実際の仕事をもとに、博報堂と博報堂DYメディアパートナーズのチームワーク力の源泉を解き明かしていきます。
今回紹介するのは、東京メトロの企業広告「Find my Tokyo.」の制作で得た知見をもとにECサイト「Find my Tokyo.BOX!」を企画・開発した、東京メトロチーム。
広告フレームを事業化するという新たな取り組みに挑んだこのチームの中に「もしも自分がいたら」なんて、ぜひ自分が働く姿を想像しながら読んでみてください。
Team 東京メトロ
萩原 陽介 | 博報堂 | MDコンサルティング局 | 2003年新卒入社 |
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長南 勇輝 | 博報堂 | ビジネスデザイン局 | 2010年新卒入社 |
髙島 祐利奈 | 博報堂 | ビジネスデザイン局 | 2020年新卒入社 |
広告制作で培った資産は使える!
「Find my Tokyo.BOX!」誕生
「Find my Tokyo.BOX!」は、東京メトロの企業広告「Find my Tokyo.」で過去に紹介した店舗の商品を、よりいっそう楽しむためにつくられた動画をパッケージングした「体験型ECサービス」。自宅にいながら、新たな東京の魅力を満喫できる時間を届けてきた。
萩原「私は、2015年から続く広告『Find my Tokyo.』のスタートから担当でした。『Find my Tokyo.』では、東京の街ごとの魅力を再発見し、街での体験を映像で生活者に届けてきましたが、コロナ禍によって生活者が出歩きづらい状況になり、地域のお店も大ダメージを受けました。『出かけられなくても、生活者と地域の接点がつくれないか』そんな問いから、『Find my Tokyo.』という広告フレームを事業化するというアイデアが浮かびました。
以前から、広告に限らない事業領域に進出したいという思いがあったので、2020年4月頃から社内でブレストを始め、半年以上かけてじっくり練り上げた『Find my Tokyo.BOX!』をメトロさんに提案しました」
髙島「提案は、ほぼ即決でGOをいただきましたね。クライアントの大きな使命は『東京の魅力PR』。これまで、そのミッション達成には、お客さまのリアルな移動が必要だと考えられていましたが、オンラインでもオフラインでも、お客さまと地域がつながることはできます。『Find my Tokyo.BOX!』で、つながり方が多様になるという点に共感いただけたのだと思います」
長南「『広告フレームを事業化する』というのは、これまでの広告制作で得た経験値を活かして、『体験型ECサービス』という事業を立ち上げたということです。
今回、『Find my Tokyo.BOX!』に活かしたのは、『Find my Tokyo.』を通して出会ってきた都内約300店とのつながり。しかも、そのつながりは『東京で楽しめる体験ってなんだろう』とクライアントと一緒になって考えてきたからこそ生まれた強固なものです」
髙島「事業化を進めていくなかで感じたのは『Find my Tokyo.』の知名度と好感度の高さ。お客さまも『Find my Tokyo.』がベースのECサービスということで、『きっといいものが売っているはず』と期待してくださっていました。長年、東京の知られざる魅力を発掘し続けてきたことが、生活者にも評価されているのかなと感じました」
長南「今回のプロジェクトは、東京メトロと博報堂がそれぞれ費用を折半して進めました。『仲間として一緒に頑張ろう』という雰囲気ができ、いい意味で受発注という関係性じゃなかったのも新鮮でしたね。いいものをつくるというゴールのために、お互い意見を交わし合えるチームになれた気がしました」
チームメンバーの高め合いで、
最高の「体験型EC」を届けたい
クライアントと一丸となり、広告フレームを事業化するという新たな取り組みに挑んだメトロチーム。萩原のディレクションのもと、「Find my Tokyo.BOX!」が形になるまですべてを一から発想し、実装するまで考え続ける日々だった。
髙島「私は、2020年6月、新人研修が終わった直後からチームに加わりました。事業内容がほぼ決まっていなかったので、自分も考えないと何も進まないという状況でした。やりがいがある環境とも言えますが、自分が出した案が形になっていく責任の重さにつぶされそうになりながら、毎日考え続けていました。私、けっこう頑張りましたよね(笑)」
萩原「はい(笑)」
髙島「ありがとうございます! 博報堂の『生活者発想』という言葉は入社前から知っていましたが、この仕事を通して、一生活者である自分の発想も大切にしようと思えました。最初は『生活者発想なんて、新人の私にできるわけないじゃないですか!!』って萩原さんに噛みついていたんです(笑)。あの頃は、答えを人に求めていたんですね」
萩原「彼女に何度ケンカを売られたかわかんないですけど(笑)、『生活者発想』は、キャリアに関わらず、生活者ならできること。苦しませたかもしれないけど、髙島には『考えてみて』と言い続けました。自分の興味のあることにはとことんこだわる彼女の意見が反映されたことで、『Find my Tokyo.BOX!』の魅力は確実に高まりまったと思います。」
長南「例えば、チーム内でSNSに一番詳しいのは髙島です。自分にもできることがあると自覚してからは、率先してアイデアを出してくれて、お店へも何度も提案しにいってくれました。頼もしかったです」
萩原「長南は『Find my Tokyo.BOX!』を事業として成立させる役割だったので、どうお金を配分し、どう進行していくのかを詰めてくれました。法務や会計周りのことも、社内外の協力をとりつけて実装にこぎつけてくれたんです。ただ、みんな“助け合った”っていう感覚はなくて、“高め合ってきた”の方が近い気がしますね。僕が知らないことを二人にたくさん教えてもらったし、二人が知らないことを僕が教えられる部分もある」
長南「博報堂の文化ですかね。チーム内で厳しいやりとりをしても、見捨てたり見捨てられたりということはないし、これを乗り越えたら次の山はあるけど、また頑張ろうと言い合えるような」
髙島「私は、プロジェクトの進行中、何度悔しくて泣いたかわかりません(笑)。泣いても甘やかされることは当然なくて、二人とも私の課題にとことん向き合ってくれた。クライアントも含めて『この人たちのために頑張りたい』と思えるチームに恵まれたから、山を乗り越えられました」
つくるものが変わっても、
生活者の幸せに向き合っていく
広告を超えた、新しいビジネスのあり方を模索している博報堂。しかし、「生活者発想」という原点は、これからも変わらない。
萩原「広告の手前にあるのは、一人ひとりの生活者について考え続けてきた時間だと思っています。この先、僕たちがつくるものが広告じゃなくなっても、『これがあれば、関わるみんなが幸せになる』と信じられるものを考え、生み出していくことは変わらないのかなと思います」
長南「広告と事業の違いとしては、広告は、ショットで打つ点です。広告制作で得た知見を資産と捉えて事業に転換できれば、点が線や面となって、クライアントや生活者をより幸せにできる気がします。事業をともに進めるなかでクライアントへの理解を深め、広告が効果的だと思えば提案する。長い時間一緒に走れる関係性を築きたいですね」
髙島「私は、最初はCMをつくりたくて入社を志望しました。でも、博報堂が『広告会社だからこそできること』を模索するタイミングで入社して、自分の想像を超えた仕事に出合えることを今は魅力に感じています」
萩原「今は本当にいろんな仕事があるよね。僕は『生活者発想』という原点を守りながらも、『僕も楽しい仕事にできるか』も大事にしてます。自分が輪の中で楽しめるからこそ、いい仕事ができると思っていて」
長南「それは、僕も実感してますね。知らない分野でも好奇心をもって調べて、主体的に関わった仕事は楽しいしやりがいがありました。博報堂は、好奇心の強い人が多い気がしますね。あと、素直な人。このチームも個性的なメンバー揃いですけど、腹割って話せるじゃないですか。それだけで一緒に仕事をしていて楽しいです」
髙島「わかります!なんでも思ったことを言えるし、相談もできるし、頼れるし、尊敬できるし、一緒に全力でふざけてくれます。中でもありがたいのが、本気でぶつからせてくれるところ。私も、世代を問わずいろんな感情を受け止め合える人たちと働きたいです」
萩原「僕も、自分はこう思うって意見をもっていて、それを堂々と言える人と仕事がしたい。その意見がズレていても変わっていてもいい。もっともらしい一般論を言われる方がよっぽど嫌です。生活者に向き合い、チームでぶつかり合ってきた仕事が、これからも世の中を変えられると信じています」
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