「浜松のドン」スズキ相談役・鈴木修が裏で糸引く、大型野球場計画の「大矛盾」
津波「危険地域」でウミガメの産卵地最悪すぎる立地条件
天竜川東側の遠州灘海岸に隣接する中部電力・浜岡原発では、総延長1.6キロに高さ22メートルの防潮堤建設など安全対策に約4000億円を掛けた。中部電力では1000通り以上の解析を行い、19メートルの津波が襲った場合を想定して、さらに22.7メートルの防潮堤に嵩上げする必要があるという。
かたや、新野球場を建設する遠州浜地域は、解析方法が違うのか19メートルの津波など予測していないようだ。そんな施設でおちおち野球を楽しめるはずもない。
もともと“ダブル鈴木”は、土地の手当ては浜松市でやるからと、新野球場建設のみを川勝知事に要望した。川勝知事は、防災機能付きならば、と野球場建設を安請け合いした。つまり、公園全体の用地買収費50億円のうち、野球場の土地、約10億円を浜松市が負担する。ところが、残り40億円をどちらが負担するのか決まっていない。野球場以外の諸施設費用もどちらの負担になるのか未定である。
浜松市は当然、「県営野球場」を要望する。県担当者は「県営か市営か民営かもこれからの話。維持管理費をどちらが負担するのか決まっていない」と逃げる。
これが、川勝知事の摩訶不思議な「共同建設」方式である。
520億円という巨額の大規模事業を行うならば、静岡県と政令市・浜松市の負担割合を最初に決めるべきだ。そんな話し合いが始まれば、そもそもの野球場の必要性に誰もが疑念を抱いてしまうのがオチだろう。
浜松市営球場のプロ野球開催は「年1回」しかない。県の需要予測は、野球場建設に前のめりの川勝知事に合わせているから、実際の数字とはかけ離れている。また、最寄りのJR高塚駅から徒歩40分も掛かる。バスの便はないから、交通アクセスは非常に悪い。風や砂ぼこりの影響だけでなく、ひとつずつ検証を始めれば、遠州浜海岸隣接地の条件は最悪である。
馬塚氏のNPOは、40年近く前の野球場建設反対で約11万人の署名を集めた。今回の野球場建設反対では、SNSを使えば、静岡県民だけでなく世界中から膨大な署名が集まりそうだ。馬塚氏は「基本計画ができようが、絶対に野球場はつくらせない」と宣言。ウミガメ保護だけでもこれだけの迫力である。
しかし、カリスマと呼ばれた名物経営者・鈴木修氏には一も二もなく従い、野球場建設に必死の川勝知事には、県民の命や自然環境保全など頭の片隅にもない。無責任な川勝知事の真の姿がそこにあるようだ。