「浜松のドン」スズキ相談役・鈴木修が裏で糸引く、大型野球場計画の「大矛盾」
津波「危険地域」でウミガメの産卵地最大520億円の「全天候型ドーム」
これに対して、川勝知事は「津波避難施設である防災機能付きの大型球場は必要」と強調したが、災害時の避難場所にふさわしくないとする市民の不安を払拭できず、県議会の強い反対にも遭ったのだ。さらに、遠州浜海岸でウミガメ保護を続ける特定NPO法人「サンクチュアリジャパン」は新球場の照明、駐車場の明かりなど影響が大きいなどと訴えた。
そこで県は、2022年夏に約850万円を投じて、ウミガメの照明施設による影響を調査している。この調査結果を受け、県議会委員会の参考人となったNPOの馬塚丈司理事長は「どんな調査をしても費用のムダである。野球場をつくれば、ウミガメなどの生態系に必ず影響がある。過去に中田島砂丘に隣接する場所に野球場計画があったが、当時の知事は計画を中止、野鳥の森や緑地公園とした。その事例にならうべき」などと証言した。つまり、野球場建設に「絶対反対」を唱えたのだ。
市民らの反対などは馬耳東風の鈴木修氏は、2022年8月にプロ野球を開催できる2.2万人収容の「全天候型ドーム」を川勝知事に要望した。川勝知事は「風の影響も心配ない。照明の影響も大丈夫だ」などと、またまた鈴木修氏のドーム球場案を大賛成で受け入れた。ドームであれば、野球以外の幅広いイベントも開催可能だというのだ。
馬塚氏らウミガメ専門家の意見を踏まえ、県は「ドーム球場」「照明施設あり」「照明施設なし」など全部で18タイプの公園施設案を提示して、12月1日開会の県議会で議論する予定だ。
川勝知事は、なんとか2023年3月末までに1つに絞り、球場建設実現を目指す基本計画を策定したいのだ。約24ヘクタールの敷地に、メイン球場やサブ球場を建設する案を示している。1500台の駐車場も常設される。
370億円の全天候型ドーム(2.2万人収容)を核とする公園の総事業費520億円が最高額、80億円の照明なしの球場(1.3万人収容)の総事業費220億円が最安値とされる。照明なしの球場であれば、2016年発表の基本構想で示された210億円にもっとも近い。
しかし、どのように事業費を捻出するのかなどは決まっていない。実際には建設事業費がそれで済むのかも不透明だ。