2022.11.27
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「浜松のドン」スズキ相談役・鈴木修が裏で糸引く、大型野球場計画の「大矛盾」
津波「危険地域」でウミガメの産卵地津波対策に不安が残る防潮堤
ところが浜松市は10月27日、市議会、商工会議所、自治会連合会が一体となって、「県営野球場」の早期建設を働き掛ける「期成同盟会」をつくり、370億円のドーム球場建設を川勝知事に求めていくとした。
基本計画は県議会の議決など不要であり、最後は川勝知事の決断で決まる。「期成同盟会」が川勝知事に要望すれば、総事業費520億円の公園建設が実現されると“ダブル鈴木”は確信しているのだろう。
今回の野球場建設のどこに問題点があるのか、あらためて示したい。
まず、津波浸水地域の危険性を覆い隠すかのように、川勝知事は防災機能付きの「ユニーク施設」を何度も強調してきた。ところが、今回の基本計画案に防災機能など一切、含まれていない。単なる野球場である。
それに、災害時にわざわざ海岸に隣接する危険地域に避難することなどありえない。ちなみに、東日本大震災を受けて、2020年3月に遠州浜海岸に高さ13~15メートルの防潮堤が完成している(総工費は約330億円)。この防潮堤があるから問題ないと考えているのかもしれない。
ただ、この防潮堤完成でも、南海トラフ地震の津波対策は十分ではない。県担当者は「津波はせり上がってくるから、防潮堤を越える可能性が高い。あくまでも被害を減らすためのもので完璧ではない」と説明する。一方、県緑地公園課は「1~2メートルの浸水はあるかもしれないが、球場の観客席に上れば安全だ」とのん気なものだ。