電通など9社の随意契約少なくとも200億円、談合の可能性とみて捜査 東京五輪入札談合事件

東京五輪・パラリンピックのテスト大会を巡る入札談合事件で、受注調整が疑われている計画立案業務を落札した広告大手電通など9社が、その後のテスト大会や本大会の関連業務を随意契約で受注した契約総額は、東京都公表分で少なくとも約200億円に上ることが28日、分かった。東京地検特捜部と公正取引委員会は、巨額の随意契約を見据え、談合が行われた可能性があるとみて捜査している。

発注者の大会組織委員会が主導して作成し、競技ごとに実績のある企業をまとめた一覧表は、組織委や企業の担当者間で、メールで共有されていたことも関係者への取材で判明した。業務の割り振りに利用され、特捜部などは受注調整があったことを示す証拠になるとみている。

談合が疑われているのは、テスト大会の計画立案などの業務の一般競争入札。技術や価格に基づく総合評価方式で、2018年に競技会場1~2カ所ずつ計26件実施され、契約総額は約5億3800万円だった。

東京都は公費が投入された17年度以降の五輪事業について契約者や調達方法、金額を公表している。9社分のテスト大会や本大会関連の随意契約を抽出したところ、総額で少なくとも約200億円が確認された。電通はバスケットボールのテスト大会実施業務など約20件を計約20億円で受注。他社は数億~数十億円受注していた。公表は一部にとどまり、実際はより高額になるとみられる。

計画立案業務を落札した企業が、テスト大会や本大会の関連業務を随意契約で担うことは、組織委の所定の手続きを経て了承されたという。組織委関係者は取材に「テストと本番の会社が違えば、テストにならなかった」と説明した。(共同)