敵の行動や、状況ごとのセオリーを覚えたあたりから、ゲームプレイがサクサク進むようになりました。
また、BGMのビートを体に刻み込む(なんかカッコいい響き)ことも、非常に重要。というのも、ダンジョンに入ったり違うエリアに進んだりするとBGMが変化するので、ビートの速度も変わります。すなわち、BGMに合わせてすぐにタイミングをつかむリズム感も重要になるということですね。
そうやってノリノリで操作していくと、だんだんと集中してきてある種のトランス状態へと突入してくる感じがします。刹那の見切りというか、ゾーンに突入するというか、ある一瞬に脳がものすごい計算を叩き出すような、そんな感じ。
その瞬間に敵の行動を回避でき、つぎに反撃を叩き込めたときは、仮面をつけて赤い軍服を着ている人が「私にも見える!」って言った気持ちが理解できた(気になりました)。
このBGMに合わせてリズムを刻み、どんどんゲームに没頭していく感覚が味わえるのは、ほかのゲームにはない本作ならではのもの。本当に集中してプレイしてしまうので、気がついたらぶっ続けで遊んでしまっていた、ということもしばしばでした。
いままでの『ゼルダの伝説』にはなかった快感や満足感を、ぜひ味わっていただきたいところです。
そもそも曲が最高
『ゼルダの伝説』シリーズの魅力のひとつにBGMがあります。力強さと勇者の孤高さを感じさせるメインテーマ曲や、ギターの旋律で荒々しさを表現したゲルドの谷のBGMを始めとして数々の名曲が揃っているわけですが、本作ではそういった名曲たちがアレンジされて使われています。これが世界観とマッチしていて、とてもカッコいい! さらに、ファンから人気が高い“嵐の歌”を自分で奏でるような場面もあったりして、めちゃくちゃ痺れます。
『ゼルダの伝説』ならではの魅力も満載
『ゼルダの伝説』が新たなシステムとの融合を果たした本作ですが、従来の『ゼルダの伝説』的なお約束要素も満載です。
各地にはハートのかけらが点在していて、4つ集めるとハート(体力)がひとつ増えます。ハートの初期値は3で、序盤から一度の攻撃で2ダメージを食らうこともあるので、ゲームを開始したらまずはハートのかけら集めに勤しんだほうがよさそう。
また、草むらやヒビ割れた壁の先には隠し部屋があることも。その先にはダンジョンがあったり、商人がアイテムを売っていたりと、戦力の増強に役立ちます。この隠し要素を探してマップを巡るのも、『ゼルダの伝説』っぽい要素ですね。
そのほか、弓矢やバクダン、フックショット、ブーメランなど、おなじみのアイテムも各地で集めることができます。それらのアイテムを活用することで、マップをショートカットできたり、隠しアイテムを見つけたり、敵を倒したりとさまざまなことができます。バクダンは、敵を倒すことに使うのも可能。バクダンを口の中に放り込んだりね……って要素はDLCの第3弾で楽しめます。
マップを巡って入手するアイテムの中には、リンクやゼルダの行動範囲を広げるものも。たとえば、泳げるようになる“ゾーラの水かき”とかね! アイテムが増えたら、各地をまた探索してみたくなる。それも『ゼルダの伝説』らしい魅力ですね。
すべてのマップを巡らなくてもクリアーまでは進めますが、自分はコツコツ収集をするのが好きなタイプの人間。ハートのかけら集めも兼ねて、探索を楽しんでいました。
でも、気を抜いて戦っていると、一気にダメージを食らって倒されてしまうことも。やられると、ルピー(お金)や消耗品類をロストしてしまいます。ガックシ。
ただし、弓矢や武器といった貴重品は失わないので、そこはご安心ください。
トライアンドエラーでやり込む!
本作はローグライクゲームですから、ニューゲームを開始するたびにマップが変わります。ダンジョンの位置やアイテムの配置も変化するので、毎回違った攻略手順でプレイすることができます。
また、本作のメインのシナリオとなるストーリーモードは、初回プレイでも8時間ほどあればクリアーできます。自分のプレイの知識を総動員して、つぎのプレイでタイムアタックや短歩数プレイに挑戦するのも楽しそうですね。
従来作の『ゼルダの伝説』だと、各ダンジョンに重要アイテムが置いてあって、それを駆使してそのダンジョンやボスを攻略するのがセオリーですが、本作のダンジョンには、特定のアイテムがなければボスが攻略できないということがありません(特定のアイテムがないと行けない場所はありますが)。
そのため、今回はこういうマップだから、この順番でアイテムを集めて、この順番でダンジョンをクリアーして……と、なるべく短い手順でマップを攻略するようにルートを考えるような遊びかたもできるんです。
ほかのプレイヤーとスコアを競う“リーダーボード”もあるので、最速を目指してゲームをやり込むのも楽しそうですね。
ちなみに、自分のデータを見てみると、クリアータイムは8時間で経過ターン数は33000ほど。リーダーボードを見ると……最速のクリアータイムは17分(!)、経過ターン数は2200(!?)とあります。マジかよ……。すでにこれだけの猛者がいるのか。
パッケージ版とダウンロード版の違いは?
さて、じつは本作は、ダウンロード版が2019年6月14日に配信を開始しています。では、なぜこのタイミングでレビューしているのかというと、追加で配信されたダウンロードコンテンツとゲーム本編がセットになったパッケージ版が、2020年10月23日に発売されるのです!
ダウンロード版は、ストーリーモードが楽しめるゲーム本編と、追加ダウンロードコンテンツを個別に購入可能。全ダウンロードコンテンツがセットになったシーズンパスも配信されていて、ゲーム本編とシーズンパスをダウンロード購入した場合と、パッケージ版を購入した場合は価格が同じです。まずはゲーム本編をプレイして、気に入ったらダウンロードコンテンツを購入するのもアリですね。
追加ダウンロードコンテンツの第3弾である仮面交響曲は、『ゼルダの伝説』のおなじみのキャラクター、スタルキッドを操作する新シナリオがプレイ可能。こちらは難しめなので、ストーリーモードをクリアーしたあとにプレイするとよさそうです。
本作のゲーム性は、まさに唯一無二。だからこそ、最初にもお伝えした通り『ゼルダの伝説』のファンに遊んでほしいゲームなのです。
トライアンドエラーでゲームをくり返しプレイすれば、腕前がどんどん上達していくのを感じ取れるはず。ゲーム本編をクリアーするだけならサクッと終わらせられるので、少しでも気になったならば、まずは一度プレイしてみてください。BGMに合わせてリズムを刻み、ノリノリでプレイする本作ならではのゲームへの没入感は、かなりクセになります。どうしても難しい場合は、“ノービートモード”にすれば、ビートを気にしなくてよくなるので、おすすめですよ。
マイニンテンドーストアでは無料体験版も配信されているので、まずは一度プレイを!!